冒険でやんす!その2
■ 二日目午後から三日目朝
散々歩き回ったものの、一切の成果なし。
いや、ほんとにあるのか?これ、大賢者さんよ。
「今日も歩くでやんすか?」
「いや、当然だろ?」
「あれ、葉山は?」
「葉山殿は、疲れたと不貞腐れて、ブラブラしてましたね」
全くフリーダムな奴だ。
どこだ?
「あ、あそこだな。葉山!なにしてる?」
「和田にゃん!!みてみて、これ❤️」
「ん?」
葉山の手の上、ハムスター?なんか、齧歯類だな。
よく見ると、ワーラットだって。
「それ、可愛いけど魔物だぞ?まあ、どうせテイムしてるんだろうが。食うのか?」
「僕お肉好きだけど、この子は可愛すぎて食べられないよ!」
「てか、遊んでないでそろそろ行くぞ。エサキス探さないと」
葉山・・・ワーラットとニヤニヤお楽しみだな。
「え、なに?ねぇ、和田にゃん、この子何か言ってる」
「え?」
「僕ね、エサキス探してて、全然見つからないよって、この子と話してたにゃん」
ん?ワーラット?話せるのか?
「ほら、これ触ってみて」
「・・・」
切れ切れに言葉というか、思念というか、直接頭に入ってくる感じ?
(・・・あっち、・・・くらいの、・・・あっちだ)
んー、なんだろう。断片的すぎるな。
(・・・大岩、・・・あそこ、・・・もっとあっち)
あ、あれのことか?遠くにでっかいのあるんだよ。
鷲が横を向いているような巨大な岩が。
葉山の能力が、触ったことで共有されたのか?
よくわからんが、そんな感じだと思う。
「あああぁ、そっか」
心の叫びが漏れちまった。
「和田にゃんどうしたの?」
「いやな、俺らは太陽の当たる側面中心に探索してたよな。まあ無意識かもしれんが、見やすいし、探しやすいからな。でもよ、ワーラットが言ってるのって、あの岩の向こう、ようするに太陽が当たらない反対側ってことなんじゃないのか?」
どのみち、闇雲に探しても仕方ない。
「よし、みんな、今日は山の反対側の捜索だ」
「小生、疲れてきたでやんす」
「僕もー」
「タク殿も葉山殿もあと少し頑張りましょう。せっかく冒険始めたんですから」
■ 朝食、準備を終え、山の反対の側面へ!
「ひぃ、こっち暗すぎでやんすよ」
「僕もこういうとこ嫌いー」
「確かに不気味ですね」
反対側は、明らかに不気味だ。
まだ午後の早い時間だぞ?暗すぎる。
日が当たらないって、こうも違うものなのか?
しかし、反対側って、いきなりでかい岩があったりするんだよな。
朝目印にしてた大岩回りこむと、また先のほうに柱か?って感じのがある。
── しばらく行くと、やはり柱だった
こりゃ人工物だろ?どう見ても。
あ、なるほど、これが遺跡ってやつか?
天然の連なる岩だよな?それの真ん中に扉?
扉の左右の柱でっかいな。
ん?扉の前、なんか居ないか?
ありゃ、なんだ?グリフォンってやつか?
凶悪な顔つきだぞ。
「僕、あれ怖いよ。可愛くない」
「小生、ファイヤアロー打ち込むでやんすか?」
どうしたもんか。あれは守ってるのか?
とはいえ、岩が立ち塞がってるからな。行くしかない。
「私が行ってみる」
タエちゃんが、少しずつ近づく。
「クエェェッ」
いきなり飛び立ったぞ。
でかいな。
おいおい、こっち急降下くるぞ!
── バシュッ
やばい爪が!危ない、あと半歩遅かったら直撃だぞ。
「和田殿!」
「くっ、大丈夫。かすっただけだ」
なんか汗みたいな生暖かいのが…
どっか切れたな。
「僕、これ仲良くできないー」
「小生も、これだけ早いと当てられないでやんす」
「和田殿、無念です。これでは届かない」
ですよねー。
空飛ばれたら無理だろ??
「一旦下がるぞ」
後ろの森の中まで行けば・・・
木々で遮れたけど、こっちも何もできないぞ。
あれ?右手・・・熱くなってる。
タクちんのファイヤアローも避けられる。
タエちゃんも届かない。
葉山はそもそもテイムする気もなさそうだ。
どこまで走ればいい?
── バサバサ、シュッ
低空から来やがった!
木を避けて回り込んできてる!
やばい!
── ドゴオォォォォン
── メリメリメリ
え?ナニコレ?
咄嗟にパンチ出たな。
てか、木の根元から数本叩き折ってる?
── ダアァァァァァン
うっは、木が密集して倒れてる。
めっちゃ太く、長い木だぞ?
って、グリフォン叩き落してるんじゃ?
