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妖美なるこの世界  作者: 桂馬
イタリアへようこそ
113/261

エピローグ・後に残ったもの

ミレーナの中に巣食う悪魔がいなくなった次の日の朝。

自宅のダイニングテーブルでいつもと同じく、家族で朝食を取るミレーナ。

ただ、違う点はいくつかある。

一つは会話が少ない事。

一つは調子の悪いミレーナに考慮し、いつもより遅めの朝食である事。

そしてもうひとつは、家族が一人いない事。

静まり返った空間にスプーンと皿がぶつかり合う音が響く中、ミレーナは地面へと視線を落とす。

いつもならそこにニーナがいるはずだった。

大きな身体のくせに少量のドッグフードをちまちま食べる姿が、もうそこにはない。

「……」

 悲しそうな表情で、自分の食事を再開するミレーナ。まだ病院には連れて行っていないので何ともいえないが、痛みなどはなく、見たところ身体的にも影響はないようだ。 

 結構な時間寒空の下にいた精か体調が悪いだけで、今もおでこに熱覚ましのシートを貼ってるのみで賄えている。

 悪魔に取り付かれている間は免疫力が向上していたが、いなくなった今、それが一気に現れた感じだ。

 そんな体調不良と悲しみにくれる娘を見ると、ミシェルとダニエルも気が沈む。

 概要はアテナからすでに聞いている。悪魔に憑かれていた事や、それにより家畜を殺していた事、ニーナがすでに死んでいた事。

 あまりにショッキングな事実が多すぎて、二人とも頭の整理が出来ていないのが現状だ。

 勝手ながら家畜殺しの件は本人も覚えていないみたいなので伏せることにしたのだが、親である以上それも責任は取らねばなるまい。

 後で飼い主やらに信じてもらえるかどうかはともかく、事情を説明し判断に委ねるしかない。

 それも大変な事だが、その問題は今の二人には頭の片隅にしかなかった。

 問題は心のケアだ。

 ただでさえ引っ込み思案なミレーナの性格。今後それが更にひどくなり周囲との溝が深まってしまう可能性も考えられた。

 静まり返る空間。

 龍樹は目でミシェル達を見渡し、様子を探る。

 彼自身もこういった空気が苦手だ。今も正直食事が喉を通らない状態で、サラダなんかをちまちまと突いている。

 どうにかならないものかとアテナに視線を移すが、家族で解決すべきとでも思っているのか、彼女はまるで気にしない様子で淡々と食事を進めている。目を瞑り丁寧なテーブルマナーで生ハムを口に運ぶ様はまるで仲裁に入る気もないようだ。

