キレスジレドへ 港町ゾスラーグ
◼️ キレスジレド上陸
「和田にゃん、早く! 良い匂いが凄いにゃ!」
「待て待て、おまえ金持ってないんだぞ。両替もしなきゃなにも買えないからな!」
また葉山がさっさと下船してる。
全く大丈夫か?
「小生気持ち悪いでやんす」
「タク殿、しっかりしてください。昨晩からかなり揺れましたからね」
タクちん船酔いが凄そうだな。
と、やっと捕まえた!
「待てって、ちゃんと買ってやるから離れるなよ」
「ぷー、いつも掴まれるにゃ」
「勝手なことばっかやるからだ」
落ち着いて見回すと、めちゃくちゃ人が多いな。
ソルの港町と大違いだ。
俺らの乗ってきた船と同じクラスが、六隻ほど停泊してる。
他の小舟や中くらいの船、数えきれないほどだ。
露店も所狭しと並んでいるし、様々な人々がわんさかいるな。
ひとまず両替できるとこ探さないとな。
「和田にゃん、あの焼き魚の匂いが、たまらないのにゃ」
「全く、食いもんのことしか頭にないのかよ」
脂の乗った皮の焼ける匂いが、確かに胃袋を刺激するのはわかる。
「オヤジさん、その魚ってなんていうの?」
「これか? お前さん良いところに来たな。ラトゥ漁が始まったばっかでな、さっき上がって来たばっかの初物よ!」
葉山がもう限界突破しそうだな。
「今年のラトゥの脂の乗りは最高だぞ」
「ひとつくれ、と言いたいところなんだが、俺らイストリアの金しか持ってないんだよ。どこか両替できないかな?」
「この先真っ直ぐ行って、角左手の道へ入んな。商人ギルドあるからよ。そこでやってくれるぞ」
── ラトゥに釘付けの葉山を引き摺り、商人ギルドへ
「商人ギルド、ゾスラーグ支部へようこそ、どのようなご用件でしょうか?」
「あの、イストリアから来たんですが、両替をお願いしたくて」
「かしこまりました。両替につきましては、あちらで賜りますので移動お願い致します」
── 指示された通り、窓口を渡り歩いて両替が完了
はぁ、両替なのに面倒だったな。
とはいえ、装備買うにはお金ないとな。
よし、武器屋と防具屋の場所も聞けたから、買い物に行きますか!
◼️ 装備一新
ゾスラーグは港から中心街までは緩やかに登ってる。街の端は小高い丘の上まで連なっている。
武器屋も防具屋も、鍛冶屋が丘の方にあるため、丘寄りに集中しているらしい。
まずは防具だな。
俺らの装備は、結構軽装だからな。
ドラゴンにも耐えるものにしたいよな。
「小生は後衛だから、鎧なんかは無理でやんす」
「僕は可愛いのがいい!」
うーん、この二人は確かに鎧ではないよな。
お、この胸当ていいんじゃないか?
「和田殿、私はこれが気に入りました!」
おお、タエちゃんそれはいいやつだなぁ。
しかし、ミスリルなんだよな。ちょっと買えないな。
── あれこれ目移りしつつ、予算内でなんとか防具を一新したレッドアイの面々
さて、次は武器屋だな。
ここの店に入ってみるか。
いやー、ワクワクするな。斧、両手剣、ダガー、見てるだけでも楽しいな。
「オヤジさん、レッサードラゴンとかでも、有効なやつってどれになる?」
「ドラゴンキラー、ドラゴンソード、ドラゴニアダガー、うちにあるのはこんなところかな」
ドラゴンキラー、ちょっとこれは買えない。恐ろしく高い。
タエちゃんは、両手剣はあまり得意でないから、俺がドラゴンソードで、タエちゃんはドラゴニアダガーで行くか。
良い装備ってのは見てわかるが、予算半分消えてる。一応今回は王勅命だから、装備費用は出してもらえたから良かったな。
後は道具屋行かないとな。杖の強化しておかないと。
── 道具屋を訪れ、魔法石の交換が完了した
「はあ、やっと座れるでやんす」
「さすがに一日中歩き回るのは疲れるよな」
宿屋で男組と女組で二部屋やっと取れた。
この港町、恐ろしく賑わい過ぎだろ?
