■第14話 「共闘――幼馴染と美少女が手を組んだ日」
――最悪の展開。
そう思ったのは、
「ちょっといい?」
蒼葵と七瀬に同時に呼ばれた瞬間だった。
⸻
「……なんで二人一緒なんだよ」
「決まってるでしょ」
蒼葵が言う。
「利害が一致したから」
「は?」
⸻
「神谷くんの秘密」
七瀬が続ける。
「暴きたいの、私たち」
――終わった。
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昼休み。
屋上。
逃げ場なし。
⸻
「……で?」
「で、じゃない」
蒼葵が腕を組む。
「今日は“答え”もらうから」
「……何の」
「全部」
即答。
⸻
「ねえ神谷くん」
七瀬が近づく。
「もうさ」
「……」
「嘘つくのやめなよ」
真っ直ぐな目。
⸻
「……嘘なんて」
「ついてる」
蒼葵が遮る。
「バレバレ」
「……」
⸻
「ねえ」
蒼葵がスマホを出す。
「これ、覚えてる?」
画面。
――あの写真。
距離が近い、俺と舞衣。
⸻
「……それが何だよ」
「これだけじゃない」
七瀬が言う。
「昨日のあの女優」
「……」
「明らかに関係者だったよね」
⸻
「さらに」
蒼葵が続ける。
「今日」
「……」
「白瀬さん、あの人たち見て“反応した”」
完全に観察されてる。
⸻
「結論」
一歩前へ。
「ただのクラスメイトじゃない」
――確定。
⸻
「……」
言い返せない。
⸻
「で?」
七瀬が距離を詰める。
「何?」
「……」
「恋人?」
ドクン、と心臓が鳴る。
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「……違う」
「じゃあ何?」
さらに詰める。
「答えて」
⸻
「……」
言えない。
絶対に。
⸻
「ねえ蒼葵」
七瀬が言う。
「やっぱり“直接いく”?」
「そうだね」
即同意。
「白瀬さん呼ぶ?」
「やめろ!」
思わず叫ぶ。
⸻
「ほら」
蒼葵が言う。
「やっぱり関係あるじゃん」
「……」
「ねえ伊織」
声が少しだけ柔らかくなる。
「なんで隠すの?」
「……」
「私たちに言えない理由?」
――その通り。
⸻
「……守りたいからだよ」
思わず出た言葉。
⸻
「……え?」
二人が止まる。
⸻
「……何を」
蒼葵が聞く。
「……」
言いすぎた。
⸻
「誰を」
七瀬が詰める。
完全に核心。
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「……」
沈黙。
それが答えになる。
⸻
「……そっか」
七瀬が小さく笑う。
「やっぱりあの人なんだ」
確信。
⸻
「……ねえ」
七瀬が言う。
「じゃあさ」
一歩、さらに近づく。
「奪ったらどうなるの?」
「……は?」
「神谷くんを」
まっすぐ見る。
「私が本気で奪ったら」
――空気が凍る。
⸻
「……やめろ」
「なんで?」
「……」
「だってさ」
笑う。
「それで崩れるなら、その程度でしょ?」
挑発。
⸻
「……っ」
言い返せない。
⸻
「七瀬」
蒼葵が止める。
「それは違う」
「え?」
「壊したいわけじゃない」
蒼葵は俺を見る。
「知りたいだけ」
――真逆のスタンス。
⸻
「ねえ伊織」
一歩近づく。
「最後に聞く」
「……」
「私に隠し続ける?」
その言葉が、一番重い。
⸻
「……」
答えは決まっている。
⸻
「……隠す」
はっきり言う。
⸻
「……そっか」
蒼葵の目が、少しだけ揺れる。
⸻
「じゃあ」
顔を上げる。
「私もやり方変える」
「……?」
「証拠、集める」
――完全に捜査モード。
⸻
「私も」
七瀬が言う。
「遠慮しない」
にやっと笑う。
「全力で奪う」
――宣戦布告、再び。
⸻
「……」
完全に終わってる。
⸻
その時。
「……楽しそうだね」
聞き覚えのある声。
振り向く。
⸻
城之内弥生。
そしてその隣に――
清水柚莉愛。
⸻
「……また来たのかよ」
「観察中だから」
「面白いしね」
完全に観客。
⸻
「ねえ舞衣」
柚莉愛が言う。
――後ろ。
⸻
いつの間にか。
白瀬舞衣が立っていた。
⸻
「……」
無言。
でも。
その目は――
明らかに“怒っている”。
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「ねえ」
七瀬が一歩前に出る。
「ちょうどいいじゃん」
笑う。
「直接聞く?」
――最悪の提案。
⸻
「……やめて」
舞衣が小さく言う。
⸻
「なんで?」
「……」
「言えないんでしょ?」
完全に詰める。
⸻
「……」
沈黙。
⸻
その瞬間。
舞衣が――
一歩前に出た。
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俺の隣に立つ。
⸻
「……関係あるよ」
小さく言った。
⸻
「……え?」
全員が止まる。
⸻
空気が凍る。
⸻
「……でも」
続ける。
「言えない」
その一言。
⸻
――ギリギリで止めた。
⸻
「……何それ」
七瀬が笑う。
「余計気になるじゃん」
⸻
「ねえ」
蒼葵が言う。
「それってさ」
「……」
「もう“認めてる”よね?」
⸻
「……」
否定できない。
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完全に。
追い詰められていた。
⸻
蒼葵は“暴く側”に回り、
七瀬は“奪う側”に回る。
弥生と柚莉愛は“見抜く側”。
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そして舞衣は――
“守る側”。
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四面楚歌どころじゃない。
⸻
――完全包囲。
⸻
秘密は、もう崩れる寸前だった。
⸻
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