表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
39/53

■第39話 「学校の噂と小さな誤解」


 ――“事実”は一つでも、“噂”は無限に増える。



「ねえ聞いた?」



 教室の隅。



 女子グループの声が広がる。



「白瀬舞衣と神谷伊織ってさ」



「めっちゃ仲いいよね」




「いや、もう家族なんでしょ?」



「義理の姉弟ってやつ」




 百瀬晴海ももせ はるみが少し困った顔をする。



「でもさ」



「それにしては距離近くない?」




 三森祥子みもり しょうこが頷く。



「手繋いで登校とか普通じゃないよね」




 遠藤千夏えんどう ちなつが小声で言う。



「恋人に見えるっていうか……」




 その言葉で、空気が少しだけざわつく。




 一方。



 男子側。



「なあ伊織」



 神保亘しんぼ わたるが言う。



「お前ら、噂やばいぞ」




「何が」



 伊織は机に肘をつく。




「“やっぱり付き合ってる説”出てる」




 相葉正佳あいば まさよしが笑う。



「まあ見えるもんな」




 二宮真匡にのみや ただしは腕を組む。



「否定できる材料もないしな」




 柘植拓人つげ たくとがニヤッとする。



「むしろ隠す気ゼロだし」




「いや」



 伊織は即答する。



「隠してないだけだ」




 その時。



 教室の後ろ。



 水瀬蒼葵みなせ あおいが小さく呟く。



「それが一番誤解されるんだよね」




 西宮七瀬にしのみや ななせが続ける。



「でも真実って、案外そういうものかも」




 ――その頃。



 校内掲示板。



 新しい噂が追加されていた。




『白瀬舞衣と神谷伊織、実は“恋人関係”では?』




 戸次佳未とつぎ よしみがそれを見てため息をつく。



「もう何が本当か分かんないね」




 森本千穂もりもと ちほが不安そうに言う。



「でも本人たちは否定してないよね?」




 櫻井博和さくらい ひろかずが肩をすくめる。



「否定する理由もないんじゃね?」




 盛本貴文もりもと たかふみ



「もう半分は事実扱いだろこれ」



 三好朱美みよし あけみ



「でもそれが一番平和じゃない?」



 福島彌生ふくしま やよい



「変に隠すよりはね」




 ――誤解は増える。


 でも悪意は減っていた。




 放課後。



「なあ伊織」



 神保が言う。



「お前らの関係ってさ」




「説明すると余計ややこしくなるタイプだよな」




 伊織は少し笑う。



「まあな」




 その横で舞衣も小さく笑う。



「もういいよ、それで」




 “正しく伝わらない関係”。



 それでも壊れない関係。




 その夜。



 白瀬家。



 神谷紫苑かみや しおんが言う。



「噂は残るわね」




 白瀬文隆しらせ ふみたかが頷く。



「それでいい」




「真実はもう守られている」




 舞衣と伊織は顔を見合わせる。




「……まあ」



 伊織が言う。



「別に困ってないしな」




「うん」



 舞衣も頷く。




 ――誤解の中で生きる日常。



 それはもう、壊れる気配のない穏やかな世界だった。




最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——


ブックマーク & 評価★5 をぜひお願いします!


その一つひとつが、次の章を書き進める力になります。

読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。


「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ、見逃さないようブックマークを!

皆さまの応援がある限り、次の物語はまだまだ紡がれていきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