どこもかしこも満室だった。
「和田殿、さすがキレスジレドの宿、かなり高級な感じしますね」
「ソルの宿屋が酷すぎるの! あれは馬小屋以下だったのにゃ」
まあ、ソルは異常に寂れてるから、宿屋に泊まるのもほぼいなさそうだからな。
ただ、あの時葉山のベッドの周りなぁ、蜘蛛みたいのとか、カマキリみたいのとか、親衛隊かって騒ぎで取り囲んでたからな。
Gを絶対通すな!って、指示出してたみたいだしな。
明日はもう少しイストリア国境寄りの村に移動して、そこから馬車だな。
「みんな今日は早く寝ろよ? 明日朝早いからな」
◼️ 国境付近の村 ノゼスト
「もう、また焼き魚食べられなかった! イカも焼き魚もなんで食べられないの! ムキーッ」
ゾスルートまで四、五時間ってことだったから、早朝に出発したわけだが。
早過ぎて店なにもやってなかったからな。
「葉山殿、また帰りに食べましょう」
「てか、キレスジレドまで焼き魚食いに来たのか?」
「ぷー」
葉山は最近ずっとこんな感じだな。
赤島倉庫の時の葉山は、想像もつかないほど静かなのに。
そういえば、俺は勘違いしてたのかもしれない。
性格変わったのは、異世界補正だって思ってたんだけど。俺自身は変わった感じないし、タクちんの場合は最初だけ様子見してただけっぽいからな。
つまり、この世界の葉山とタエちゃんが本来の性格なんだろうな。
葉山は孤児院で自分抑えてたみたいだからな。タエちゃんは、聞いてないけど。何かあったのかもな。
「葉山、この任務終わったら、また褒賞あるだろうから、そしたらたらふく肉食わしてやるよ」
「和田にゃん、その言葉忘れたら…蟻地獄に叩き込むにゃ!」
本当にやりそうだから怖いな。
「ほら、もうみんな装備も一新したし、そら!行くぞ」
「ずるいでやんす!小生も、欲しいものあるのに!」
「僕が大活躍で、速攻おわらせるにゃ!」
おいおい、二人なに張り合ってんだ?
走ったら疲れるだろ?
「タク殿、葉山殿、走ったら本番で動けませんよ!?」
なんだ、タエちゃんも追いかけるから、結局全員で走るのかよ。
── 全員汗だくでノゼストに到着
「ったく、なんでマラソンしてんだよ」
「ふん、僕が一番手柄立てるのにゃ!」
落ち着いてきたが、なんだろうこの静かさは。
通りには誰も出てないな。
見た感じ、二十軒くらいしか家ないな。
小さな村だが、全く人気無さすぎだろう。
── ガチャ
たいそうな荷物だな、どこか行くのか?
「あんたら、旅人かね? ここから先、ドラゴンが暴れてな、みんな避難したところだ、あんたらも帰った方が良い」
「俺らは、そのドラゴンを退治に来たんだ」
「なんと、ドラゴンはイストリア側だろ? キレスジレドからも討伐に行くことになったのかね」
なるほど、管轄的なものがあるんだな。
「うちらイストリアから来たんですよ、ここから国境まではどのくらいかかるかな?」
「馬車で一日半ってとこかな。こんなとこにドラゴンなんて、本当におかしなことだよ。気をつけなさい。悪いが急ぐのでね」
そうなんだ、みんな避難したのか。
ここで馬車を手配するつもりだったがな。
どうするか。
「和田にゃん、こっちこっち!」
「葉山どうした?」
葉山が消えた家の裏手側だな?
なにがあるんだ?
── ヒヒーン
あ、馬房に馬繋がれたままじゃん。
馬をそのままにして、慌てて出て行ったらしいな。
「この子たち、水飲めてないし、お腹すいたって」
「そういう事なら、この馬借りてもいいよな。後で返せばいいし」
ラッキーだったかも。
「タクちん、馬車持ってきてる?」
「もちろんでやんす!」
「じゃあ、馬車セットして行こうぜ!」
◼️ 再びキレスジレド国境付近
「遠回りしたけど、ついに来たな」
「あそこの右手入ったとこでやんすね?」
この前とは反対からきた訳だ。
さほど景色も変わってないが…
「葉山、この茂みだとちょうど隠れられるから、馬たちにここにいるように言ってくれ。エサと水置いとくからって」
「わかったにゃ」
「あ、もちろん危険な時は逃げるようにな」
さて、レッサードラゴンのリベンジと行きますか。
「装備再確認だ、準備できたら突入する!」
本作品の世界観や設定の補足情報、登場人物についてまとめました。
あれ、これなんだっけ、誰だっけ、そのようなときにご覧ください。
https://ncode.syosetu.com/n8527mg/




