表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
定年間近の左遷先が冒険者ギルドなんだが!?  作者: Jiru-man
第二部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
48/49

ロークス連邦横断 古の神獣編

挿絵(By みてみん)





◼️ 謎の咆哮


TTタンクは道無き道を爆走している。


「実際あとどのくらい距離あるんだ?」

「ダハハハハ、和田君はせっかちだな。ざっと五千キロかな」


和田は首を傾げる。

五千キロと言われてもピンとこないからだ。


「ニューヨークからロサンゼルスまでが、ざっと四千五百キロですぞ!」


「アメリカ横断より距離かかるのか!」


和田の声が驚きで大きくなる。

そして、静かになったバストールに目をやる。


ドワーフの強靭な肉体と精神で、まだ耐えているようだが、果たしてどこまで待つのか?


「いいから進め…」


和田の視線を感じたか、バストール呟くように囁く。


「和田っち、なんか集落が見えてきたでやんす」


運転台から外山の声が聞こえた。


「タクちん、ちょっと情報収集したいから止めてくれ」


しばらくして、ゆっくりとTTタンクが停車した。


降りてみると、小屋が二棟建っており、柵に囲まれた中に牛が数十頭草を食んでいる。


集落ではなく牧場のようだ。


小屋の一つを和田がノックすると、ガチャリと扉が開き老人が出てきた。


「なんじゃね、こんな寂れた牧場に何の用か?」


「突然すみません、僕らはアフテンスラットまで旅をしていまして、このままこの山沿いに進めますかね?」


和田がなるだけ感じ良く、丁寧に声をかける。


「んー、道はずっとこんなもんさ。あと、盗賊が出るって聞いとるがな」


「アフテンスラットだと、どのくらい日にちかかりますか?」


少し考えて老人が答える。


「そうさな、おいらは行った事ないが、馬車で二十日はかかると聞いたな」


「二十日も!?」


和田が振り返ると、豊明が頷いている。


「ダハハハハ、まあ馬車ならそんなもんですぞ」


豊明の見立てが正しいということなのか?

和田が考えいると、老人が思い出したように話し出す。


「そうじゃ、あんた達も気を付けなさい。おいらなんかおっかなくてよぉ…」


老人が語ったことは以下のようなことだった。


ある日、老人が少し森の奥へ薪を拾いに入ったときだった。


── ギィィィィガァァァァ


突然、謎の咆哮が響き渡り、鳥は辺りから飛び立ち、獣が奥から飛び出してきたという。


老人は雪解けから雪が降る前までここの牧場で牛を飼い、冬の間はここを牛たちと離れるのだという。


その生活をもう四十年ほど続けているが、そのような謎の咆哮が初めて聞こえたというのだった。


ただ、このセイダール山脈は大陸で一番険しい山脈で、まだ誰も入ったこともない険しい山も多いとか。


神獣が住み着く、という言い伝えもあるという。


「そんなわけでよ、おいらもちぃと早いが、ここを引き上げようかって思っとってな…」


老人の話を聞いたが、和田にも豊明にもなんとも言えなかった。


そのほか特に話は聞けなかったので、TTタンクに戻る和田と豊明。


「一応、このまま進めそうだからな、タクちんすまんがしばらく頼んだ」


再びTTタンクが走り出した。


■ 神獣の試練


道は荒れているものの、順調に進んでいた。

日も暮れてそろそろ野営に入ろうか、そんな時間だった。


── ギィィィィガァァァァ


激しい咆哮が辺りを包む。


── バサッ、バサッ、ズドーン


TTタンクの目の前に、巨大なものが飛来し地響きを伴って舞い降りた。


挿絵(By みてみん)


「ひぃ、和田っち、なんかすごいのが来たでやんす!」


── キッィィィィッ


TTタンクが急ブレーキをかける。

何事かと、皆が外に出てくる。


── !!!!


そこには怪しい目の光があって、異様な威圧感を放っており、圧倒的な存在感を放っている。


全容が見えないのだが、見たくないとさえ思うほどだ。


そこで、外山が魔法で火をつける。

薪に燃え移った火が大きくなり、全体が浮かび上がる。


「ド、ドラゴン!?」


目の前には、藍色のドラゴンがこちらを凝視している。


(なんだか面白い匂いがすると思ったが…)


その場にいる全員の心に、直接響いてくる。

だが、誰も動くことも、声を発することもできない。


(なんだ、(いにしえ)のテイマーの匂、うーん、それに祝福か? なんとまあ、時の雫か!)


どうやら、こちらを襲う目的ではないように見える。


「あの、どのような目的でこちらに…」


恐る恐る和田が話しかける。


(ん? なんじゃ、今度は英雄の力? お前たちは何なんじゃ? ちょっと待て、そこにおるのは大賢者か!? また何をしでかした)


(なんとまぁ、エルダードラゴン様のお出ましと。ご無沙汰しております)


何故か直接で大賢者/ワーラットの声も聞こえてくる。


「え、なんで大賢者さんの声が聞こえるんだ?」


(ワダアよ、あとで説明してやる。ちょっと待っておれ。ところで、あなた様が何用でこんなところに?)


