■第48話 「揺れる確信――誰も止められない関係」
――気づいてしまった者から順に、その関係は“もう戻れない”ものになる。
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「なあ」
神保亘が言う。
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「もうさ」
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「隠してる意味、ほぼないよな」
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「だな」
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相葉正佳が頷く。
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「見てたら分かるもん」
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二宮真匡は腕を組む。
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「“関係が進んでる”っていうより」
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「もう“完成形に近い”感じする」
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柘植拓人が笑う。
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「それ言うと逆に怖いんだけど」
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一方。
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教室の窓際。
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水瀬蒼葵が静かに言う。
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「でもさ」
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「たぶんあの二人」
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「止められても止まらないよ」
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西宮七瀬が頷く。
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「うん」
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「もう“選んだ関係”だもん」
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その言葉に、教室が少し静かになる。
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――放課後。
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白瀬家。
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「今日さ」
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舞衣が言う。
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「また見られてた気がする」
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「気のせいじゃないだろ」
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伊織が即答する。
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「だよね」
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少し笑う。
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「でもさ」
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舞衣は少しだけ真剣な顔になる。
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「もう怖くないかも」
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伊織は一瞬黙る。
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「慣れた?」
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「ううん」
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「違う」
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舞衣は視線を上げる。
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「一緒にいるのが普通になっただけ」
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伊織は小さく息を吐く。
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「それ一番強いやつだな」
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少し沈黙。
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そして。
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「なあ舞衣」
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「ん?」
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「俺たちさ」
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「うん」
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「もう戻れないよな」
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舞衣は一瞬だけ考えて、
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小さく笑う。
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「戻る必要ある?」
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その言葉で、すべてが決まる。
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――揺れは消えない。
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でも確信は強くなる。
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一方その頃。
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学校。
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「もうさ」
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神保が言う。
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「見てるこっちが安心するレベル」
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「わかる」
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相葉が笑う。
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「逆に完成されすぎてる」
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二宮は静かに言う。
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「“恋愛”っていうより“関係”だな」
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蒼葵は少しだけ目を細める。
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「壊れないよ、あれは」
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七瀬も静かに頷く。
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「うん。もう誰にも触れられない場所にいる」
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――そして。
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その“確信”は、少しずつ周囲にも伝染していく。
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騒ぎは起きない。
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疑いも増えない。
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ただ、“理解”だけが増えていく。
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