左遷先は冒険者ギルドだったわけだ!? その2
■ 造形魔法
「和田にゃん、若いね!僕びっくりしちゃった」
「にゃん!?にゃんだと???」
いや、こっちがびっくりだわ。
「ははは、和田殿、みんなも、若返ってる」
しかし、タエちゃんが良くしゃべるのな。
「それより、和田っち、 早く、冒険行きたいでやんす」
「なんだ、不思議じゃないのか?」
「・・・異世界なんで、設定として理解できるでやんす」
タクちんは少し慣れてきたのか?
異世界バージョンのほうが可愛らしくていいな。
「終わったぞい。大体わかった」
「おお、どうだった?」
「ふむ、カミィのほうは、近くの山にも材料はありそうじゃ」
「ほんとか!?」
「ただ、エンピッツはな、造形魔法で作る必要があるのぉ」
どういうことだ?
「真ん中の黒いのじゃな。これは炭が固まっておるな」
「確かに、作り方は焼き固めてるはずだな」
「うむ、造形魔法あれば手軽にできるじゃろ」
造形魔法ねぇ。
もしかして、その魔法って希少なやつなのか?
「タク殿、すごいな!」
「うわ、びっくりでやんす」
なんだ?
おいおい、なんだ、タクちんの手の上に、
ドラゴンのような彫刻が現れた。
「大賢者さん、あれ、使い魔増えた?」
「ふははは、なんじゃ、お主のお仲間は造形魔法の使い手じゃぞ」
「和田っち、これなんでやんす!」
「なんとも、ここまでの造形魔法は、わしも久しぶりにみたぞい」
「ドラゴン見てたでやんす、それでいいな! 欲しいなって、そう思ったら、いきなりドラゴン出てきたでやんす」
なるほど、思うだけで作れるってことか。
こりゃ、かなりすごいやつだわ。
都合よすぎるだろ、ゲーム見たいだな。
「これでエンピッツも大丈夫そうじゃ」
「なら、紙のほうだな。どうすればいい?」
「うむ。ここから南に馬車で二刻かの。エサキスの木を取ってきてくれ」
「なるほど、二刻・・・二時間くらいってことな」
馬車か、感覚がよくわからんな。
すぐに行ける状況なのか?
「物凄い冒険になるかも、なんてちょっとビビってたんだが」
「今日は準備をするがよい。近くとはいえ、魔物もおるでな」
「「「「魔物」」」」
みんな、ハモったな!
まあ、魔物ってやつは、アニメとかゲームの中だけだもんな。
「魔物って、何がいるでやんす?」
「その付近は、マッドディアー、レッドボアあたりかの」
えーと、狂った鹿と、赤いイノシシ?
強いのかな、俺ら戦って勝てるのか?
「大賢者さんよ、俺ら戦い方とかあんまりわかってないんだが」
「うむ、そのまま出すわけにもいかんな。まずは冒険者登録するがよい」
「てことは・・・?」
「冒険者ギルドへ紹介状を書いておいた。持っていくがよい」
うひょ、この展開なんかわくわくすんな。
「和田にゃん、早くいくニャン。僕、外に行きたいよ」
「お、おう」
なんか調子狂うな。
引き籠りだったよな?
「大賢者さんよ、冒険者ギルドってどうやっていくんだ?」
「心配せんでよい、そっちの扉開けたらすぐじゃよ」
なるほど、俺らの来た扉の反対ね。
「ちょっくら行ってくる」
「うむ、ギルドで色々聞いてくるがよい」
■ 冒険者ギルドへ
おっしゃ、行くぜ!
── ガチャリ、キィィィ
長い廊下だなぁ、部屋もたくさんだ。
あ、ほんと、目の前 "冒険者ギルド 裏口” と書いてある。
「和田にゃん、行くよ~。僕についておいで!」
「おいおい、葉山そっち違う!」
葉山め、全く違う方向に行きやがった!
どこ行くんだ!?
「・・・待つでやんす!」
「葉山殿!」
結局みんなついて行ってるじゃねぇか!
はあ、しかたない。
── 扉を出ると・・・
おお、人がたくさんだなぁ。
あれさ、ね、猫耳じゃね?
「和田っち!え、エルフでやんす!」
「ほんとだ、耳とがってるな」
「和田っち、あれなんでやんす!?」
「ちょ、どれ?噴水も独特だし、怪しすぎる雑貨屋?」
いやこれは、飽きない!
うーむ、吸い込んだ息も、匂も、全部が新鮮に感じる!
「和田殿、タク殿、落ち着いて。静かに」
タエちゃんが冷静だ。
こんな日がくるとは。新鮮だなぁ。
て、葉山どこ行ったよ!
「おじさん、それちょうだい!」
「へい。どうぞ!十五シルになります」
って、俺ら金もってないんだぞ。
「葉山さぁ、大賢者さんに冒険者ギルド行けって…」
「なんだって!あんたらハルアット様の知り合いかね」
「ん、まあ、そうなるかな」
「なら、お代は結構です」
え、どういうこと?
「わーい、僕の、お肉!」
「はい、ハルアット様がいなければ、我々は・・・」
なんか、店のおじさん涙ぐんでるし。
ハルアット、すごいやつなんだな。
「おじちゃん、ありがとう。僕お肉大好きなんだ!」
「お嬢ちゃん、よく噛んでお食べ」
なんか葉山やべぇな。
ちゃんと見てないと。
「和田っち、小生もあっち行きたいでやんす!」
「さすが王都だよな。小国って聞いたが、栄えてんじゃん」
「だから、和田殿、タク殿、冒険者ギルドへ行かなくては」
いやー、タエちゃん助かるよ。おいら。
「そうだった。王都はそのうち観光しようぜ」
「・・・はい。戻るでやんす」
── 肉串を離さない葉山を引きずって、今度こそ冒険者ギルドへ!
