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妖美なるこの世界  作者: 桂馬
休日の訪問者
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鳶髪の青年

 

 しまったと龍樹は思った。

 

 その顔には焦りの色がある。

 酒入りのカレーをたったの一口啜っただけで、パードリッジがぶっ倒れた。

 唸っているところを見るに死んではいないのだろうが、立派な白毛がうなだれ、しゃっくりをしているそれは間違いなく泥酔状態であった。

 話を聞くことに必死になっていたので、後の事を考えていなかった。

 おまけにその主目的もこの有り様なので聞けていない。

 本末転倒である。

(と、とりあえず、なにか策を講じないと)

 またアテナに怒られる。

 焦る龍樹がまず見付けたのは、寝そべっているパードリッジのすぐ側にあるカレー。

 いの一番に、証拠は隠滅しなければならない。

 龍樹は咄嗟にそれを手に取った。最初に比べて重いような気がした。そんなに注いだ記憶はないのに、改めて嗅いでみると日本酒の芳醇な香りがぷんぷんする。

 遅ればせながら、どうやらあの酒はアルコールが強かったようだと龍樹はここで気付く。

 だが今となっては後の祭り。

 龍樹は迷う事無く、流し台に身を寄せる。

 蛇口を捻る。

 勢いよく水が出た。

 それに紛れ込ませるように、残りのルー(ご飯は入れていなかった。これはパードリッジの要望でもある)が排水溝へと流れていく。

 犯行を終えた犯罪者の心境は案外こんなものなのかもしれない。

(とりあえずこれで証拠を葬る事はできた)

 お次は介抱よろしく状態のパードリッジだ。 

 腹を仰向けにし、嘴からは舌がだらしなく出ている。

 まるで無防備だった。

 いくらアルコールが強いとはいえ、ここまでになるという事は、パードリッジは相当な下戸の様だ。

 お酒は二十歳からというが、そもそもこの鳥はいくつなのだろう?

「……」

 いやいや、と首を振る龍樹。

 また話が逸れてしまった。

 嫌な事から目を逸らそうとするのは、彼の悪い癖である。

「さて、どうする」

 自分に確認を取る。

 即座に二つ思いついた。

 この状態のパードリッジをどこかへ隠すか。

 自分が外へと出て行き、あたかも何事もなかったかのように茶番劇を演じるか。

 一つ目は――駄目だ。隠したところで、アテナはパードリッジが龍樹といるという事を知っている。

 二つ目は――これも駄目だ。こんなパードリッジを置いて外に出れば、間違いなく怪しまれる。

 となると、その二つを合わせてみる。

 パードリッジを連れて、自分も外へと出て行く。そしてほとぼりが冷めたくらいに戻ってくる。

「……」

 これでいこうと、龍樹は思った。

 酔い覚めがいつになるとか色々と不明瞭な点はあるが、策士ではない彼にはこれくらいしか思いつかなかい。

 そうと決まれば、早速行動に移る。 

 なるべく刺激を与えないように、龍樹はパードリッジを抱きかかえた。そして思惑を実行するべく、細心の注意を払って外へと向かう。

 ……それにしてもと龍樹は思う。

(この鳥、凄げぇ気持ち良い)

 また話が逸れているような気がせんでもないが、いかんせんその肌触りは羽毛としては最高級だろう。出来る事なら頬擦りでもしたいぐらいだったが、それは次回にさせてもらう事にする。

