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定年間近の左遷先が冒険者ギルドなんだが!?  作者: Jiru-man
第一部

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24/49

キレスジレドへ 港町ソル

挿絵(By みてみん)




◼️ 海路で北へ


「ガハハハ、なかなかどうして。すっかり見違えたじゃろう」

「痛い痛いって」


── バンバン


絶対肩に手形ついてんな。馬鹿力すぎんだよ。

ただ、ここのところ気絶も無くなったし、致命的な攻撃も貰わなくなったのはデカい。


「さすがは召喚者ってところだな。そろそろ出発してもいいんじゃないか?」

「レッサードラゴン倒せるかね?」


バストールはニヤニヤしてる。


「小僧、俺は片目が潰れたとは言え、この世のほとんどの戦士、魔物に引けは取らんぞ。お前さん、俺に勝つことはできんが、決して弱くはない」

「まあ確かに実感はある。でも実戦経験ないしな。それに特訓三日なんだけど」


レッサードラゴンのオーラ、半端なかったんだよな。


「まあ、こればかりは経験よな。それより、肉娘の方がやりよるかもしれん。あやつなら、あっさりテイムしちまうんじゃないか?」


確かに、それは俺も思ってた。

これまでも、なんだかんだで葉山に頼る所多かったし。


「剛腕の姉ちゃんも、造形魔法の坊ちゃんも、お前さんらのパーティは、そこそこなもんだと俺は思うぞ」

「まあ、どのみち冒険しなきゃだよな。それに遅くなれば被害も増えるし、市場も大変なことになるしな」


これは試練ってやつだな。

しっかりしないと、ユウノシンにどやされる。


「おっと、待った。忘れとったわい。お主らに大先輩からのアドバイスじゃ。お主ら海路でキレスジレドに向かって、装備一新しろ。たしかドラゴンソードもあったはずだ」

「ここでは買えないのかな?」


ん? ロンギスタン?


「私から説明しましょう。キレスジレドは商人の国なんです。残念ながらイストリアの繁栄など全く及ばず、あちらは何倍も繁栄してますから、あらゆる国から商品が集まります。装備の強化は冒険者として必須ですな」


なるほど、確かにゲームでもいい装備買わないと、先に進めないもんな。


「どこから船乗るんだ?」

「東のソルから乗船できます。馬を船で運ぶのは大変なので、徒歩で行く方が良いでしょう。ソルは近いので、徒歩でも充分行けます」


じゃあ、装備を一新に行ってみますか。


◼️ 特訓の成果


「お、なんだか潮の香りがしないか?」

「和田殿、微かに感じます!」

「僕はお肉の匂いが嗅ぎたい!」


葉山が叫んでるな。

肉の禁断症状出てるぞこりゃ。


食べるものは、携行食が多く乾いたものがメインだから、まあ飽きるよな。


と言っても、一日半行程だからこの程度で禁断症状は勘弁だな。


「ふふふん♪これは、こうでやんす〜」

「タクちん、なんか嬉しそうだな。なにしてんだ?」

「みるでやんす!この美しき光沢」


電車の模型? 倉庫から持ってきてるヤツは、馬車になってるよな。


「それ、アポーツで取ってきたのか?」

「ノンノン、そんなことしなくても、小生特訓で極めてしまったでやんす」


ヤバいな、タクちんのドヤ顔が始まった。


「小生、この三日の特訓でやんすね…」

「和田殿、そうなんです。私もタク殿もかなり頑張ったんです」


タエちゃん、ナイスだ!


「私はヒールシャワーを覚えました!」

「おー、名前からしてみんな癒される感じだな!」


タクちんは、ぶつぶついっていたが、再び模型に熱中している。


「タク殿は、火土水の上級魔法までマスターし、魔法精度が格段に上がってます」


みんな、やるなぁ。

そういや、葉山は何してたんだろう?


「小生、造形魔法も土以外の素材も扱えるようになったでやんす」


それでこのメタリック感ある模型ね。

まあ、これで全体的に戦力アップしてそうだ!


── 緊張感もなく、港町ソルへ到着した


「ここが港町ソル…ね、なんか寂しいな」

「ねえ、お肉あるかな?」

「魚は確実にありそうな感じだが…」


なんだか田舎の漁港って感じだなぁ。

人も疎らだし、活気ってものが感じられない。


── 船が着くぞ


なんだこりゃ、この港に釣り合わないデカさだ。


挿絵(By みてみん)