「和田っち!やるでやんす!」
「やったのか?みんな無事か?」
「僕は大丈夫にゃー」
「和田殿お見事です!」
無事でなにより。
どれどれ、グリフォンってどんな奴よ?
「これ身動きとれないでやんすね」
「かなりでかいんだな。かなり弱ってるが、仕留めておくか・・・」
あれ、ちょっと、これって。
「あれ見ろよ。木が模様変わってるな」
「あ、点々!でやんす」
どうやら、木の根から離れると、どういう作用かわからんが、色が変わって点々と浮き出てくるようだ。
「よし、材料はゲットしたな」
「和田っち、これ重すぎて持てないでやんすよ」
「見るからに、太いもんな。どうしような」
「和田殿、ケガ直します」
タエちゃん、様々だよ。うん。
おほ、なんだ、ヒールって、むず痒いんだな。
━━ エサキスが、強敵すぎるんだが!
怪我治したり、エサキスの状態を見たりと、戦闘後の休憩をした。
「和田殿、エサキス少しは持ち上がるが、重すぎます」
「タエ様が無理なら、難しいでやんすよ」
「細切れにするにゃー」
「じゃあ、葉山たのんだ!」
「僕は、お肉なら細切れするよー。他のは知らないー」
まあ、期待はしてないがな。
タエちゃんの剛腕でも無理だと相当だな。
困ったなぁ。運ぶことまで想定してなかったぞ。
ノコギリもないしなぁ。
「和田っち!日が落ちるまえに、あの扉開けて入ってみるでやんす!」
「確かにな、今のうちに見ておくか。運搬方法は後回しだ」
■ 遺跡の中へ
━━ 立派な扉は…あっけなくタエちゃんが開けました
なんだろ?薄暗いが、所々に石なのか?光っていた。
扉入ると、正面壁の左右に通路伸びてる。
とりあえず、魔物の感じはしないな。
「左右別れるでやんす!」
「なら、右は俺とタクちん、左はタエちゃんと葉山ね」
「タエにゃん、ゴーゴーだー」
「大丈夫そうですが、皆様気をつけて!」
薄っすら灯りあるからいいんだけど。
まあ、ずっと一直線だし、迷わねえか。
少し先で右に折れてるな。
行くしか無いか。
━━ しばらくして右に曲がって、歩いて行く
どれくらい歩いたか?
かなり長く無いか?
同じ景色が続く。
ん?また右に折れてるな。
「なんか、足音しないか?」
「コツコツしてるでやんす」
魔物?人間?
黒い影がぼんやり見えるな。
「…にゃん。ぼ…」
ん?切れ切れに聞こえるのは?
「あー、和田にゃん達だ!」
「なんと、和田殿たちでしたか」
なんて事ないな。左右から来ただけじゃん。
「タエちゃん、何かあったか?」
「いえ、通路だけです」
「なるほど、こっちも同じだ」
「って事は、これでやんすね!」
ちょうど、通路両側に扉があった。
え、これさ…
「設備室?日本語、漢字でやんすよ」
「だな。反対は?…特になにもないな」
「設備室いってみるか」
なんだ?たくさんの鉄パイプ。
それと、タンクか?
発電機っぽいのもあるな。
これって、分電盤だなぁ。
「何だろな。この発電機、動くのか?」
スターターは?あった。
よし。
━━ ブルルン、ブルルン
動かないな。燃料切れか?
━━ ブルルン、ブルルルルルルォォォ
きたー!
動いてる。
「うるさいでやんす!」
「まあ、発電機はこんなもんだろ」
分電盤を開けて…
よし、メインのブレーカーをオンに!
━━ 様々なランプが点滅、点灯、グオーン
なんか動き出したな!
「色々動いてるでやんすが」
「ここは設備室、だからな。多分この動力は別もんでつかうって事だな」
気のせいか?部屋の中熱くなってきてないか?
「まあ、なんかあるなら、反対の部屋だろうな」
「いくでやんす!」
■ 異世界温泉
━━ 反対の扉を開くと…マジかよ
「「「「…!!」」」」
広いな。
石で作られたプールみたいに掘られてるな。
なんだろ、赤い怪しい系の灯りに、赤黒い石のプール。
いい雰囲気じゃないか?
あ、これは…
「おい、まただよ、これ見てみろ」
「元栓って書いてるでやんす」
「な、水道の元栓のとこみたいだよな」
「どれどれ、あー、これ回すでやんすね」
ボックスだね。開けたら、船の操舵輪みたいな手のひらサイズのハンドルあるね。
━━ ゴボゴボゴボゴボ…
プールの方からか?なんだろ?
なんかぷくぷく出て来てないか?
━━ ジャー
勢い増してんな。
てか、湯気立ってるよな?
お湯が溜まってきてる。
━━ もうこれはあれだ、温泉だろ?