 その隣にいる雀は相変わらず朝が弱いようで、寝ぼけているのかパスタをスプーンで食べようとしてなかなかうまくいっていない。

 いつもの明るい彼女ならまだ打開策があったかもしれないが、現状脳が起きるのには時間が掛かりそうだ。

 というか眼が半開きなのがちょっと怖い。

「大丈夫よ」

 そわそわする龍樹の心中を見透かしたのか。

 食事を進めながらアテナがそう告げる。

「ちょっと戸惑っているだけ。お情けとかそういうのとかじゃなくて、行動力があったところからも窺えるように、この子は本当に強い子。そのうち勝手に立ち直るわよ」

「……本当か? 何か声ぐらい掛けた方がいいんじゃねーの」

「だから大丈夫だって。それにそれは私達がするべきじゃないでしょうし」

 相変わらずさばさばした様子のアテナ。という事は、なにかしらの推測材料があるという事なのだろうか。

 それを示すかのように、

「あーあ、それにしても今日はいい天気だな」

 嫌な沈黙を打ち破ったのは、ミシェルだった。

 手を上げ背筋を伸ばすしぐさを取る。言葉の分からない龍樹にはその内容が分からないが、いつもの柔和な表情を見るに明るく振舞おうとしているのは分かった。

 それにダニエルも乗る。

「そうだね。こんな日は家族揃ってピクニックにでも出掛けたいね」

「お、いいね。じゃ久しぶりに弁当でも作っていくか」

「え? あ、ああ。いや今日は流石に無理だけど、今度の週末ぐらいだったら」

「出たよ生真面目人間が。この男は私達よりも仕事の方が大事だそうです」

「またそうやって人聞きの悪い事を言う。今度の週末に行こうって言ってるじゃないか」

「あ、そ。じゃ弁当なんかは全部作ってくれよ。罰として」

「……なんの罰なんだよ」

「いいじゃないか別に。あんたの手料理私は好きだよ。ほら、ミレーナもパパの手料理食べたいよな」

 積極的に話題を振るミシェル。少々強引な感じがせんでもないが、これが彼女なりのやり方なのだろう。

 しかし当の本人はというと

「……別に」

 と実に素っ気無い態度を取った。

 それを聞いた二人も一瞬黙り込んでしまう。いつも以上に落ち込んでいる娘に、戸惑っているのだろう。

 しばらくするとダニエルが「そ、そうか」と複雑そうな反応を取った。ちょっと傷ついているようだ。

 だがそんな彼の反応に気づかない様子で、ミレーナは俯いたままスープをかき混ぜている。

 再び訪れた沈黙。

 それなりに人生経験を積んできた大人と違い、こういった場合の子供というものは実にナイーブだ。

「……なあミレーナ」

 まどろっこしいやり方では駄目だと感じたのだろう。

 ミシェルは方針を変え、真剣な面持ちになった。

 娘であるミレーナを一心に見据え。

 諭すように、彼女は言う。

「悲しいのは私達も同じさ。ニーナは本当にいい子だった。今でも亡くなっただなんて信じたくない」

「……」

 黙って、更に俯くミレーナ。下を向きすぎて最早その表情は窺えないが、きっと今にも泣き出しそうな顔をしているのだろう。

 それを知ってか知らずか。

 ミシェルは柔和な笑みでこう続けた。

「でもミレーナはちゃんとお別れできたんだろ?」

 これもアテナから聞いた話。

 面と向かって別れを告げ。前に進むと、あなたの娘は言っていたと。

「偉いなあ。私だったら絶対出来ない。嫌だと言って、きっと未だに悪魔に頼っていただろう。でもミレーナは自分が我慢して、ニーナに取って一番良い選択をした。本当に強いよ。流石は私の自慢の娘だ」

