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■第31話 「蒼葵の決意――最後まで守る」


 ――誰かが守るなら、私は“最後まで残る側”になる。



「……やっぱり、そういうことなんだね」


 放課後の図書室。



 水瀬蒼葵みなせ あおいは静かに言った。



 目の前には、神谷伊織かみや いおり



「……何がだ」



「全部」



 短い返事。



「義理の姉弟」



「記者」



「芸能界」



「クラスの空気」



 一つずつ指を折る。



「全部、もう戻れないところまで来てる」



「……」



 伊織は否定できない。



「でもね」



 蒼葵は少しだけ笑う。



「私はまだ“間に合う側”だと思ってる」



「……どういう意味だ」



「壊す側じゃないってこと」



 ――静かな宣言。




 その時。



「ねえ」



 水瀬蒼葵は一歩近づく。



「私、決めた」



「……何を」



「最後まで味方でいる」




 空気が止まる。



「……それ、重いぞ」



「知ってる」



 即答。



「でも」



 視線を逸らさずに言う。



「もう途中で降りる方が嫌」




 伊織は少し黙る。



「……なんでそこまで」




 蒼葵は少しだけ目を伏せる。



「最初は違和感だった」



「でも今は」



 顔を上げる。



「“嘘じゃないもの”の方が見えてる」




「だから守る」



「たとえ誰が敵でも」




 その言葉は、


 軽くない。



 逃げ道もない。




 一方。



 校内。



「……やばいなこれ」



 神保亘しんぼ わたるが呟く。



「何が?」



 相葉正佳あいば まさよし



「空気」



 二宮真匡にのみや ただしが言う。



「完全に“分かれてる”」




 教室。



 百瀬晴海ももせ はるみ



「蒼葵さん、すごいね」



 三森祥子みもり しょうこ



「普通あそこまで踏み込めない」



 遠藤千夏えんどう ちなつ



「逆に怖いくらい」




 その時。



「……あの人」



 百瀬が呟く。



 廊下の先。



 水瀬蒼葵。



 その背中は、


 もう迷っていなかった。




 一方。



 東繭子ひがし まゆこ



「……いいわね」



 記事データを見ながら笑う。



「“守る人間”が増えるほど」



「ネタは強くなる」




 林輝久はやし てるひさ



「公表直前です」



「ええ」



 東は言う。



「だからこそ」



「“その後”を狙う」




 一方。



 白瀬家。



「……蒼葵さん」



 白瀬舞衣しらせ まいが呟く。



「本当に巻き込んでいいのかな」




 神谷紫苑かみや しおん



「もう巻き込まれてる」



 即答。



「でも」



「味方は多い方がいい」




 神谷伊織かみや いおり



「……あいつ、ほんとに覚悟決めたな」




 紫苑が少しだけ微笑む。



「いいことよ」



「守る人間がいる限り、崩れにくい」




 そして――



 夜。



 水瀬蒼葵は一人で歩いていた。



「……最後まで」



 小さく呟く。



「絶対に」



「見届ける」




 その視線の先には、



 まだ誰も知らない“明日”。



 公表の日。



 そして――



 崩壊か、再構築か。



 すべてが決まる一日が近づいていた。




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