表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
49/53

■第49話 「静かな確立――日常としての二人」


 ――“特別”だったものが、いつの間にか“日常”に変わる瞬間がある。



 朝の教室。



「おはよ」


 神谷伊織かみや いおりが席に着く。



「おはよう」


 白瀬舞衣しらせ まいが自然に返す。



 それだけの会話が、もう誰も特別視しない。




「なあ伊織」


 神保亘しんぼ わたるが椅子を引く。



「もうさ、完全に“落ち着いたカップル枠”だよな」




「うるせえ」



 相葉正佳あいば まさよしが笑う。



「でも否定できないのがまたな」




 二宮真匡にのみや ただしが腕を組む。



「むしろ完成してる」




 教室の空気は、もはやざわつかない。



 “当然そこにある関係”として受け入れられている。




 昼休み。



 食堂。



「舞衣さん!」



「今日も綺麗です!」



 後輩たちの声。




 白瀬舞衣は軽く微笑む。



「ありがとう」




 その姿は、もう“国民的女優”としてではなく、



 “学校にいる先輩”として受け入れられていた。




 一方。



 神谷伊織。



「伊織先輩!」



「この前の練習、助かりました!」




 部活の後輩たち。



 高校1年、2年。



 さらに同級生の同期まで。




「普通に頼られてるな、お前」



 神保が横で言う。




「まあな」



 伊織は淡々と答える。




 相葉が笑う。



「なんか“安定感ある先輩枠”になってる」




 二宮が頷く。



「悪くないポジションだよな」




 ――放課後。



 校庭。



 部活の練習。



 汗を流しながらも、周囲の視線は自然だ。




「伊織先輩!」



「これどうですか!」




 後輩たちの声。



 伊織は軽く指示を出す。




 その様子を遠くから見ている舞衣。



「ちゃんとやってる」




 小さく呟く。




「意外と向いてるのかもね」




 その隣に来る七瀬ななせ



「うん」



「伊織くん、ああいう“支える側”似合ってる」




 蒼葵あおいが少し笑う。



「たぶん本人も気づいてないけどね」




 ――夕方。



 校舎の廊下。



「なあ舞衣」



 伊織が言う。




「ん?」




「もうすぐ卒業だな」




 その言葉で空気が少しだけ変わる。




「うん」



 舞衣は小さく頷く。




「私さ」




「女優としては続ける」




「でも学校は終わる」




 少し間。




「伊織は?」




 その問いに、伊織は少し黙る。




「まだ決めてない」




「正直、迷ってる」




 舞衣は立ち止まる。




「そっか」




 そして優しく言う。




「ゆっくりでいいよ」




「一緒に考えよう」




 伊織は少しだけ笑う。




「助かる」




 ――日常は確立された。



 誰にも邪魔されない距離。



 誰にも壊されない関係。




 でもその中で唯一残るのは、



 “未来”というまだ決まっていない時間だった。





最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——


ブックマーク & 評価★5 をぜひお願いします!


その一つひとつが、次の章を書き進める力になります。

読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。


「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ、見逃さないようブックマークを!

皆さまの応援がある限り、次の物語はまだまだ紡がれていきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