(ふん、お主ならわかるであろう? ウェスガルガンの皇帝よ。甚だ不快じゃ! そのために、大賢者にも以前に知識を授けたわけだが…)


エルダードラゴンが鼻を鳴らしている。


(やはり、お気づきでありましたか。ワシも不覚をとってこんな状態でして)


ワーラット/大賢者が頭を下げる。


(そうか。あまり人間どもに肩入れするも好きでないが、この状況は不快すぎる。とは言え、無条件で助けることもできんからな)


エルダードラゴンがジュルっと舌なめずりする。


(そこでじゃ、一つだけ助けてやろうかと思うてな。そこの古のテイマーは、海龍の加護を得ておるな!? なら、お前は論外じゃ)


エルダードラゴンがさらに視線を彷徨わせる。


(ならば、そこのドワーフじゃな。"時の雫”の呪いを解呪してやろうではないか)


皆が期待に顔を見合わせる。


(だがな、簡単にはいかんぞ!? ドワーフに試練を与える。見事試練を超えたらの話だ。この龍体に僅かでも傷をつけることができれば、助けてやろう。できないときはそのまま死んでもらう)


「それは無理です、もう起きることも…」


和田が思わず答える。


「小僧! 何を勝手に。黙らんか、このバストール、三百年の鍛錬の力見せてくれる。その試練乗った!」


(ふむ、良かろう。では来るが良いドワーフよ)


◼️ 試練


バストールが肩で息をしている。


全身からは汗が吹き出ており、立っているのもやっとだった。


どれだけの斬撃を浴びせても、不意をついても、受け止められて終わりだった。


(どうした? ドワーフよ。そんなものか? 三百年の鍛錬とやらは?)


「この一撃に全てを乗せる!」


バストールが目を閉じて、深呼吸をする。


バストールの周囲の空気が流れ、渦を巻いてウォーハンマーを包み込む。


荒い息がピタリと止まり、カッと目を見開く。


── ビュウッ、ババババ


ウォーハンマーを振り上げ、渾身の力で振り抜く。

風魔法も乗っている。


今までに無い勢いで回転し、撃ち放たれているが、エルダードラゴンを大きく逸れて飛んで行った。


(なんだ? 狙う力も無くなったのか? 残念じゃが、死んでもらうしかないようだな…)


エルダードラゴンがバストールに近寄る。


(覚悟は良いか?)


「だからよ、三百年の鍛錬舐めるなってことよ!」


── バババババッ


その時、先程見当はずれな方向に飛んだと思われたウォーハンマーが、大きく弧を描いてブーメランのように返ってくる。


── バシッ、ジャシュッ


ウォーハンマーがエルダードラゴンの脇腹に当たり、ほんの少しだけ抉れたのだった。


(フハハハハ、なかなかどうして。まあ、及第点じゃがよしとしようか)


「だから舐めるなと言ったはず…」


── ドサッ


ここまできてバストールが倒れ込んだ。

和田が駆け寄る。


(安心するが良い、約束は守る)


── スゥゥゥゥゥッ


エルダードラゴンが空気を吸い込んでいる。

少し溜めて、エルダードラゴンの目が光を放ち、口から突風が吹く。


挿絵(By みてみん)


その突風がバストールを撫でているように見える。


突風がおさまると、バストールが目を開いた。


「ガハハハ、嘘だろ? 身体が軽い!」


すたっと立ち上がり、伸びをしたり、前屈してみたりと、バストールは完全に元に戻ったようだ。


(ふむ、これで良かろう。ではな、こうやって助けたからには、ウェスガルガンは任せたぞ)


エルダードラゴンは満足そうに頷いた。


「あの、恐れながら、我々にやらせるより、ご自身でやられた方が良いのでは?」


和田の言葉でエルダードラゴンの目に怒気が宿る。


(わかったような事を言うのだな、人間よ。いいか、このエルダードラゴン、(ことわり)を断つことは可能、だか命を断つことは罷りならん)


和田の質問に愚かなとでもいいたいのか、エルダードラゴンが鼻からブシュっと息を吐く。


(まあ、命を断つことは無理でも、この世界を破滅させるのは簡単じゃな。そうして欲しいのか?)


(どうかこの大賢者に免じてお赦しを。ワダアよ、主は黙っておれ)


和田の肩に手を置き、バストールが下がらせて言う。


「ガハハハ、まあ、黒死教だろうが、ウェスガルガンだろうが、お望み通りぶっ飛ばしてくるさ」


本作品の世界観や設定の補足情報、登場人物についてまとめました。

あれ、これなんだっけ、誰だっけ、そのようなときにご覧ください。


https://ncode.syosetu.com/n8527mg/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