行間・明らかになる事実
教会に行き、神父と合流。
ドックマーカーを頼りに、現場へと急行したアテナ。
そこは小さな農家だった。
まだ小ぶりなオレンジが実り始めた樹があり、近くには恐らくは家畜用であろう小屋がある。
ドックマーカーの画面に移る標的はすぐ傍を示している。
万が一に備え神父は聖水を手に、準備を整えておく。
事が事だけに警察に連絡をしようか迷ったが、如何せん知り合いが関わっているので躊躇われた。
神父との話し合いの結果、ある程度全貌が明らかになってから知らせるという方針で話は纏まった。
何よりも彼女自身その眼で確かめたい性格。
先ほどあった警官の素性確認からも分かるように、素性を調べられるような事になると色々と面倒な事にもなりそうだった。
人に道を説くという神父の性質上、その辺りは理解があったのも幸いといえば幸いか。
それでも危険がある可能性は高い。
何かあれば対応できるように慎重な足取りで先陣を切り、アテナは進んでいく。
と、ドックマーカーに映る標的までもう少しという所で、動きがあった。
小屋の向こう側から光る瞳。
動物だ。
のそりと姿を現した見覚えのあるその犬の首には、発光性のある赤い何かが明滅している。
恐らくはドックマーカーの発信機。
詰まるところそれは標的の可能性が高い。
割と早い足取りでこちらへとやってくると、やはりニーナだった。
もしかすれば例の家畜殺しの元凶かもしれないのだが、アテナは怯えることも警戒する事もなく、むしろしゃがみ込み、近づいてきたニーナの顎を撫でた。
ほっとしたのか困惑しているのか。
彼女は無表情なので分からない。
しかし安堵だけはしていないようだ。
辺りに動物の死体らしきものがないかを確認しているのか辺りを見渡すアテナ。
碧眼をきょろきょろさせながらもニーナからは意識を外さず、目前に広がる闇を探索する。
「お、おい待てその犬」
ニーナを見て、神父がなぜか驚いた。
これにはアテナも反応を示し、彼の方を見てすぐさま訊く。
「どうしたの?」
普段の彼女からはあまり想像できない急いた口調。
神父はいまだ目を見開いている。
しかしそれは原因が分からないといった類のものではなく、むしろ全てを知った上で引き起こされかねない展開を予想しての焦りだった。
「まずいぞ」
いまだ現状が把握できていないアテナを置いてけぼりに。
神父は結論だけを口にする。
「あの子達が危ない」




