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定年間近の左遷先が冒険者ギルドなんだが!?  作者: Jiru-man
第一部

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22/49

キレスジレドへ 強敵現る

挿絵(By みてみん)




◼️ 異変


「おい、葉山どうしたんだ?」

「わかんない、ちょっと聞いてみるにゃ」


全く馬が進んで無いな。

葉山が首を撫でながら、ボソボソ何か話してる。


「なんだか怯えてるみたい。進みたく無いって」

「どうすりゃいいんだ」


━━ チュー、チュッ


「待って、チュー吉も、何かいるって騒いでる!」

「てことは、この先に何かいるってのは、確実そうだな」


しかし、どうするか。

キレスジレドの国境は、おそらくあれだろう。

あと三十分も走れば着いたか?


山と呼ぶよりは、小高い丘だろう。

木々が連なってるが、街道はちょうど谷間を通ってる感じだ。


街道の両側は、険しい山になってるな。

エトル山ほどでは無いがな。


「葉山、どうだ?」

「何もできないって言ってる。身体が動かないって」

「それは、フィアーみたいな効果が来てるでやんすね。小生も、少しざわついて感じるでやんす」


こりゃ、ただ怯えてるだけじゃないんだな。

全く!

どんだけ広範囲に闘気ダダ漏れな奴がいるんだよ。

仕方ないな。

馬車があるから、動けないしな。


「ちょっと見てくる。あそこが国境付近だと思う」

「和田殿、私も行きます」


今は動かないってのが正解なんだろうな。

魔物と動物が恐れてるんだし。


「いや、何があるかわからないから、独りで見てくる」

「それは危険です!」

「小生も、そう思うでやんす」


葉山をチラ見したが、こんな真剣な葉山見たことない。

一生懸命に馬と話してる。


「もちろん、それはわかってる。だが、ここにいるわけにも、調査しないわけにもいかない」

「そうでやんすが…」


この中で倒れて困らないのは俺だけなんだ、という言葉を飲み込んだ。


俺はとある物を取り出した。

行きたくは無いが、俺しかいないんだよな。


「ん?それはなんでやんす?」

「この前市場で見つけてさ。花火だよ。向こうで何かあれば花火上がるから。アポーツでお取り寄せよろしく!」


さて、鬼が出るか蛇が出るか?

そっか、言っとかないとな。


「あー、忘れてた、この花火日本のやつと同じじゃないぞ、相当ショボイし、パンって少し炸裂する程度だから、よーく見といてくれ」

「和田殿、本当に大丈夫ですか?」


威勢よくサムズアップだ。


「大丈夫だ、任せとけ!」


知らんけど。

ほんとはどうなるかわからんよ。

そんな事言えないだろ?


◼️ シルバーのギルド証


さて、この辺から国境付近だよな。

こっち、左手側に獣道が伸びてるな。


獣道っても、道と呼ぶにはな。

単に木々のあいだに、細い線が見えるって程度だ。


ん? あれは?


なんだろ、この辺から所々で草や木々が薙ぎ倒されてる。

嫌な感じだぜ。


── 細い獣道をトボトボ辿る和田


どれくらいたったか? 五分? いや、もっとなのか?

同じような景色だしな。時間感覚マヒするっての。


手掛かり探さないとな。


ん? なんだろう?

何か光った気がした。


ちょっと待てよ、えっと、確かこの辺だよな。

よっと、これだな。


これって、ギルド証だよな? しかもシルバーだ。

少し進むと、またギルド証が見つかる、あ、こっちはアイアンか?


まてまてまて、そこら中にあるのか?


── 何枚もギルド証を抱え立ち尽くす和田


なんだかもの凄い嫌な予感がする。

花火使うかな。


── グォギィィィィッ


なんだ? めちゃくちゃに怒り狂った感じ?


── バサバサ


え、鳥が逃げてる?


── ドドドドドドドドッ


今度はなんだ?

レッドボアに、マッドディアーだな。

俺に目もくれず、必死に逃げてないか?


── ズーン、バリバリバリ、ズーン


おいおいおい、なんだこの揺れ。

音はあっちからだな?

何か動いてる気がする。なんだ?


ビシバシ伝わってくる、めちゃくちゃ重たい空気。

山でも動いてるのか? って感じがするぞ。


── ズーン


あ、これは詰んだかも。

あれだよな、ドラゴン? だよな?

焦茶色の恐竜みたいなやつ、目がめちゃくちゃ怖い。


挿絵(By みてみん)


── グォギィィィィッ


目合ったぞ。

これはヤバいだろ。


── ダンダンダン


走ってきてる、ヤバい。

逃げなきゃ。

来てる!


