表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
定年間近の左遷先が冒険者ギルドなんだが!?  作者: Jiru-man
第一部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
27/49

キレスジレドへ レッサードラゴン討伐

挿絵(By みてみん)




◼️ 死闘


「タエちゃん、大丈夫か? 再度正面から俺が突っ込むから、隙ができたら横から無理のない範囲でお願い」

「和田殿、わかりました…」


く、何回目の突入だ?

鎧が歪んでるし、刃こぼれも出てきたな。


攻撃は通るが、有効じゃない。

こんな浅いダメージじゃ絶対に倒せない。

確かに前の俺たち以上の力は出ている、だがなんだろう?

決め手に欠ける?


葉山のテイムも効かなかったな。

どうやら精神的に対策されているようだ。

葉山の呼びかけに全く反応しなかったからな。


「タクちん、葉山、タイミングは任せるから!」

「「承知」」


── ゴゴゴゴ


土壁が来たな!

羽虫達も群がってきた!


鱗の隙間に突き刺す!

痛っ、浅いか!


タエちゃんが突っ込むのを横目で捉える。

あ、このタイミングはダメだ!


── ガシュ


挿絵(By みてみん)


ヤバい、タエちゃんに当たらなくてよかった…

でもこれ…


── ドサッ、ガン、ガン、ザザー

── グ、グハッ


口から血飛沫が飛んだな。


「和田殿、大丈夫なのですか!?」

「ハァ、だ、ハァ、大丈夫」


すっかり息が上がってる。

さっきからこの繰り返しだな。

どうすりゃいいんだ。


作戦はある意味機能してる。

タクちんの壁での行動範囲制限からの遠隔攻撃、葉山の羽虫集中での視界妨害、そこに俺とタエちゃんの波状攻撃だ。

だが、そこまでなんだ。致命傷が与えられない。


ん? タクちん何してる?

なんでそんなに前に出るんだ!?


「タクちん、ダメだ戻れ!」

「小生のアイスランスストームは、後ろからだと届かないでやんす!」


尻尾が見えないのか!?

く、間に合ってくれ!!


── ビュシャァ

── グシャ、バツッ、ダンダンダン


ヤバい、なんて力だよ。

どこまで跳ね飛ばされるんだ?


く、ここで倒れるわけ…に…


── 立ちあがろうとするが、崩れ落ちた



◼️ 最初で最後の…


「和田よ、主は何を得たのだ? 不甲斐ない限りだ」

「え、ユウノシン? あれ、ここはまた?」


燃え盛る焚き火、圧倒的な星空。


「バストールの指導も不十分であったか。仕方ない。最初で最後の稽古をつけてやる」

「え、どうするんだ?」


ユウノシンは黙ったままだ。


── パチリ


この火、熱くないんだよな。

でも、こうやって爆ぜる。


「この焚き火も同じことよ。お主は熱くないと思うだろう。だが、主は熱いという真理を知らんのだ」

「…?」


「主は目に頼り過ぎなのだ。なんのための五感か? なんのための記憶か?」


── ブンッ


うわ、いきなり燃えた薪を、何をするんだ?


「熱かろう?」

「え…熱っ、さっきまで熱くなかった…」

「心を解放せよ。すべてを理解しようとするな。受け入れて、己の一部とせよ。文字通りすべてを刻み込め」


わからないことだらけだ。


「さっき炎の熱さも、薪が起こした風も、ここに無いが、同時に存在もしておる。動きは風を起こし、地を踏めば揺れる、花は咲き誇りて香る」


これはきっと言葉で理解するとか、そんな話じゃないって事はわかる。


「主の身体を操る。細部に渡るまで魂に刻むが良い。良いか、二度目はないぞ」


── ガバッ


「わ、和田殿! 大丈夫なのですか!?」


タエちゃんの声は聞こえる。

だが、俺には応えられない。


(では参る! 走るとは全ての細胞から速さを絞り出せ、こうだ!)


これほどの速さ!

ムズムズする感覚、身体中が喜び、怒り、悲しみ、楽しんでる!


(斬撃とはこうだ! 力を込めるのではない、力があると知れ!)


── バシュ


レッサードラゴンの鱗の隙間に刃が吸い込まれ、だらんと右腕が下がる。

腕の筋を切断したのか!


(力強く踏み込め! その反動は大地の力なり!)


── ドゴォ


大きく踏み込んだ! 反動で地面が大きく窪む!

そして、強烈な突き上げ!


── ビシャッ


ダラリと下がっていた腕もろとも、翼を巻き込んで弾け飛ぶ。


「「「おお!」」」


みんなから歓声が。

でも、まだ油断しちゃダメだ。


── ギィィィィガァァァァッ


レッサードラゴンが雄叫びを上げてる。

雰囲気が激変したのがわかる。

伝わってくるのは憤怒。


片腕と片翼を失ったが、勢いは止まらない。


(和田よ、仕上げはお前がやれ。わかるな?)


