ゴールドランクへの道 消える村人
◼️ モヤモヤ
なんだか和田殿、思い詰めているのかしら?
レッサードラゴン討伐の後からだった。
何かずっと考えているように見える。
── レッサードラゴン討伐の帰り道まで遡る
「和田っち、今回は気絶してないでやんすな」
「そうだな…」
「和田殿、本当にありがとうございました。和田殿がいなかったら、私たちは…」
「そうだな…」
「和田にゃんさ、どうしちゃったの?」
和田殿はなんだか苦しんでる、そんなふうに見えたんです。
葉山殿が心配するくらいなんですから。
「なあ、俺はリーダーやってていいのかな?」
「ノンノン、決まってるでやんすよ。体張って小生を守ってくれたでやんす!」
「和田殿、私も庇ってくださいました」
それでもまだ、何か言い足りない、そんな感じでした。
「もしも、俺がちゃんとやれてなかったら、みんな今頃は…」
「和田にゃんさ、そういうの良くないと思うのにゃ。僕らはこうやって生きているんだし」
本当に、珍しく葉山殿が慰めるほどでした。
「じゃあ和田っちどうするでやんす? 冒険者続けるんでしょ? イストリアで生きていくんでやんしょ?」
「そうです和田殿、まだまだ始まったばかりではないですか!」
そこでやっと和田殿が微笑みました。苦笑いと言うべきでしょうか?
「こんなリーダーで悪いな。これからもよろしくな」
「ぷー、そんなどうでもいい事は置いといて、ラトゥも食べたいし、イカも食べたーい!」
さすがの和田殿も、さらに苦笑するしかありませんでしたね。
── そして追加のクエスト待ちの日々
論功行賞から三日が経ちました。
まだ使者も来ないし、連絡もありませんでした。
「そうだ、和田殿は職業がまだ判明してませんでしたよね。そろそろ見てもらったらどうですか?」
「あ、確かにそうだったな」
多分和田殿には自信が必要なんだと思いました。
私達はまだまだ未熟な冒険者ですからね。
気分転換にでもなれば、と判定をお勧めしたのですが、結果的に良かったみたいです。
◼️ 和田の職業は…
「これはワダア様、お身体如何ですか?」
「治療してもらったし、何も問題ないかな」
「今日は判定に来られた感じですかな?」
何かが変わってるはずだ。
俺の中の何かが話してる。
レッサードラゴンを倒して以降、俺の中で囁きというか、思考というか、薄っすら感じられるんだ。
「では、見通す者に触れてください」
「わかった」
── 緑の不気味な卵に線が入り、目が見開いた
心なしか光ったか?
コトリと板が落ちる音がした。
名前 ワダ キミオ 性別 男
年齢 二十七歳 職業 ナイト
魔法適正 時間 スキル 唯一無二・英雄の右手
「これは、ワダア様の職業と魔法が判明しました!」
「時間魔法? それとナイトって、柄じゃないかな」
「なるほど、この度のレッサードラゴン討伐でも、何度もみなさんを庇っておられたと聞いております。それはまさにナイト以外何者でもありませんよ」
「そんなもんかな? どうも、実感がね…」
その昔、俺が大切にしたかった人は、結局守れなかったんだがな。
「それと、時間魔法とは、かなり希少です。大賢者様でも全容が不明だとおっしゃってます」
「なるほどな、じゃあ詳しくは自分で調べないとって事だな」
希少だからといって、優秀な魔法とも限らないだろうし。
色々と検証しないとダメだって事だ。
◼️ 日々これクエスト
「もー、僕疲れたー、本当にもう終わったのにゃ?」
「そうだ、ようやくだな。なんだかんだで八件も依頼来たしな」
やっと拠点で休める。
腹も減ったし、眠たくもあるな。
俺の職業がわかった直後だったんだ。
最初の依頼がきて、ポロポロと気がつけば八件も。
まあ、ゴールド以上が不在らしいから、仕方ない面はあるがな。
「こき使い過ぎでやんす!」
「確かに疲れましたよね」
本当に怒涛の日々だったよ。
「しかし、オークの拠点討伐は参ったよな」
「あれは、葉山殿がもう少し協力的なら一番簡単でやんした!」
「僕、あの顔嫌い、仲良くなれない!」
「好き嫌いでやられると困るんだよな」
とはいえ、タクちんの囲い込みからのファイヤーストームでかなり楽ではあったな。
「そういうタクにゃんも、洞窟怖いって入って行けなかったよね! よねぇ?」
「二回言わなくても聞こえるでやんす!」
なんか、キツくて疲れたけどさ。
こうやって仲間でわいわい話して、良いなって思うんだよね。
「まったくお前らときたら…って、おいちょっと待った」
「和田殿?」
「赤島倉庫出てきて何日経った?」
「あれと、これと…足して、なんと二週間経ってるでやんすな」
「ちょっとサボり過ぎだよな」
すっかり忘れてた。
もう、赤島倉庫の事とか、日本の事も、頭から無くなってる。
「まあでも、小生が作ったタスクシステム動いてるから、一ヶ月は順番に写真生成して報告出るでやんす。二週間なら向こうでは一週間だから、全然余裕でやんす」
確かにそうなんだがな、ちょっと罪悪感はあるんだよな。
職務放棄ってところだし。
「恐れ入ります! 皆様お戻りと聞きまして…」
ん? 冒険者ギルドの職員だな。息切らしてどうしたんだ?