 母親のその言葉に、限界が来たようだ。

 俯いた小さな身体は小刻みに震えている。そして聞こえる鼻水を啜る音。ぽたぽたと、涙が落ちる音は静寂な空間によく響く。

「ほら。泣いてちゃニーナに笑われるよ」

 優しく語り掛けるミシェル。あまり気に掛けてはいけないと、スープを口に運び反応を待つ。

 言葉を受けると、ミレーナは顔を上げた。涙を拭き、母親である彼女でさえ見た事のないような力強い表情をしていた。

「泣いてないよ。だってミレーナはニーナと約束したんだもん。強くなるって」

「おっと、そうだったか。それはすまない」

 誂えた様な対応だった。

 流石は母親と言ったところか。意図も簡単にミレーナを丸め込んだミシェル。

 ミレーナは先程までの落ち込みを補おうとでもしているのか、はたまたニーナとの約束を守ろうとしているのか、食事を急いで取り始めた。

 それを見た龍樹もほっと一息。やはり言葉の内容は分からなかったが、ミレーナの元気な姿を見れば丸く収まったと解釈するのは難しくない。

「ね、言った通りでしょ」

 隣から聞こえた、得意げな日本語。

「誰でも経験する事なのよ。あまり気を使いすぎたら、かえってその子の為にならない」

 そちらを振り向く龍樹。

 見れば、その横顔は少し笑っていた。目を瞑りスープをしとやかに飲むアテナは、果たして今自分がどんな顔をしているのか気づいているのだろうか。

 この女は冷徹に振舞おうとしているくせに時たまこういった感情が表に出るときがある。

 今だっていちいち注釈を入れて来た。気にしてなければ、無口な彼女は自分から喋る事もなかっただろう。

 裏家業以外での彼女は案外無防備なのかもしれない。

 まあそこが良い奴なんだけどなと、不遜、龍樹は上から目線で感心する。

 釣られるように、一安心した彼の口元にも笑みが浮かんだ。

 またいつもの憮然とした態度に戻ったアテナから視線を外し、食事を再開させる。

 これでやっと食事が喉を通る。

 そうすると改めて感じる事だが、アルファーノ家の食事は相変わらずうまい。

 だがこれだけイタリア料理が続くと、日本食が食べたくもなるのが本音だ。

「どうしたのお兄ちゃん?」

 ふと、ミレーナが何かを聞いてきた。

 だが龍樹には言葉が分からない。

 そこでアテナに訳してもらう。

「ん? ああ、いや別に。何でもないよ」

 またそれが訳されて伝えられる。

「本当に? 何かご飯見ながら難しい顔してたけど」

「……あーっと」

 突然の追及に、戸惑う龍樹。

 確かに、日本食が食べたいなと思った時に複雑そうな顔はしてしまった。

 しかし、なんだろう。やけに突っかかってくる。

 今考えてみれば始めてかもしれない。

 彼女から話しかけてくれるなんて。

 まあ悪いことではないだろうが、驚いたというのが龍樹の正直な感想だ。

「あ、ほら、お姉ちゃんもちゃんとフォーク使わないと行儀が悪いよ」

 活発的な行動は更に続いた。寝ぼける雀にフォークを差し出すミレーナ。 んあ? と何とも間抜けな反応を雀は示した。

 それでも一応はフォークを受け取る。

「ありがとうございます」

 ミレーナに対しても敬語で頭を深々と下げる雀。

 こいつ、まだ寝ぼけているらしい。

 口にスパゲティーを持っていく動きは相変わらず惰性的だが、器具がまともになった甲斐あってか、見れる食事にはなった。

 それにしても、五歳児に注意される十六歳もどうかと思うが。

 それを見たミシェルも最初はぽかんとしていた。

 だがやがてくすりと笑う。