そうだな、多分わかるよ。

答え合わせと行こうか。


「みんな、しばらく時間稼ぎ頼む、三分欲しい」

「「「承知!」」」


── ゴゴゴゴ


土壁が三重にドラゴンを囲む。

羽虫が群がってるな。


「ヒールシャワー!」


このタイミングで回復はありがたい!

力が身体中に染み渡ってくる!


この右手に全てを乗せる!

力が満ちてくる、細胞から絞り出せ!


── ガゴッ、ドシャッ


土壁の一部に穴が。

ドラゴンがもがき、必死に穴を広げてる。

こいつ、ブレスが吐けないドラゴンでほんと助かった。

普通のドラゴンだったらどうなってた?


── バババ、ドシャッ


土壁が崩された! 来るぞ!

羽虫を嫌がっているが、羽虫だけに致命的ではない。

攻撃の精度は落とせてると思う。


「タクちん、無理するな!」

「攻撃当たるでやんす!」


── ビシュッ


尻尾が来る!

く、動けない!


── ダーン、ズサササ


「た、タエ様、しっかりするでやんす!」

「ぐ、タク殿、無事ですか?」


タエちゃん、身代わりになったのか…

く、あと少しなんだ!


右手が痺れてきた、力の集中を感じる。


── プオオオォ


レッドボアか!?

数匹がドラゴンに突っ込んだぞ!?


「和田にゃん、なんとかこれで間に合うかな?」

「葉山、よくやった! あとは任せろ」


拳が発光してきた、眩しい!


「おっしゃ、行けえぇぇぇぇぇぇっ!」


これで決める、当たれ!


── ドゴォ、ブシュ


挿絵(By みてみん)


「やった、ドラゴンの腹に穴空いてるでやんす!」

「和田殿! やりましたね!」

「僕、頑張りすぎてお腹すいた!」


血飛沫上がってるし、土煙もすごいな。

本当に俺やったのか?

まだ信じられない。


(まったく世話のかかるやつだ。最後の稽古だからな。これからは自分でなんとかせよ)


ユウノシン! 本当に助かった!


◼️ 王都帰還


「ただいまより、キレスジレド国境付近において発生した事案、レッサードラゴン徘徊による国交及び交易の遮断、並びに地域安全の低下について、無事事案が解消された事、陛下よりお言葉賜わる。静粛に受けられよ」

「レッドアイ諸君、今回の活躍は誠に大義である。シルバーランクながら、レッサードラゴンの討伐を成し遂げるはゴールドにも勝る働き、ここにささやかながら賞を用意した。余の感謝として汝らに贈るものとする」


── おお、それは素晴らしい!

── やるではないか

── ハルアットの召喚者らしいな


今回は人払いされてないからな。

外野のざわつきが…


「陛下のお言葉、謹んでお受け致します。此度の暁光は陛下並びに配下の方々のご威光によるもの、この和田感謝に絶えません。今後とも精進致します」

「良い心がけじゃな、今後ともイストリアのため精進するがよい」


顔上げられ無いからな、周りどうなってんだ?

俺ちゃんとやれてんのかな?


「ワンジヤンス、褒賞を与えよ」

「はっ、それでは陛下に代わり、このワンジャンスより論功行賞の儀、進めさせていただきます」


── 今回の論功行賞は以下のようなものであった


レッサードラゴンの討伐褒賞として、金貨五百枚が与えられるとのこと。また、ゴールドランク授与という話もあったのだが、早すぎるとの意見もあり、再度指定のクエスト五件をクリアが認められれば、ゴールドランクを授与する、とのことだった。


「レッドアイには追って依頼の沙汰を申し伝えるゆえ、しばし拠点で待機しておれ」

「は、畏まりました」


── 深々と拝礼する面々であった


◼️ 闇の侵攻


「お伝えもうします、キレスジレド国境付近のレッサードラゴンが討伐されたとの事でごさいます」

「なんだと!? あと三ヶ月はかかるのではなかったか」


フードの男の怒気が辺りを覆っていた。

一段と暗闇が濃くなった気がする。


「はっ、例の召喚者の手によるものだと報告がございます」

「おのれ、ハルアットめ、どこまでも邪魔だてするか! まあ、よい少しだけ猶予ができた、その程度の誤差よ」


報告に来た男は、顔を上げる事が出来ずずっと床を見つめていた。


「例の件急がせろ」

「やってみますが、まだ準備が必要かと」


フードの男は顎を撫でていたが、口元に嫌な笑みが浮かんだ。


「そうだ、アレがあったわ。すぐに時の牢獄より運んでまいれ」

「本当でございますか? アレは危険なのでは?」


── フハハハハ


凍りつきそうな笑いが溢れる。


「心配するな、この私自ら処理してやるからな」

「はっ、それでは間違いはございますまい」


フードの男は満足そうに頷いた。


本作品の世界観や設定の補足情報、登場人物についてまとめました。

あれ、これなんだっけ、誰だっけ、そのようなときにご覧ください。


https://ncode.syosetu.com/n8527mg/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