葉山を逃がさないようにしないとな。
「タエちゃん、そこの冒険者ギルドの扉開けてくれる」
「もちろんだ、和田殿!」
きちんと扉抑えてくれる。
タエちゃん、マジ有能。
「凄い活気でやんすね!」
「賑わってるね」
━━ その依頼は、うちが先に手をつけた!
━━ いやいや、ウチが先だね!
━━ メンバー募集中!アイアン以上、戦士いないか?
━━ キレスジレドまでの護衛行けるパーティーあるか?
ここのギルドは、活気あるのか?
初めてだからわからないが、見た目は賑わっているな。
しかし、酒と獣臭もあるし、喧嘩もあちこちでやってる、いかにも冒険者の巣窟ってやつだ。
「和田にゃん、離してよ!僕歩きたい!」
「勝手に動き回るなよ?」
「和田殿、受付はあそこみたいだ」
えっと、紹介状は…と。
このお姉さんに渡そう。
「あのー、登録したいんですけど。あ、これ紹介状です」
「いらっしゃいませ。当ギルドへようこそ。紹介状確認致しますね」
ん?急に…
なんだろ、お姉さんビビってる?
「し、失礼いたしました!ハルアット様のご紹介ですね!」
ん?慌ててるな。
他の担当に何か言ってる。
んで、その担当、ダッシュで奥に消えたな。
「あ、そうです」
「ここではなんですから、奥へどうぞ。申し遅れました。受付のエディリンと申します」
━━ なんだって、ハルアット様の?
━━ あんな奴らがか?
なんだか、ざわついてるなぁ。
まあ、さっきの肉屋といい、ハルアットはやっぱり大物なんだな。
「これはVIP対応でやんす!」
「だな。葉山!大人しくしとけよ?」
「和田にゃん、僕にだけ冷たーい」
「さ、葉山殿、行きましょう」
タエちゃんが葉山キープだな。
お母さんか。
━━ ガチャ
扉の奥は、応接室?なのか?
てか、恐ろしいのが座ってるぞ。
「これは、いらっしゃいませ。ハルアット様ご紹介の方々」
あー、さっき飛んで行ったのが言い回ってるのな。
「私は当ギルドのマスター、ロンギスタンと申します」
これ、場数踏んだ戦士の風格?
目が合ったとたん、気圧された。
眼光だけで負けそうって感じ。
「あ、大賢者さんから、冒険者ギルドで色々聞いてこいって事で。それから、冒険者登録もお願いしたい」
「はい、紹介状で承知しております」
ハルアットさすがだ。
話早くて助かる。
「みなさま、パーティでよろしいのでしょうか? リーダーの方はどなた様でしょうか?」
なぬ、リーダー?
そんなの決めてなかったな。
なんかみんな俺見てるぞ。
「和田殿で良いかと」
めちゃめちゃ爽やかなサムズアップ。
「そうでやんすね」
「僕はだれだっていいやー」
約一名適当だが、まあいいか。
「満場一致で、俺みたいです」
「承知致しました。それでは、一通りお話ししましょう」
「まずは、ランク説明ですね。ランクについてはご存じですか?」
「いやー、お恥ずかしいですが、何も知らないので…」
「かしこまりました。まず、一番最初に登録するとカッパーから始まり、ブロンズ、アイアン、シルバー、ゴールド、ミスリル、オリハルコンという具合に上がっていきます」
なるほど、金属シリーズね。
「なら、俺らもカッパーからですね」
「はい、そうなります。依頼はランクに見合ったものしか受けられません。ランクが上がると、受けられるクエストのランクも上がり、報酬も上がっていきます」
まあ、普通そうだろね。
「ちなみに、大賢者さんはランクはオリハルコンって事?」
「いえ、あのお方は、特別ランクでレジェンドランクとなります。ハルアット様と、そのパーティメンバーのみ許されたランクです」
なるほど、間違いなく、英雄クラスってわけだ。
「それでは、さっそくギルド登録証を作成しましょう。こちらにご記入を」
どん、木の板四枚。
あ、紙ないんだっけ。
ふーん、名前、職業だけでいいのか?
「こんな簡単でいいの?」
「はい、あとはハルアット様考案の、"見通す物"を使って、自動で確認されます」
「なるほど、楽でいいね」
「はい、スキルなども判明します」
よし、書けた。
いや、刻んだ、が正解だな。
木の板だもんな。
「あれ、こっちの文字読めるし、書けるでやんす」
「ああ、こっちに来たら、俺の同行者には情報が共有されるみたいだな」
「和田殿、私も書けました」
「和田にゃん、僕も書いたー」
どれどれ、職業、みんな会社員て。
まあ、それは間違いないけどな。
「あの、実は俺たち、大賢者さんに呼ばれててて」
「あ、存じております。この事は内密にしますので、ご懸念に及びません」
「で、俺たち職業って、ここでどうなるのかわからないんです」
「なるほど、それも大丈夫です。もともと、なにもわからずとも、"見通す物"で全部わかりますから」
なにそれ、めちゃくちゃヤバくない?
── ”見通すもの”での鑑定結果は驚きの結果だった