後ろ、もうすぐそこなんじゃ?

気配半端ないぞ。


あ、もうダメかも。

この世界には、マッチもライターもない。

火打石だ! 花火なんてやってる暇ないんだ!


「うおおおおおお!」

「和田っち!大丈夫でやんす?」


ヤバいヤバい、え、なんかタクちんの声?

食われると思うと、目が開けられないっての!

幻聴か?


「和田殿、しっかり!」

「ん?タエちゃん?」


あ、戻ってる!

ちょっと、待って放心状態だ。


「さっき、もの凄い鳴き声と、逃げ出す魔物見えたでやんす」

「和田殿が危ないと、皆で決めて花火見えませんでしたが、強制で呼び戻しました」

「助かった。ごめん、立てないかも。足ガクガクでさ。産まれたての小鹿だわ」


はあ、良かったよぉ。

ナイス判断。


「てかな、あれ、ヤバいよ。ドラゴンだよ、ドラゴン!」


鬼でも蛇でも無い、ドラゴンだったわ。

ドラゴンって、最強種族じゃないのか?

あー、ちょっと待った、あれはレッサードラゴンだな。


指輪の知識が降りてきた。


とは言え、ドラゴンはドラゴンだ。最強種族の最弱ドラゴン。

でもな、これは多分俺らより強いだろ?

ブレスが無く、小型のドラゴン。


◼️ レッサードラゴン


── 和田は見た物を共有する


レッサードラゴンは、五メートルくらいだった。

大木を割り箸みたく薙ぎ倒すパワー。


持ち帰れる物だけ持ってきたが、ギルド証のシルバー三枚とアイアン二枚。まだ、他にもあるはずだ。それから、荷物や衣服も散らばっていたように思う。


「和田殿、これはちょっと出直すべきかと。最初の調査としては、失踪の証拠と原因がすぐ判明してますから」

「小生もそれがいいと思う。これ、早く判明したとしても、簡単じゃ無いと思うでやんす」


まあ、そうなるよな。


「ドラゴンでてから、馬もチュー吉も、半狂乱だった。ドラゴン本当にヤバいかも」


こんな葉山は滅多に見れないだろうな。


「そうだな、ひとまず調査の名目できてるわけで、目的は達成できてる。来て早々だが、一旦戻ろう」


── 来た道をすぐに戻るレッドアイの面々


「なんじゃと! レッサードラゴンじゃと!」

「バカなキレスジレド辺りにうろつく魔物じゃねえな」


大賢者さんもバストールも驚いてんな。


「ふむ、ワダア殿が持ち帰ったギルド証ですが、行方不明者と一致してます」


ロンギスタンも渋い顔だな。


「やはりゴールド以上が戻るまで待つしか…」

「いや、ロンギスタン、それじゃダメだ。ゴールドの連中が戻るのは、最低でも三ヶ月はかかる。それまで待てない」

「バストールと大賢者さんが出るってのはダメなのか?」


大賢者さんがやれやれ、と首を振っている。


「ワシもバストールもな、時間の牢獄でドラゴンの呪いを受けておるんじゃ。ドラゴンとは戦うことができん」


ここでギロリとバストールが睨んできた。


「お前さん方には、血反吐吐いてもらうしかないな。明日から特訓だ」


◼️ 鬼の特訓


「おらぁ、何回目だ。起きろ!」


── バシャッ


挿絵(By みてみん)


うわ、また気絶してたか。何回水浴びてる?

なんだか、顔の形変わってない?

まだシルバー上がったばっかだぞ?


「まずは俺のスピードを覚えろ! 俺より早い魔物はいねぇからな!」


はいはい、アンタは魔物以上ですよ。


「ほれ! 軽くやってるぞ!?」


嘘だろ、風圧でよろけるのに軽いのか?

なんとか避けた!


「ほら、ほら、ほら、ホラァ!?」


ダメだ、避けても避けても、次が来る。


── バシャッ


「あ、また気絶してたのか」

「ほう、タフになってきたじゃねえか。いいね。行くぞ!」


避けた! よし、次も!


── ドゴォッ


「情けないぞ、まだまだじゃ! とはいえ、これ以上やるとさすがにあの世行きか」


腹に貰ってた。

ダメだ…正気が保てな…


「小僧、まだまだ、時間かかりそうだな」


本作品の世界観や設定の補足情報、登場人物についてまとめました。

あれ、これなんだっけ、誰だっけ、そのようなときにご覧ください。


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