「お湯溜まってきたでやんす」
「この量だと溜まりきるまで数時間かかるな」
「僕お風呂入りたいー」
「確かにいいですね」
どうすっかな。
「じゃあ一旦出ようぜ」
「小生、エサキスをどうするか、考えるでやんす」
「葉山とタエちゃんと俺で、狩いくとするか」
━━ 少し歩き回ってレッドボアゲット
「レッドボアは、とにかく突っ込んでくるんだな」
「あれくらいなら、すぐ仕留められます」
「僕、イノシシ鍋♪好きー」
まあ、葉山は肉ならなんでも良さそうだな。
そろそろだよな?
あ、見えてきた。
「タクちん、獲れたぞー」
「和田っち、多分行けるでやんす」
「ん?運搬方法なんかあった?」
「まあ、見るでやんす!」
どこまで行くんだ?
「いくでやんす!」
━━ シュン
「うわ、いきなり!」
俺の目の前に、ドタって、これ、タクちんの目の前にあった石だよな?
「色んな重さのやつ、試してみたでやんす」
「てか、もうかなり使い込んでないか?無詠唱ってやつ?なんも言ってないしな」
「これなら、王都に送れるでやんす」
んー、それはいいニュースだな。
でも、いきなり送るにもな。危ないよな。
「でもさ、向こうのどこに送るんだ?危なくないか?」
「和田っち、それが一番の問題でやんすよ」
「なんか方法あるか?」
「言い難いでやんすが…」
「なんだ?」
タクちん、珍しく躊躇ってるな。
「小生が、誰かを王都にアポーツするでやんす」
「なるほどな。そういうことか。あ、てことは、王都からまた戻らないとだよな」
つまり、二回アポーツされるって事だ。
「それから、小生もうクタクタで・・・もう魔法無理でやんす」
「タクちん、お疲れ様。今日はもう休もう」
「わーい、お肉♪と温泉♪だにゃー」
相変わらず葉山はお気楽だなぁ。
「みなさん、お風呂と食事どっち先にしましょう?」
「そ・れ・と・も、でやんすな」
「タクにゃん、キモいー」
「くだらんのこと言ってないで、飯食おうぜ」
━━ こうして、三日目も終わりに向かっていた
「お腹いっぱいでやんす!」
「僕もー幸せにゃー」
「ご飯の後は、タク殿も葉山殿も、幸せそうですね」
まあ、これくらい楽しみはないとな。
「よし、じゃあ、次の楽しみと行こうぜ」
「わーい、お風呂♪」
こらこら、走ったら危ないぞ。
子供か!
「「「「おおー」」」」
みんなハモったな。
湯気がもんもん、お湯はタプタプ。
よっしゃ!
「あー、これ混浴だよね?僕恥ずかしいよー」
「タク殿、仕切りとか作れませんか?」
「ご飯食べて、魔力も回復でやんす!」
いやー、これ爽快だわ。
仕切りが迫り上がって、面白い。
「これでいいでやんしょ?」
「じゃあ、奥が男風呂って事で」
なに、ロッカーみたいな岩棚できてるし。
さすが、ジオラマオタク細かいな。
「わー、タエにゃん、凄いなー、僕のよりめっちゃ大きい」
「葉山殿、いい加減にしないと」
「おーい、タクちん耳ダンボなってるぞ」
「そ、そんな事ないでやんすー」
━━ バシャッ
タクちん、プールじゃないぞ。
まあ、飛び込みたくはなるよな。
いい湯加減だなぁ。少し熱いくらいだけど。
「設備室みたけど、発電機止まってたわ」
「燃料切れたでやんすね」
燃料か、年代物の発電機っぽいけど、燃料持ってくれば動きそうだな。
「なんで日本語で書いてるんだろうな?」
「そんなの、当然、他にも日本から来てる、それしかないでやんす」
「設備かなり古いからな、結構前だと思うが」
「小生達がいるなら、他に居てもおかしく無いでやんす」
まあ、考えてもわかる問題じゃないな。
「ところで、さっきの話だが、王都にアポーツするって件」
「まあ、それしかないでやんす」
「だよなぁ」
このパーティだと、俺なんだよな。
俺だけあまり役にたってない。
「まあ、リーダーだしな。やるよ」
「和田っち…」
「和田殿、聞こえてます。私が変わっても」
「和田にゃん、頑張れー」
葉山はほんとブレないわ。
「タエちゃん、多分タエちゃんいないと、冒険できないからさ」
「和田殿…」
「まあ、あれだ、あの世にだけアポーツしないでくれたら、それでいい」
「任せるでやんす!」
まあ、やるしかないな。
もう、失うものも無いしな。
「あ、でも、明日朝、ちょい実験はしような」
「了解でやんす!」
━━ 温泉の効果抜群だ。気持ちいいまま、眠りについた




