左遷先は冒険者ギルドだったわけだ!? その1
■ 翌朝
━━ やっべ!遅刻!
ん?ここどこだ?
あ、そっか。引っ越したんだったな、赤島倉庫だ。
昨日は初の異世界転移だったし、疲れたな。
何時だ?スマホどこだっけ。
時間は?七時二十八分。
ふぁー、食堂行って見るか。
タエちゃん、朝飯の支度か。
「おはよ、タエちゃん早いね。あれ、タクちんは?」
「…」
首振ってる。
めずらしいな。いないのかな?
「いただきます!」
てか、タエちゃんはいつ食べてんのかな。
飯食ってたら「今日どうするでやんす!」って、来ると思ったがな。
━━ タエちゃんの朝食を堪能
いやー、美味かった。
「タエちゃん、美味かった。ごちそーさま」
━━ カーン!トントントントン!
調理場からだ。これ返事なんだろな。
美味しい飯の後の、コーヒー最高!
んー、それにしてもタクちん来ないな。
まだ寝てんのか?
七時五十分だな。起こすか。
━━ コンコン
あれ?反応ないな。
「おーい、タクちん」
どした?まじ反応ないよ。
━━ ガチャり
おいおい、なんだこの部屋。
ジオラマとフィギアが異常な量だ。カオスだな。
どうやって生活してんだ?
あ、でも、居ないな。ベッドの布団めくれてる。
ん?
なんだ??
ジオラマの山のっぺん、"でやんす!"って。
なんのこっちゃ。
他にもあるな…いや何にも見てません。
行こ行こ。
━━ トイレ、風呂場、事務室、どこにも居ないんだが
マジどこ行った?
あとは、やばい部屋だよな。
まあ、どうせいくから、行ってみるか。
角曲がったら、遠くに例の扉見える…
ん?なんかいるな。
「早くするでやんす!」
なんか叫んでるな。
タクちん、仁王立ちなんだが。
ん?ちょっと待て。ぞわっとしたぞ。
なんだろ、歴代倉庫の扉から何か出てないか?
この前よりも、怪しいオーラが漏れて出てる? そんな感じがする。
なんか、色々と近く行きたくねぇ。
「どした、タクちん。飯は?」
「何言ってるでやんす! そんな事は後でやんす! じっとしてられないでやんす!」
「張り切り過ぎ!落ち着け」
まだ準備してないっての。
「準備は終わってる?」
「笑止!」
なに、怖いけんだけど。目が据わってる。
「じゃあ、タエちゃんと、葉山呼んでくるから、ちょい待ってて」
「了」
なんだ、不機嫌すぎると、"でやんす"なくなるのか?
━━ タクちんやばいぞを、連呼しタエちゃんと葉山を連れてくる
いやー、めっちゃ急いできたわ。
てか、タクちんが、めちゃくちゃ足トントンしてる。
「遅すぎでギャンズぅ!」
「どした、鼻垂れてんぞ」
「いやー、葉山に言ってくれる? 行くの怖いとか、いきなり言い出したもんで」
「扉開かなくなったら、どうするでやんすか!?」
お、メガネをビッシ!押し上げたぞ。
「ばかちんがぁー、異世界が待っとるでしょーがー!」
タクちん壊れてない? 緊張MAXで限界突破してんな。
ヤバい部屋からの狂気も感染してる?
「・・・ごめん。やっぱり、僕怖くて・・・」
「これからすぐに行くんだし、葉山も謝ってるしさ、許してやれって」
またメガネをビッシ!押し上げる。
「仕方ないでやんすね。葉山殿、貸しでやんすからね!」
「・・・わかった」
行く前から疲れさせるなよ・・・。
「よし、じゃあ行くぞ?準備いいか?」
「早くいくでやんす!」
「・・・僕も、大丈夫」
タエちゃんは、うん、サムズアップ。
■ 全員で異世界へ!