「緊急で依頼があるとギルドマスターがお呼びです」
「なんだって…」
なんか嫌な予感がするよな。
「ぷー、今帰ってきたばっかりにゃ」
「ひとまず、俺だけ行ってくるよ」
◼️ 緊急クエスト
「ワダア様お疲れのところ誠に申し訳ありません」
「ギルマスさんそれで、緊急って事だけど」
「はい、今度はサウドレシグ近くの村で厄介な問題が発生してまして…」
サウドレシグ? こっちの地理にはまだ慣れないな。
タクちんのラフな地図見ないと…
「西の砂漠のほうか、何があったのか、まずはそこから聞きたい」
「はい、報告があったのは数日前で、夜中に人が消える、というものでした」
失踪とかそういう事なのか?
「日を追うごとに数が増えまして、今では村のほとんどの住人が消えてしまいました」
「なんの手掛かりもないのか?」
「はい、夜中ということもあり、目撃者もほとんどおらず、騒いだりすることもないため、見当がついておりません」
それじゃ、夜中にそこに行くしかないって事だよな。
「あ、一つだけ情報がありまして、犯人かどうか不明ですが、ダークエルフの女性を見たという情報です。通りすがりの商人が見たとの事で、その者から報告で判明したんです」
それだけでは何とも言えないよな。
「戻られたばかりですが、このクエストをお受けいただけると助かります」
「わかった、明日出発するよ」
◼️ サザルの村
「もうそろそろ着くからな、何が出るかわからないし、警戒は怠らないように」
みんな押し黙ってるな。
まあ、疲れてるもんな。唯一、馬車移動なのが救いだ。
「村が見えてきたにゃ!」
御者台から葉山が叫んでるな。
夕方だから、そのダークエルフはまだ出てこないはず。
── ザザザ、ガタ
この馬車ほんと滑らかに止まるんだよな。
注意してないと止まったか気がつかない。
よし、まずは村を調べないとな。
── 全員別れて調査を開始した
俺が見た家の状況は以下のようなものだった。
まず、食事の用意があったり、仕掛かりの裁縫道具と布切れが作業そのままに置かれていた。
それに、ほとんどの家に明かりが灯ったままだった。
これは明らかに失踪とかではないな。
何らかの理由で家を空けた、そうとしか思えなかった。
村の中央に全員集合し、結果を共有したのだが、ほぼ同じような状況だった。
「こりゃ、そのダークエルフが拉致でもしてるのか?」
「拉致なら、争った後とかありそうですよ?」
タエちゃんの言う通りだろうな。
「僕みたいに、テイムっぽい感じかな。操られたらこうなりそうだにゃ」
その可能性が高そうだ。
「よし、葉山は手掛かり掴めそうな虫でも、家畜でもいたらテイムして探ってみてくれ」
「了解にゃ!」
あとはどうするか?
「何があるかわからないから、タクちん硬めの拠点作ってくれるか? 拠点というより、防衛できる壁とかがいいかな」
「任せるでやんす!」
「タエちゃんは、警戒しつつタクちんのサポートよろしく」
「承知しました!」
となると、あとは村の周囲だよな。
「俺は村の外に何があるか、確認してくる」
「和田殿、気をつけてくださいね」
何か嫌なもの感じるがなぁ。
── 和田は一人村の外へ向かうのであった
本作品の世界観や設定の補足情報、登場人物についてまとめました。
あれ、これなんだっけ、誰だっけ、そのようなときにご覧ください。
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