「小生、船は乗ったことないでやんす。あの大きいのにのるでやんすか?」


見た感じ、船着場はここだけだから、ここしかなさそうな気がする。


船着いたとたん騒がしくなったな。

商人とか積荷がどんどん出てくるぞ。


「なんだ、クソ田舎のソルに、見かけないのがいるなぁ」

「兄貴、コイツら連れて行きやしょう。例の連中なら、欲しがるはずです。良い稼ぎになりやす」


なんだ、いかにもって感じの悪役って感じ。


「ふーむ、そこの姉ちゃんは、すぐにでも行けそうだな。そっちのガキは、あと少しすりゃ女っぽくなるだろ、ハギムやれ」

「へい!兄貴」


なんか、こっち来るな。

多分、タエちゃんと葉山の事だよな。

嫌な笑い張りつけてやがる。


「こんなクソ田舎より、もっといい生活させてやんよ。一緒にこい…てててて、痛っ!」


ハギムって獣人、タエちゃんに馴々しく触れたからな。

あらら、腕掴まれて紫色だな。


「こら、なんつー馬鹿力なんだ女!離せ!」


タエちゃん、少し力入れてるよな。

まあ、剛腕だからな。折れてなきゃいいけど。


「ぎゃー、痛え、離せ! 離せ、いや離してください。ご、ごめんなさい」

「気安く触るからだが?」


ん? 兄貴ってやつ、なんか素早いな。

もうタエちゃんの後ろに回り込んでる!


「姉ちゃん、洒落にならねえな。あんまり調子乗ってると、このソドさん怒っちゃうよ…え?」


全く、どうしようもないな。


「こら、お前はなんだ、いつのまに俺のベルト外して、え、返せって」

「ん? このベルト欲しい? なら大人しく帰ってくれる? あんたらも見せ物になりたくないよな?」


隙だらけだよ。ベルト外すのも余裕だったわ。

ズボンずり落ちてるぞ。


── ハハハハッ、なんだ?

── ズボンおろして、ここはトイレじゃないぞ!


周りからも笑われてんな。


「「こ、このー、覚えてやがれー」」


挿絵(By みてみん)


お約束のセリフだな。

なんとも情け無い奴らだ。


「和田殿、お見事です! 私にも全く見えませんでした」

「そんな大した事してないよ」


思ったよりも、かなり素早く動けたな。

前の俺なら、どうなってたか? こんなあっさりとはいかないよな。


◼️ ソルの港


「あ!いい匂いだ!」

「おい、葉山どこ行くんだ?」


仕方ない、追いかけるしかないな。

葉山には金持たせてないからな。


「僕、お肉も好きだけど、この匂いもたまんないにゃ」

「そうだろうとも、うちのクラーケン食ったら、他では食べられないよ」


クラーケン? なんか、ダイオウイカみたいなやつだよな。


「葉山、肉じゃなくていいのか?」

「うん、だってこれ絶対旨いやつ」


日本人なら、醤油と言いたいとこだが、これはこれで悪くない。甘辛なイメージが浮かぶ匂い。


「クラーケンはよく焼かないとダメだから、もう少しお待ちを」

「はいはーい!」


ほんと、これは間違いないだろう。匂いだけで生唾が止まらん。


「ところでおじさん、ここの店長いの?」

「まあ、十年くらいはやってるよ」

「そうなんだ、前からここって寂れてる感じなの?」


クラーケンがひっくり返る。さすが十年の技。

タレが落ちて、さらにジューシーな匂いと煙が、食欲マックスになるな。


「よし、あと少しだからね。そうさなぁ、ここはもともと海賊が使ってた港でね。かなり昔からあるんだが、キレスジレドは圧倒的に陸路が近いし、便利だからね」

「海賊? そうなんだ、物騒なとこなんだな」


「いや、海賊の港と言っても、三百年も前の話さ。ハルアット様たちが討伐してくれたでな。それからは、うちらみたいな仕事にあぶれた者が、漁師になったり、そんなとこさ」


なるほど、利便性も悪い上に、昔からのしがらみで、見向きされないのか。


「こんな東の果てみたいなとこだからな」

「でも、最近はキレスジレドの輸送はここからしかできないんだろ?賑わってくるんじゃないのか?」


葉山が、ヨダレ垂れそうだな。


「キレスジレドはイストリアなんぞ、本気で相手してないね。船も定期便だけど、三日に一往復だけだしな。必要最低限ってところさ」


なるほど、じゃあラッキーだったな。さっきの定期船逃したら、三日待ちだったな。


「ほい、クラーケンお待ち」

「ひゃーい、これは…」


葉山がおかしくなってるな。


「オヤジさん、キレスジレド行きは、さっき着いたやつ戻る感じ?」


お金払わないとな。


「まいど!荷物おろして、こっちからの荷物積み次第出航だな。もうしばらくかかると思うが、あそこ受付だから、聞いてみな」

「ありがとう!また来るか」


葉山、夢中でかぶりつきだな。


「むひゃ、こほえ、うまうま、マヨほネーズはへたい」

「食うかしゃべるかどっちかにしろよ」


まあ、何言いたいかわかるがな。

受付行ってみるか。


── 受付に確認したところ、本日沖の天候不良で明日朝出発と言われる


「ついてない。しゃーない宿屋行こうか」


本作品の世界観や設定の補足情報、登場人物についてまとめました。

あれ、これなんだっけ、誰だっけ、そのようなときにご覧ください。


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