── 俺は頷いて、歴代倉庫扉に触れた。
「「「「うわ」」」」
一呼吸おいて、体がぶれる。
重低音が響き、耳鳴りがしてきた。
そして視界は拡散し、徐々に収束していく。
── すとん、ハルアットの部屋に着地。
「相変わらず、お主はタイミング悪いのう」
「悪い、飯食ってた?」
「ふむ、まあ良い。しかし大勢だの」
「すまん、やっぱり俺一人じゃできること限られるからな」
紹介しとかないとな、えっと・・・。
まずは見た目、説明しておかないとだよな。
━━ なぜ若返るのか、ちょっと共有した
「て、訳で俺もびっくりな若さだけど、皆も全然違うからな? まあ、それはいいとして、こちらが、大賢者のハルアットさんな」
「雑な紹介じゃな・・・」
「大賢者様、タエです!よろしく」
うは凛々しすぎる。はきはき喋るやん。
男前な凛々しいお姉さま。
へ?その後ろに隠れてる、可愛らしい少年は。
もしや・・・タクちん?
え?何も言わないのか?
「おばあちゃん、僕、レイだよ!」
もたもたしてるから、いきなり出てきたぞおい。
なにこの元気な僕っ子。
レイ・・・?ああ、葉山レイな!?
何、めっちゃ陽キャじゃん。
可愛らしいな、おい。
「あ、あの、小生、タクちんでやんす・・・」
語尾消えてる?これがタクちんなのか?
やんすは健在なんだな。
「うむ、わしが大賢者のハルアットじゃ。よろしくの」
「じゃあ早速だけど、紙の作り方説明するわ」
タクちん大丈夫か?
あんだけ張り切ってたんだが、この変わりよう。
みんな性格も変わってるよな・・・
■ タクちんによる紙の作り方
「タクちん、行けるか?」
「は、はい、じゃあ、説明するでやんす・・・」
── たくちん、十四工程の紙づくりをたどたどしく説明する
「ふーむ、でやんすが、でやんすで、でやんす、だらけじゃな」
「まあそうなるよな」
「まあ、整理はできるわい、ところで、その薄ぺらなのが?」
「・・・そうでやんす、この読み上げたものが紙でやんす」
「見せてくれんかの」
色々やってんな。
まあ木の板からあの薄さだもんな。
衝撃だろうな。
「素晴らしい!カミィが手に入れば、整理、持ち運び楽じゃな!」
「はは、紙、な。あ、あまり強く引っ張ると、破れるからな」
「なんと・・・」
── ビリビリ
「言わんこっちゃない」
「なんと、こうなるのか。気をつけんとじゃな」
「ところでじゃ、このカミィに書かれた文字は? まったく読めないのじゃが」
「ああ、そうか。それが俺らの文字なんだよ」
「お主は、我らの文字を書けるはずじゃ」
なるほど、そうらしいな。
指輪の力は偉大だな。
「わかった、あとで書いておくよ」
「頼む。ところでじゃ、カミィにはどのように文字を刻むのじゃ?」
「確かに、そっちまで考えてなかったな。これは刻むんじゃなくて鉛筆っていう道具で書くのさ」
「なんと、エンピッツ?それは、どのようなものじゃ?」
どう説明したもんか?
「ハルアットは、魔法で解析みたいなことはできるのか?」
「わしは大賢者じゃぞ!?」
「なら、実物渡したほうがよさそうだな」
「タクちん、和紙と鉛筆あったよな?」
「・・・こ、これどうぞでやんす」
タクちん、ほんと同一人物か??
「ふむ、では鑑定するぞい」
なんかムニャムニャ言ってるが、そんなんでわかるのか?
どれくらい鑑定かかるんだろうな?
よくわからないが、空気が集約している感じがする。
空気が振動して、目に見えるみたいだ。魔力ってやつか?
── この鑑定結果が、俺たちの行先を左右することになる