「いやすまないね。どうやらうちの娘、目覚めちゃったみたいだ」

 面白半分でそう言ったミシェル。快活に笑う様は、自分の娘が成長したのが嬉しいのだろう。

 しかし覚醒した娘とやらは親にも例外なく食って掛かる。

 笑顔を浮かべるミシェルを、ミレーナは険しい表情で見ると、

「お母さんも膝を立ててご飯食べちゃ駄目だよ」

 と注意した。

「ん? ああごめん」

 虚を衝かれた様子のミシェル。反射的にだろう。指摘されて慌てて膝を下ろした。

 それを複雑な心境で窺っていたのがダニエルだ。苦笑いを浮かべている。気の小さい彼には娘の変貌振りに耐性が付いていないのかもしれない。

「それと、お父さん」

「はい!」

 それきたと言わんばかりに名前を呼ばれ、びくっと背筋を伸ばすダニエル。

 我ながら情けないとは思っている事だろう。娘とはいえ、緊張の面持ちで何を言われるのかとドキドキしていると、

 ミレーナはニコッと笑い、

「さっきはどっちでもいいって言ったけど、やっぱりお父さんの作ったお弁当久々に食べたいな。私も手伝うから一緒に作ろ」

「……ミレーナ」

 放心状態の時に発するような声。

 まさかこんな事を言われる日が来るとは、と案外涙脆いダニエルはちょっとだけ感涙する。

 ずず、と鼻水を啜り、皆に見えないよう涙を拭く。

 ミシェルはその背を軽蔑の目で見ている。

 気持ちは分からんでもない。

 他人である龍樹ですらちょっと引いてしまうぐらいだ。いくら自分の愛した男とはいえ、だからこそというか、そういった部分ではより一層敏感に反応してしまうのだろう。

 この人はきっと結婚式の時とかには大変なんだろうな、等とどうでもいい事を考えつつ、龍樹はほっと胸を撫で下ろす。

 大事な友達と別れるのはさぞかし辛いことだったとは思うが、これもいち経験だ。

 そう思う龍樹自身そういった経験はいまだに記憶にないのであまり言える立場ではないが、明るく振舞うミレーナを見るともう割り切ったようで、恥ずかしい話彼女が自分よりも逞しく見えた。

 悪魔を取り払った少女の顔にこれまでの怯えは無い。

 しっかりと顔を上げ、はきはきと喋っている。本当に同一人物なのかと疑うほどにその行動は活発で、今も積極的に話題を振りまいているようだ。

「あ、そういえば」

 いまだ母親に元気よく話し掛けるミレーナを見て、龍樹はある事を思い出す。

 その真相を知るであろう人物に訊く。

「昨日ミレーナちゃんからドッグマーカーを受け取った時、あの子怯えてたぞ。お前何て言ったんだよ」

 横を向き、反応を窺う。食事を進めつつアテナはああそれかと言ったような間を空けてから、

「別に、ちょっと脅しただけよ。それを渡さないとお父さんとお母さんも殺されちゃうわよ、って」

「……結構言うなお前も」

「子供に納得させるには嘘でも大げさな事を言うのが効果的だからね。優しいだけじゃ駄目だなんて、改めて言わなくても分かる事でしょ」

「そりゃそうだ」

 表情一つ変えず食事を進めるアテナの横顔。もう今更言うような事ではないが、何を考えているのか全く分からない。

「もう一つ訊いていいかな」

 この際だからと、龍樹は更に質問する。

 最早慣れっこなのかアテナは食事を止めずに返事をした。

「駄目って言ったって訊くんでしょ」

「いや……訊かないよ」

 龍樹は、いつになく慎重な様子だった。

 そして妙な前置きをする。

「これはただ俺が気になったから訊くだけで、別に深い意味は無い。でも、ひょっとしたら失礼な質問かもしれないし、嫌な気持ちにだってなるかもしれない。その時は本当に答えなくて良いから」

