表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
定年間近の左遷先が冒険者ギルドなんだが!?  作者: Jiru-man
第二部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
42/49

クラーケン討伐へ

挿絵(By みてみん)






◼️ 少佐ようやく我に帰る


(し、しまった! このロークス連邦海軍少佐であるこの…俺が…)


ようやく耐性でも出来たのか、ザルツがやっと自我を取り戻す。


(任務はシーサーペントを連れ帰る! しっかりしろ!)


── バシン


ザルツが突然両手で頰を叩く。


「にゃ? 大丈夫?」

「は、はい、何とか」


軽くよろけたが、何とか踏みとどまるザルツ。


「ハヤマ殿、シーサーペントを連れ帰りたいのだが、どうだろう? 大丈夫であろうか?」


「んー、帰りたくは無いらしいよ。でも、親に怒られるのが怖いから、僕と一緒なら帰るって」


このシーサーペントの子供は、ロークス連邦で育成した成体のシーサーペントの子供なのだ。


世界初の存在であり、ロークス連邦海軍の誇りでもあった。


「ザンギさんだっけ?」

「いや、()()()です」


挿絵(By みてみん)


(ザしか会ってないじゃないか! 所詮俺はそんな存在なのか…)


「ごめんなさい、僕名前とか覚えるの苦手てにゃ」


(ぐはっ、すぐさま自分の非を認めるのか…)


もはやザルツには、アバタもエクボである。


「そ、それで、何でしょう?」

「もしかして、軍船できてるのにゃ?」


ぱっと明るくなるザルツ、やっと得意な面が見せられるかもしれない!


「もちろんです。我が軍の最新鋭の巡洋艦で来ております。ご案内できますよ?」


葉山がニヤっと笑うので、ザルツはこれは来た! と思ったのも束の間…


「クラーケンとか戦えたりする?」


(クラーケン? なぜそんな方向になるんだ?)


「もちろん、軍船ですので、装備もありますし、何度も戦っておりますね…」

「ザルスさん、お願いにゃ!」


(惜しい、()()()ですよハヤマ殿…)


「な、なんでしょうか?」

「クラーケン討伐手伝って欲しいのにゃ!」


ぽかんとするザルツを残し、葉山が和田たちの元へ走る。


「みんな、ザルセさんが、クラーケン討伐手伝ってくれるにゃ!」


(ハヤマ殿…だ、だから()()()です…)


◼️ 守神(ホストル)


「さあ、こちらです」


ザルツが梯子の横に立ち、和田たちを巡洋艦『守盾(ホストラーダ)』号へ案内する。


やってきた和田達を、乗組員が興味津々に見ていた。


そして、連れ戻したシーサーペントの子供は、乗組員が複数人で専用の檻に入れ運ぶ。


「ここまで来る途中で、ある程度話は伺いましたが、クラーケンの心臓を生きたまま取るというは…」


「ん、できないのにゃ?」


「いや、できないことは無いと思いますが。いままで討伐はしてきましたが、そのようなことは試みがありませんので」


ロークス連邦でもクラーケンの需要はあり、一般の漁船では捕獲が難しいため、海軍がその任に当たる。


食用は二の次で、第一の目的は素材としての利用となる。

目玉や被膜を使用した製品や、薬品の原材料としての需要だ。


その時、ホストラーダの右舷から海面が激しく泡立つ。


── ザザザーッ


挿絵(By みてみん)


海中から巨大な頭部が姿を現す。

和田は剣を抜刀し、増山、外山は戦闘態勢に入る。


「あ、皆さん、ハヤマ殿、これは…」


ザルツが説明しようとするが、レッドアイの面々にはそんな余裕はない。

シーサーペントの巨大な頭部が葉山のほうへ向かう。


「葉山! 逃げろ」


叫ぶ和田。

だが、葉山は軽くシーサーペントの頬に触れた。


(フフフ、やっぱりあなたからなのですね、なんだかとても懐かしい匂いが…)


シーサーペントが葉山の心に直接響いた。


(私は守神(ホストル)。もちろん、これはザルツが付けてくれた名です。私たちには名前など不要ですからね)


(僕は葉山レイ、あの小さいシーサーペントはホストルの子供?)

(ええ、そうですよ。あの子を連れてきてくれてありがとう)


「お、おい、葉山どうした?」


剣を構えたまま、和田が焦れる。


「大丈夫。ちょっと待つにゃ、僕が今話してるから」


和田は剣を鞘に戻し、増山も外山も力を抜く。

豊明だけが、嬉しそうにホストルを眺めていた。


(ホストルさん、それでどうしたのにゃ?)

