■第47話 「友人たちの気づき――“本当の関係性”」
――隠しているつもりでも、近すぎる距離は必ず誰かに伝わる。
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「なあ」
神保亘が言う。
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「最近さ」
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「もう“付き合ってるかどうか”って話じゃなくなってね?」
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相葉正佳が頷く。
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「うん」
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「“どこまで進んでるか”の空気ある」
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二宮真匡が腕を組む。
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「完全に一線越えた関係の雰囲気だよな」
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柘植拓人が苦笑する。
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「いや見てる側が勝手に察するレベルなんよ」
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水瀬蒼葵は少しだけ視線を落とす。
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「でもさ」
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「ちゃんと止まるところは止まってると思う」
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西宮七瀬が小さく頷く。
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「うん」
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「“大事にしてる関係”って感じする」
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一方その頃。
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誰もいない放課後の校舎。
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使用されていない空き教室。
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「ここ……ほんと誰も来ないな」
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神谷伊織が鍵を確認する。
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「うん」
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白瀬舞衣が小さく頷く。
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静かな空気。
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外の音もほとんど届かない。
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「ねえ伊織」
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「ん?」
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舞衣は少しだけ近づく。
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「今日さ」
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「なんか……ずっと見てた」
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「誰が?」
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「クラスの子たち」
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少し間。
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「それで?」
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「ちょっとだけ」
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舞衣は視線を逸らす。
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「落ち着かなかった」
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伊織は一瞬だけ黙る。
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「……嫉妬?」
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「またそれ言う」
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小さく笑う。
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でもその笑いは、すぐに消える。
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代わりに、少しだけ距離が縮まる。
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言葉より先に、空気が変わる。
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「伊織」
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「ん」
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「ここ、ほんと誰もいないよね」
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「ああ」
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その瞬間。
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舞衣はそっと距離を詰める。
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視線が重なる。
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――静かで、逃げ場のない距離。
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やがて、ほんの一瞬。
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お互いの呼吸が触れるほど近くなる。
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それは“確認”のような時間だった。
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言葉はいらない。
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そして少しだけ長い沈黙のあと、
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二人は自然に離れる。
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「……行こっか」
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伊織が言う。
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「うん」
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舞衣は小さく頷く。
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――それだけ。
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でもその“それだけ”が、
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周囲にいる友人たちの直感を確信へと変えていく。
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教室に戻ると。
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「やっぱさ」
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神保が言う。
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「もう普通の関係じゃないよなあれ」
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相葉が笑う。
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「でも壊れてないのがすごい」
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二宮が静かに言う。
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「むしろ完成してる」
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蒼葵は小さく呟く。
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「守られてる関係って、ああいうのかもね」
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七瀬も頷く。
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「うん。たぶん誰にも崩せない」
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――“本当の関係性”。
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それは説明ではなく、
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空気で伝わるものだった。
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