■第29話 「ライバルたちの動き」
――火は、一つでは終わらない。
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「……面白くなってきたわね」
静かな楽屋。
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鏡の前に座る女。
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眞木貴美恵。
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白瀬舞衣の“宿敵”。
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「国民的女優がスキャンダル」
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「しかも」
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スマホを見ながら笑う。
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「家族設定付き?」
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「芸能界なめてるわね」
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その頃。
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別スタジオ。
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周藤茉子25歳。
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「これ……ガチなの?」
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マネージャーが答える。
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「まだ確定ではありません」
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「でも」
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「事務所が動いてます」
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「ふーん」
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髪をかき上げる。
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「じゃあ」
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「使えるね」
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さらに。
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若手スタジオ。
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山瀬眞美16歳。
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「え、すご」
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「白瀬舞衣って本当に彼氏いたの?」
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スタッフが言う。
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「そこは未確定だ」
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「でも“疑惑”は事実」
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「……じゃあ」
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無邪気に笑う。
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「話題になるじゃん」
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――世代が違う。
だからこそ怖い。
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一方。
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事務所会議室。
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陣川千夜子。
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「外から火が増えたわね」
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白瀬文隆。
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「想定内だ」
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神谷紫苑。
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「想定内で済む規模じゃないわよ」
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冷静な声。
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「今は」
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「三方向から燃えてる」
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①記者(東・林)
②敵事務所(倖田兄弟)
③芸能界ライバル(眞木・周藤・山瀬)
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「……完全に戦場ね」
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陣川が呟く。
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「ええ」
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紫苑が言う。
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「だからこそ」
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「今“公表”する意味がある」
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その頃。
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学校。
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「……やべえなこれ」
和真。
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「何が?」
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神保亘。
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「芸能界まで動いてる」
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「え、マジ?」
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相葉正佳。
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「これもう」
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二宮真匡。
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「個人の話じゃないだろ」
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教室。
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百瀬晴海。
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「なんか怖くなってきた」
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三森祥子。
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「芸能界ってこんななの?」
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遠藤千夏。
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「別世界すぎる」
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その時。
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「……ねえ」
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西宮七瀬。
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「これさ」
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「ただの噂じゃなくなるよ」
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「……」
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「“物語”になってる」
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一方。
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水瀬蒼葵。
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「完全に囲まれたね」
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スマホを見ながら。
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「でも」
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目を上げる。
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「まだ終わってない」
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夜。
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スタジオ裏。
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眞木貴美恵。
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「白瀬舞衣」
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「落ちるところ、見てみたいわね」
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周藤茉子。
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「タイミング次第で一気にいける」
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山瀬眞美。
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「これ、チャンスだよね?」
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――全員が動く。
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敵も、味方も、観測者も。
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全てが“同じ一点”を見ている。
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白瀬舞衣と神谷伊織。
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その関係が――
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世界の中心になっていた。
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そして。
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事務所。
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「……もう限界ね」
陣川が言う。
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「明日よ」
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紫苑が静かに言う。
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「動くのは」
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白瀬文隆。
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「……ああ」
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低く答える。
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「明日」
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「すべてを終わらせる」
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――宣言。
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しかしそれは同時に、
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“始まり”でもあった。
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