 そうこうしている内に、玄関までやってきた。

 一旦パードリッジを傍らに置いて、靴を履く龍樹。

 靴紐を結ぶ。これで外出の手立ては出来た。

「よし」

 思わず漏れた言葉。

 慌てふためいた最初に比べれば、今は随分と落ち着いている。

 あの頃がなつかしいくらいだ。

 龍樹は立ち上がった。そしてまたパードリッジを抱える。最後の仕上げに、爪先で床をトントン、と叩き微調整する。

「どこに行くの?」

「ああ、ちょっと用事だよ」

 そして龍樹は、ハッとする。

 背後で聞こえたその無愛想で暗くて冷たい威圧的な声色には、聞き覚えがある。

 即座に振り返る。

 予想通り、そこにはアテナがいた。

 無表情なのでこの件を知っているのかいないのかさえも分からない。

 というか、いつも彼女は気づいたら背後にいる。

 深草兎歩でも使っているのだろうかとまことしやかに思いつつ、龍樹の顔は引きつっていた。

 アテナの背後には雫も居る。

 という事は、

「な、なんだよ。もう話は終わったのか」

「……ええ、粗方ね」

 と、龍樹の腕の中でぐったりとしているパードリッジを凝視しながら、アテナは言った。

 それから首を動かさず、眼球だけで龍樹へと碧眼の焦点を移す。

 どういう事、と説明を求めるような眼差し。

 いつもの事ながら、後退りする龍樹。

 あの褐色の男を圧倒するほどの戦闘力の持ち主。

 まあこの程度ではまず無いだろうが、可能性の話として、女が本気になれば龍樹はボコボコにされてしまうだろう。

「で、うちの鳥を連れてどこにいくつもりなのかしら?」

 審問官のような感じのアテナ。

 目敏い彼女の事だ。

 パードリッジがいつもと違う事など、会った時からすでに気付いている事だろう。

 なら、むしろこういう場合は堂々としなくてはならない。

 そう内心で律した龍樹は、言葉を返す。

「パ、パードリッジがちょ、ちょっと街を見てみたい、っていうもんだから、さ、散歩がてら付き合ってやろーかなー、と思って」

 どもった。どもりまくった。

 へたくそもへたくそ。

 長音を使ったのなんていつ以来だろうか。

 自分は今作り笑いをちゃんと出来ているのだろうかと、一抹の不安を抱く龍樹。

「……くんくん、なんか酒臭くないか?」

 鼻を動かし、匂いを嗅ぐ雫。

 余計な事を言うな、と龍樹は思った。

「そ、そうか。匂いなんてしないけどな。……そ、そんな事よりも」

 龍樹はなんとか話を逸らそうとする。 

「お前等これからどうすんだよ。確か夜の便に乗って渡英するんだろ。こんなのんびりしていて大丈夫なのかよ?」

 現在の時刻は午前九時。

 まあ空港はわりかし最寄りなので、それにフライト時間が夜となれば、よくよく考えればまだ結構な余裕があるといえばある。

「これからそのための旅支度をしに、彼女の家にいってくるわ」

 目を瞑りながらそう言い、靴を履き始めるアテナ。

「……そのまま行くのか?」

 龍樹の率直な質問を、いや、とアテナは訂する。

「色々と世話にもなった事だし、挨拶ぐらいはしにくるわ。それに、パードリッジもその状態じゃあね」

 靴を履き終えたアテナ。

 結局のところバレていたようだ。

 それでも怒らないのは、最早諦めているのだろうか。

 なんとも扱いが難しい女である。

 龍樹はアテナから視線を外す。変わりに入り込んできたのは立ち尽くす雫だった。

 元気がない訳でもない。未知なるなにかに怯える様子もない。

 それでも、いつもの彼女とは何かが違う気がした。

 ぼーとしている。

「どうしたんだよ。お前らしくもない」

「んあ、ああ」

 その反応をみたところ、どうやら本当に上の空だったようだ。 

 だが、そんな感慨に浸るような時間も、ほんの数瞬だった。

 二秒後には、いつものような余裕の笑みを雫は浮かべていた。

「大丈夫だ。色々と考え事をしていただけだよ」

「……そうか。まあ、なんか悩みがあるなら相談してくれよ。出来る事は出来るだけしてやるからさ」

「ああ、そうさせてもらう」

 一見して友情が芽生えた者同士の信頼関係に見えがちだが、龍樹は気付いている。

 千石雫という女は、他人の悩み事には土足でずかずかと踏み込むくせに、いざ自分の事になるとまるで周囲を頼らない。

 それは頼る必要が無いからなのか。頼っても無駄だと思っているのか。他人に迷惑を掛けられないと思っているのか。

 それとも、厭われるのが嫌なのか。

 いずれにせよ、そうだとすればそれは――人間を過小評価しがちだ。

 雫はドア前でこちらを無言で振り返るアテナを見て、

「おっと、待たせては悪いな」

 それは誰に言った言葉かは定かではないが、雫は靴を履き始める。

 そんな彼女に場所を譲った龍樹は、バレている以上、外に出る用事なんてないので靴を脱ぎ上がり框を跨ぎなおす。

 見送る形になった。

 振り返った時、アテナはすでにドアを開けていたところだった。

 せめて『また来るわ』ぐらいの愛嬌は振舞えないのだろうかと龍樹は感じた。

「それじゃ、後ほど」

 そこは流石の雫。軽く手を挙げ、まるで悪意のない自然な笑みを浮かべ軽い挨拶をする。

 ああ、と素っ気無く返事を返す龍樹。

 そして。

 アテナに釣られるような形で、雫も外へと出た。

 トン、と、引き戸式の玄関ドアが閉まる音。

「……ふぅ、」

 一息つく龍樹。

 なんだかこの二日間やけに溜め息が多い。

 気をつけないと、幸せは逃げていないだろうか。

(まあ、退屈はしないけど)

