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定年間近の左遷先が冒険者ギルドなんだが!?  作者: Jiru-man


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18/20

紙作り

挿絵(By みてみん)




◼️ 紙工房仕上げ


「ただいま!いや、やっと葉山捕まえてさ」

「遅いでやんすよ!」


なんだ、タクちん口ほど怒ってないな。

一応心配してくれたのかな?


「あとは道具を作らないとでやんす」

「そうなのか、時間かかりそうかな? 多分こっちで六日経ってるから、戻ったら三日って感じかな。道具作ったら、一旦帰らないとな」


タエちゃんは箒で掃除をしているのか。

葉山大丈夫か?


「ここ、お肉焼けるにゃ?」

「そこはエサキスを煮るとこ! 肉なんか焼く場所なんて無いでやんす!」


まあ、変わりなさそうではあるな。


「道具ってのは?」

簀桁(すけた)という、材料を水の中から掬い上げて均一に伸ばす道具でやんす」


あー、なんかそういうの見た事あるな。


「これでやれば、かなり早くできるはずでやんす」


なるほど、ドライバーとか、ノコギリとか、造形魔法で用意したのか。


「おー、相変わらず器用だな。悪いが任せていいか? 他やれる事あるのかな?」

「まあ、小生に任せて、あとはタエ様みたいに、掃除とか整理とかよろしくでやんす」


━━ シュコシュコ


相変わらず早いな、材料がどんどん加工されるぞ。


「ん? これってなんだ?」

「あ、それはですね、こちらの世界のお茶だそうです。淹れ方は日本のと変わらないですが、おすすめしないです」


ん? どういうことなんだ?


「和田っち、それはものすごく不味いでやんす」

「そう言われると試してみたくなるな・・・」

「私たちは白湯を飲んでたんですけど、あちらに湯は掛けてあるので、飲んでみますか?」


タエちゃんも苦笑いしてるな・・・


「まあ、好みの問題なんだよな。二人が嫌いなだけってこともあるし」

「好きにするでやんす」


お、ちょうどコップ二つあるな。

淹れてみるか。


「おい、葉山、淹れといたから、飲みたきゃ飲んでいいぞ」

「はいはいーい・・・」


なんか葉山固まってるな。


「ぶぅぅぅっ、これ何? 雑草のお湯にゃん?」

「こらこら、吐き出すなよ、まったく」


挿絵(By みてみん)


匂いは確かに、草って感じだな。どれどれ。

そんな大袈裟な、と思ったが何だこれ!


「うん、葉山ゴメン。これは雑草の味だな。いや、もちろん雑草食ったことはないが、草むらの匂いだよな」

「それ、変に酸っぱいにゃ!」


ふう、散々な感じだな。

しかし、これではなんだか、こっちの生活で落ち着かないというか。コーヒーも紅茶も無いって、ちょっと辛いよな。


「こっちの生活レベルを上げる必要があるな」

「お肉も必要にゃ!」

「さっき串五本食ったろ!」


赤島倉庫から何か持ってきてもな。こちらに渡ったときに変容してしまうからなぁ。


「タエちゃん、あとどれくらいかかる?」

「特には、あとはタク殿の道具作りだけかと」

「タクちん、悪いけど買い物行ってくるわ」


タクちん、ほんと頑張ってるな。黙々と作業してるぞ。

お茶の代わりになりそうなもの欲しいからな。ここはタエちゃんに期待したい。


「タエちゃん、悪いけど一緒に市場行って欲しい。生活に必要なもの買いそろえよう」


この前のエサキス採取からの、マッドライノ討伐で魔獣の素材とか売ったお金あるし、なんか買えるだろう。


「和田殿、承知です」

「わーい、僕も行くにゃー」

「葉山は留守番!もうお前は動くな。こっちが疲れる」

「行くー、お肉ー」


まだ食うのか?

食った肉はどこに消えるんだ?


「わかった、お土産買ってきてやるから、じっとしてろ」

「ぷう、絶対買ってくるにゃ!」


■ 不穏な噂


葉山大丈夫かな、じっとしてられないやつだからなぁ。

しかし、日に何回市場来るんだ俺は!?


「和田殿、ひとまず何を揃えますか?」

「やっぱり、拠点になるわけだし。お茶の代わりになりそうな物は欲しいよね。あとなんだろ」


調味調的なものとか、食器類とかそんな感じか。

あ、でも俺ら紙工房に住むのか?

そこもちゃんと決めないとな。


「とりあえず、今日明日くらいで必要そうなものを何か探してみましょう」

「タエちゃん、頼りにしてる」


── 食品、怪しげな雑貨、なんの用途かわからない道具


いやー、色んなものあるなぁ。

こういうのんびり買い物とかいいもんだよな。

でも、探し物は見つかるのか? 後でギルドの人に聞いたほうがいいかな。


「和田殿、あれちょっと気になります」

「ん? あそこのやつ?」


色々な肉が吊るされてるんだが、そこの端に葉っぱが置いてあるな。

んー、これは料理人にお任せしよう。


「この葉っぱは何ですか?」

「それかい、臭み消しに使うものさね。あんたら、これを知らないって・・・」

「なるほど、私は遠くから初めて来たので、よくわからないんです」


この反応って、これはこの辺では当然のことなのか?