(ちょっと話が聞こえてしまって。あなた困ってるのよね?)


どうやらシーサーペント驚くほど耳が良いらしい。


(ちょっと、クラーケンの心臓が必要で、新鮮なまま取り出す必要があるのにゃ。でもザルサスが難しいって言ってて)


(フフフ、()()()がね。わかったわ、私が手伝うわ)

(うわー、ありがとなのにゃ!)


「みんな、このホストルがクラーケンの心臓取るの手伝ってくれるって!」


■ 豊明の妙技


ザルツ、ホストラーダの乗組員からどよめきが起こる。


「ハヤマ殿、あなたは本当にホストルと話したのですね! まだあなた方には、ホストルの名すら教えていなかったというのに…」


ザルツにとっては、二重の衝撃だった。


(ホストルは普通に呼んでるのに、なんで自分の名前は間違うんだ…)


「コホン、まあ、ホストルが手伝ってくれるのであれば、間違いないでしょう。このザルツ一同、ハヤマ殿、いやあなた方に協力いたしましょう」


シーサーペントはロークス連邦の誇りであり、海軍にとっては絶対的な守護神なのだ。

シーサーペントの子供を保護し、また意思疎通もできると知れば、みな協力的であった。


「あとは、どういう作戦で行くか、だな」


いつものように和田が流れを仕切る。


「ダハハハ、それに関してはいささか自信があるんですぞ! そこの樽、壊れても問題無いかな?」


「それは捨てる予定なんで、お好きにどうぞ」


乗組員が答えると、豊明は前へ進み出て空の樽を運んでいく。

そしてサバイバルナイフを取り出すと、何かを巻き付けている。


── ビュン、ビュン、ビュン、ビュン、ビュン


豊明はサバイバルナイフを振り回して、樽に突き刺す、またナイフを回しては樽に突き刺す、を繰り返している。


何事が起きるのかと、船上の皆が注目していた。

そして出来上がったのは、ナイフを投げ当てて刻み付けた、ピースサインだった。


挿絵(By みてみん)


── おお、乗組員からも歓声が上がる


「豊っち! さすがでやんす」

「いや豊明さん、すごいなこれは!」


外山も和田も興奮気味に妙技を称賛する。


「でも豊明さん、すごいのはわかったけど、これで何をするっていうんです?」


「ダハハハ、和田くん…この私がクラーケンの心臓を丸裸にするんですぞ…」


── 事の詳細を熱く語る豊明、都度補足を入れる外山


豊明の説明に唸る一同。

この妙技を見ていないかったら、到底信用はできないが、この精巧なピースサインを投げたナイフで彫ったのだ、信用せざるを得ない。


「どのみち、他に良さそうな作戦なんて無いからな、豊明さん頼みます!」

「ダハハハ、任せてもらおうか。文字通り、『大船に乗った気分で』ですぞ!」


■ ザルツ確信に至る


ホストラーダがゆっくりと桟橋を離れ、先導するホストルに従い沖合を目指す。


「いや、豊明さん器用ですね。ところでさっきナイフに巻き付けていた糸って?」


「ダハハハ、なんでも極めるのが流儀! あれはね和田くん、PEラインですぞ!」

「PEライン?」


そこに待ってましたとばかりに、外山が口を開く。


「和田っち、PEというのは、ポリエチレン製の糸を複数より合わせて作られた強度に優れたラインでやんす。大物釣りには間違いなく使われるラインで、従来のナイロンやフロロカーボンなんかと比べると…」


「タクちん、わかった。うん、充分わかった。物凄く強い糸ってことだな。うん」


いつものように強制的に和田が割り込む。

外山がまだ核心的説明が終わってない、とブツブツ言っている。


(ぴーいー? ぽりえちれん? 全く何のことなのだ?)


このやり取りを見ていたザルツは、この者たちは未知の何かを知っている、そう思わずにいられないのであった。


(ハヤマ殿の事もあるし、この方々に恩を売ることはロークス連邦にとっても有益なはずだ)


目の前には波も穏やかな海が広がっている。

心地よい風がホストラーダを沖へと運び、ザルツの頬も優しく撫でていた。


本作品の世界観や設定の補足情報、登場人物についてまとめました。

あれ、これなんだっけ、誰だっけ、そのようなときにご覧ください。


https://ncode.syosetu.com/n8527mg/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