 居間へと向かいながら、龍樹は腕の中のパードリッジに視線を落す。

 まだ起きる気配はない。多分、この分だと酔いが覚めたときに軽い二日酔いにでもなっていることだろう。

 申し訳ない事をしたと、龍樹はさながら罪悪感に見舞われる。

 居間に到着し、ソファに腰掛ける。

 休日の朝だというのに誰もいなかった。

 母は現役を退いてからも奉仕や禊を続けており、毎日欠かす事無く、早朝から空野家の最深部に位置する部屋で何かをしている。

 説明を曖昧にした通り、龍樹は生まれてこの方部屋はおろか、母である十與がそこでどんな事をしているのかさえ知らない。

 以前気になって見ようと思ったのだが、見られたらまずいのか怒られたのでそれっきりだった。

 ああ見えて怒ると怖いのだ。

 そしてもう一人の住居人である――妹の崇子は、これまた物好きな性格の持ち主で、日曜の朝だというのに学友の家で勉強に精を出しているらしい。

 出来の悪い龍樹と違い、妹は才女……と言いたいところだが、より精密にいえばそれは『勉強が好き』といった選り好みによるものが強い。

 なんにせよ。

 現在、家には龍樹一人である。

「……」

 どこか虚しい空間。

 そこそこ広い部屋の面積がそれを余計に引き立てる。

(テレビでも見るか)

 そう思い、目前の座卓に置いてあるテレビのリモコンを取り、電源ボタンを押した。

 三十二インチと家族団欒の場所としては割かし小さなテレビは、音もなくその画面に鮮やかな映像を映し上げた。

 ニュースだった。

 普段ならそのままチャンネルを変えていただろう。

 しかし、その内容は指を止めるのに値するものだった。

『昨日、OO都××市に存する蓋世大学付属高等学校に侵入者が入り込んだ問題で、学院側は今回の件に関して『起こった問題を真摯に受け止め検討し、最前の然るべき処置を施していきたい』とコメントしました』

 それから、思わず目をすぼめるほどのフラッシュが焚かれるなか、顔見知りの校長が陳謝とこれからの危機管理についての抱負を述べ、頭を下げるのが見受けられた。

 それを見た上で、改めて感じ入る。

 やっぱりあれは現実だったんだ、と。

「……」

 報道内容が変わったので、龍樹もチャンネルを回す。しかし日曜の朝はどこもパッとしない放送をしている。

 こういう隙間を縫うようにバラエティなどを入れればそれなりに視聴者を集められるのではないだろうかと適当に考える。

 まあ規制があるのかそんな簡単なものではないのかは知らないが。

 見ないのに付けていても仕方ないと、龍樹はテレビの電源を落した。

 そして座卓にまたリモコンを置く。


 ピンポーン。

 

「ん?」

 突如鳴り響いたチャイムの音。

(誰だこんな日曜の朝に?)