まあ、確かに葉っぱで煮込むとか、テレビでみたことあるな。


「タエちゃん、ちょうど葉山にも肉いるからさ、その葉っぱ必要なら、肉と一緒に買って帰ろう」

「和田殿、この葉は爽やかな香りがいいですよ。茶葉にしてみるのもいいかと思って」


やっぱり、タエちゃんいて正解だな。


「おばさん、じゃあその葉っぱと、そこの肉二つもらうよ」

「あいよ、申し訳ないけど、オルガの葉は高騰しちゃっててね、高いけどいいかい?」


── おばさんの話を要約するとこうだ


この葉っぱは、オルガと言って、ほとんどが北のキレスジレドから仕入れてくるものらしい。

先月くらいから輸送が滞り、海路経由で入ってくるもに頼っているので、値段が上がってしまったということだ。


「おばさん、なんで仕入れ難しくなったの?」

「なんでも、商人が襲われるようになったみたいでね。盗賊でも出たかねぇ。やだやだ」


オルガ・・・肉と同じ値段だったな。

買った肉は鶏肉っぽい、とはいえ、大きさが全然大きいが、チキンステーキみたいに食べてみよう。

しかし、盗賊出てるかもってことだけど。物騒なんだな。


「和田殿、このオルガでお茶を作ってみましょう。多分美味しいと思います」

「タエちゃんが言うなら、間違いなさそうだな」


あとは、食器や洋服なんか普段使いするものを買い込んだ。


■ 和紙作りとお茶作り


「ただいま」

「肉買ってきたにゃ?」


ふん、と肉を持ち上げて見せる。


「おお、鶏肉っぽい、早く食べるのにゃ♪」

「まてまて、まだ後でな。タクちん、どんな状況かな?」


タクちん、鍋で何かやってるな。

ラーメン屋のスープ作ってるみたいに、何かかき混ぜてる。


「道具も揃ったんで、さっそくエサキス煮てるでやんす」

「おお、もうそんな感じなのか!」


タクちんドヤ顔だな。


「あと一時間くらい煮込んで、そしたら皮を剥いで干すでやんすよ。そしたら干していくでやんしょ、乾いたやつを水にさらして戻すでやんす、繊維の純度を上げるために、灰汁と一緒に煮込んでやんして・・・」

「オッケー、タクちんわかった。やんすストップ」


このまま止めないと、でやんす攻めになるからな。

タクちん、まだブツブツ言ってんな。

まあ、順調そうだということはわかった。


「では、私はお茶を作ってみますね」

「そっちは簡単なのかな?」

「一時間ちょっとあれば、何とかできると思います」


じゃあ、楽しみにしておこうかな。

ん? 葉山がじっと見てるな・・・


「で、僕のお肉は?」

「わかったよ、半端な時間だけど、お茶と一緒に食べるとするか」

「むふふ、じゅるり」


葉山・・・目が怖いぞ。

じゃあ、俺もたまには料理するかな。

しかし、和紙作って、お茶作って、なんだろな。

今度は米でも作るのかな。なんてな。

でもなんか思っちまった、こんな日常もいいもんだよな。


── お茶とグリルチキンができた!


「うーん、これはいい匂いだなぁ」


やっぱりお茶って香りも大事なんだな。実感した。

アールグレイとはいかないが、少し甘い爽やかな香り。


「やっぱり、白湯飲むよりいい感じでやんすな」

「僕のお肉♪ 皮がパリパリでおいしいにゃ♪」


肉の取り分がおかしい件について。


挿絵(By みてみん)


「おい、葉山お前の肉・・・なんで皿二つなんだ?」

「葉山殿、いくらなんでも、そんなに食べられますか?」

「ガルルルルッ」


おい、噛みつく気か。

皿に触れようとしたら、威嚇されてる。


「はあ、もう好きにしろ。しかし、タエちゃん、このお茶まじで美味いよ。落ち着くなぁ」

「なかなか上手くできましたね。もう少し熟成できるともっと良くなると思いますが」


── しばし、お茶と肉を楽しむ一同


「タクちん、残りはどんな感じなんだ?」

「いま煮込んだやつ乾燥かけてるので、天気が悪くならなければ、明後日くらいには再度戻しができるかもでやんすが、最終まであと四日くらいかかりそうでやんす」


なるほど、てことは、こっちにきてトータル十日ってところかな。赤島倉庫では五日が過ぎる計算だな。


「まあ、自動で報告は出るから、大丈夫か。ひとまず紙を作り終えるまではいるしかないか」


■ 紙の試作品が完成


── それからお茶とお肉と紙づくりの日々


「できたでやんす!」

「おお、どんな感じだ? 結構黄ばんでるな。でも、いい感じじゃないか?」


まあ、薬品とかないし、漂白も十分ではないしな。

でも、これどう見ても和紙だ。


「小生、頑張ったでやんすが、紙をすいたのも昔でやんすから、端の部分が均一にならかったでやんす」

「タク殿、でもこれよく見ないとボコボコしてるのも、全然わからないし、端だから切ってしまえば問題ないですよ」


確かに、このレベルなら、問題ないんじゃないか?


「まあ、いずれにしても、実践でやった手順を全部まとめて、あとはハルっちに託すでやんす」


── そして、大喜びするハルアットに後を託し、俺たちは一時帰還した


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