 一体どんな質問をするつもりなのか。

 駄目だと告げた父親の件についても気兼ねなく質問してきた少年が、渋る内容。

 それにアテナもただならぬ雰囲気を感じた様だ。

 食事の手を止め、彼の方を流し眼で見る。

 一丁前に緊張している龍樹は、言葉の通じない周りに悟られないようにと、あえて食事を進めながら時を待つ。

「……何よ、その質問って」

 アテナの促しに、龍樹は一度だけ手にしていたフォークを置く。

 それから、彼女の方を向き、こう訊いた。

「もしミレーナちゃんが褐色の男みたいになっていたら、お前はこの子を殺したのか?」

 場違い、な質問であるには間違いないだろう。

 それでも彼は気になったのだ。

 アテナは確かに優しい。でも、だからこそ分からない。

 これまでの経緯を思い出すに、この女は業務上どんな場面であれそれを全うするのだろう。

 ただ今回の場合はどうなのか。

 別にあのまま祓わなかったところで一部では騒ぎになろうと、世界の均衡とやらに支障はきたさない。

 それに今もどこかで起こっている事だと、前にも言っていたような気もするし。

 一般人とは少し違う経歴を持つこの女ならどうするのか。

 純粋に疑問を感じた次第だ。

「何だ、そんな事」

 と、それなりの気苦労をした龍樹の疑問に、アテナは息を吐いた。

 心配して損をしたとでも言いたそうだった。

「そんな事って……まあそんな事なんだけどさ」

 アテナの意外な態度に、龍樹も肩透かしを喰らった気分だ。

 しかし日常を過ごしてきた人間と裏世界を過ごしてきた人間の価値観が違うのは、考えても見れば当然なのかもしれなかった。

 かくして、

「殺したかもね」

 平然とアテナはそう答えた。

 あまりに軽々しい言葉だったので、思わず眼を瞬かせる龍樹。とはいえらしいと言えばらしいので、そこまで驚く必要もないのかもしれないと、なるたけ平常を取り持ちつつ、詳しく訊く。

「でも業務とは関係ないんだぞ。それでもそうしたっていうのかよ」

「だから、かもしれないって。もしかしたら殺さなかったかもしれないし、分からないわよ」

 目を瞑り、サラダをぱくり。いつかの流すような対応だ。

「何がそんなに気になるのかは知らないけれど、ミレーナは助かった、それでいいじゃない」

「……」

 意外といえば意外だと、龍樹は思った。

 これまで何かと物事には白黒付けていたアテナ。

 だから、こんな風に投げやりな答えを選んだという事に、どこか違和感のようなものを感じてしまう。

 気にしすぎだとは、彼自身分かっていることだが。

「違う可能性なんて考えていたらこんな世界やってられないわよ」

 呆れた様に目を瞑り、独り言のように呟いたアテナ。

 愚痴のようなそれは根幹に触れていた。

 つまり、後悔したくないという事。

 要領の良い彼女でさえ、これまで道を誤った事だってあるのかもしれない。

 きっとそれを再認識するのが怖いのだろう。

 はたまた。

 立ち位置的に世界の実情とやらを目撃してきた、嫌気からか。

「ごめん」

「? なぜ謝るの」

「いや……なんとなくさ」

 繰り返しになるが、本当に、ただただ気になっただけの質問だった。

 その答えを知ったところで彼女を見る目は変わらなかったし、どうこうしようとも思わない。

 だが、

(優しいだけじゃ駄目、か)

 意味もなくトマトを突く龍樹。

 当たり前の事だが、裏世界の彼女がそう言うとより説得力があるように感じられた。

 ミレーナだって本当はニーナが居た方が良いに決まっている。

 でも、それは自分達の住む世界では許されない。人が死ぬのを当たり前と位置づけ、それが自然の摂理だと認めてしまっているこの世界では、本人だけの特別なんてものはあり得ない。

 きっとこうやって世の中の厳しさに晒され、学んでいくのだろう。

 諦める事を覚えて、

 皆大人になっていく。

(……ま、だからなんだって話だけどな)

 我ながら良い性格をしている。年を取ると周りに順応して、結局興味が薄れていく。自分自身にも当てはまる事だが、答えが見つかったから何だという話だ。

 いつも通り楽観的に物事を捉える龍樹。思っても見れば、それはアテナが言う結果論を重要視する考えに似ているのかもしれない。 

 というより、笑顔の絶えない目前の光景を見ていればそんな疑問を抱くのもアホらしくなってしまう。

 ブツ、とフォークでトマトを刺す。当然赤いトマトは中身が飛び出し、見るも無残な姿に変わり果てる。

 可笑しなことに、龍樹にはそれが複雑な在り方をする問題ごとに見えてしまった。

 起こってしまった事を元に戻すのは不可能だ。要領のいい人間はそういった悲劇を糧にするというが、もちろん全員がそれほど器用に捉えられる訳がない。

 ニーナの死とミレーナの前進。

 どちらがどうか等と天秤に掛けるつもりはない。

 昨日までとは打って変わり笑顔のミレーナ。そんな彼女を見て、きっと天国のニーナも喜んでいる事だろう。

 それ以外に考える必要なんてない。

 過去を振り返らない体質の龍樹は、そう思いながら潰れたトマトを口に押し込み、腹へと収めた。

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