 ソファに腰掛けた以上動きたくないのが正直なところなのだが、そういう訳にもいかない。

 訪問販売か回覧板か母に用事だろうと推測して、龍樹は玄関へと向かう。

 玄関タイル間専用になっているスリッパを履き、引き戸を開ける。

「あ、こんにちは」

 そこに居たのは、眼鏡を掛け人受けの良さそうな笑顔を浮かべ、茶髪で今風のいかにもハイブローそうな好青年だった。

 手には鞄らしきものを携えている。

 となると訪問販売か何かか、と龍樹は思ったのだが、

わたくし、こういう者です」

 青年はなにやら手を差した。名刺が握られている。その内容を龍樹はポツリと口にする。

「……家庭教師」

「はい、日々の積み重ねが物を言うこのご時世。いかに一日を効率よく充実的に過ごす、をモットーにやらせてもらっております。それであの……ご両親はご在宅でしょうか?」

「いや、居るにはいるんだけど……」

 どうしよう。

 超面倒臭い。

 いっそ『今はいませんので』と言えば良かった、と龍樹はすぐに後悔する。

「少しお話しだけでも」

 しかしその良心的な笑みを見ると、帰ってくれとは言えない龍樹。

 いた仕方なく、

「……ちょっと待っててください」

 複雑そうな顔をして、母を呼びにいく。


 その時丁度終わったらしく。


 母が居るであろう部屋へと足を運ぶ最中で、

「あら、龍ちゃんおはよう」

 いつも通り巫女装束を纏い、いつも通りの笑顔で、母である十與は息子へと朝の挨拶をした。

 手間が省けたと、龍樹は早速用向きを伝えようとする。

「ああ、なんか母さんに会いたいって言ってる人が」

「おはようは?」

 笑顔で首をかしげる十與。

 おっと、忘れていた。

「おはよう」

 よろしい、と満悦する十與。以前も述べたと思うが、どうも巫女などの神職の世界では、礼儀が何よりも枢要されるらしい。

 基本大雑把な性格の十與なのだが、こと礼儀に関してはうるさい。

「で、なにか言いかけたみたいだけど」

「うん、なんか家庭教師が来てるんだよ。それでその人が母さんに話を持ちかけたいんだとよ。言っとくけど断ってくれよ。家でも勉強なんてしてたらそれこそノイローゼになっちまう」

「そう。でも、産んだ以上、親は子を思わないといけないものなのよ」

 そんな曖昧な事を言いながら、十與は玄関へと向かう。

 きっと息子の馬鹿っぷりには、表に出さずとも十與も懸念するものがあるのだろう。

 遠ざかっていく背を見ながら、目を細める龍樹。

(……ヤバいな)

 本気で契約するかもしれない。母に限ってそんな事は無いと思うが、あの青年、結構なイケメンだったし。

 所詮、母も人間。寡婦状態状態の今に寂しさを覚えない訳はない。

(……いやいや)

 昼ドラじゃないんだから。

 とにかく、休みの日まで勉強漬けになるのは避けなくてはいけない。

 龍樹はいらぬ方向に話が進まぬよう、二人の会話を傍拝聴することにした。



「いいですか奥さん。まずはこちらの『近年に置ける全国の高校知能偏差値の統計学』のグラフを見てください。五年前を筆頭に右肩下がりになってしまっているんですよ。その大きな原因としては、『学校意外では勉強しない』『やり方、解き方が分からない』などといった非常に微温的なものなんですね。更に、そこにゆとり教育による他力的な勉学の減少も拍車が掛かってきています。それは少しのきっかけで、本当に些細な事で解消できるものなんですよ。テレビなどでも拝見しているとは思いますが、世界の金融危機や物価の高騰の余波で、いま日本という国の就職事情は氷河期を迎えており、職に就く事が容易ではありません。だだ、それで腐ってしまってはそこまで。誰だって――天才だって始めはゼロからのスタートです。そこからも窺えるように、子供の可能性は無限大なんですよ。いまや大学出は当たり前。将来はなにげない日々をいかに効率よく消化するかで決まるものです。そこで、各学科のスペシャリストが自宅に赴き、現役だからこそ出来る、他とは違う良質で中身の濃い勉強が提供出来る弊社に、是非ともご検討を」

 食卓に腰掛け、お茶を傍らに身振りすら交え噛む事なく滔々と雄弁に喋るあたり。

 そこは流石だと思った。

 母も母で、

 へぇー、まあ、そうだったの、と、やけに食いつきが良い。

 やばい、このままだと非常にまずい。

 龍樹は己の意見を述べる。

「で、でもさ。俺の学校、結構学問に力入れてるから、後数ヶ月もすればきっと平均以上の数字は取れてるだろうから、そんなに焦る必要もないと思うし」

「お幾らなのかしら?」

 母が料金を聞き始めた。

 いよいよ全力で止めなくては。

 しかし、いつもの事ながら、思考能力はスロースターター。

 考えている内に、話が進んでいく。

「料金は一応こういった具合になっております」

 好青年は鞄の中から料金表を取り出し、母に見えやすいように向け机の上に置いた。

 なんともリーズナブルなその価格に、龍樹の焦りは増幅された。

「ただ、今無料キャンペーンを実施しておりまして、最初の教鞭は無料で執らせていただいて、その上で入会するかしないか査定していただくといった形式を催しているんですよ」

 殺し文句だった。

「ふーん、龍ちゃん」

 母が隣で苦い顔をする息子を見る。

「どうせタダなんだし、試してみるだけでも試してみたら?」

 一見して委ねるような物言いだが、 

「いいよ。どうせ続かないんだから」

「やってもないのにそうやって決め付けるのは龍ちゃんの悪い癖よ」

「いや、でも」

「もしかしたら合ってるかもしれないし」

「……だから」

「どうせ今日は行くところないんでしょ」

「……」

 母はこうなっては譲らない事を、龍樹は知っている。

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