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魔法と闇と絶望と  作者: 凛莉
最終章~騎士と王~
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第57話 雑炊-増量注意-



「さて・・・、と」


準備って言っても、僕は特に無いんだよねぇ・・・。


スピリーツ。来なかったなぁ・・・大丈夫だろうか。

でもスピリーツだから、きっと大丈夫。



夕飯は・・・いっか。

作るにも早すぎる。

まだ日が暮れてないからね。


〈マスター、今日の夕飯は、どうします?〉

「今日はいいかなぁ・・・今まで全然食べてなかったのに、最近毎日食べてるから、少しいいかなって」


何か入ってると逆に違和感が有るんだよねぇ・・・


〈スピリーツさんは、大丈夫でしょうか?〉

「大丈夫、絶対に」


不安がるレヴィンに僕はすぐにそう答えた。



・・・そういえば、リーディが本当に大人しい。

前は少なからず何かコンタクトを取ろうとしてたんだけど、全然来ないなぁ・・・

それはそれで良いんだけれども。



「さーて・・・何をしよっかなぁ」


久しぶりに魔導書室にでも行こうかな。

リビングを出て、廊下を進む。電気が点いていないから、暗い。

廊下の一番奥にその部屋はある。


扉の少し上に、魔導書室と書かれた金色のプレートが付いていた。

これ今まで何とも思ってなかったけど、これって本物なのかなぁ?

まぁいいやとそのまま扉を開け、部屋の中に入る。そのまま扉の隣にある電気のスイッチを入れる。


明るくなった部屋は、沢山の本棚に本がギッシリと詰まっていた。


「いつ見てもギッシリだよね」

〈マスターは幼少の頃にこれを全て読んだのですか・・・〉

「パラパラ読みだけどね」

〈それでも大分面倒な作業に思えますが・・・・〉


うーん・・・


部屋をぐるりと見回す。


確かにこの本を一々出して捲って閉まって・・・面倒臭いね。

良く昔の僕はそんな事を出来たよねぇ。今だったら絶対やらないよ。


殆ど皆同じような内容だったんだよなぁ・・・

今思うとつまんない内容だったんだけど、昔の僕は楽しんでた・・・はず。


〈一番、魔力量が多い魔導書は・・・左側の三列目の、本棚の、藍色の本ですね〉

「左側の・・三列目の・・・藍色の・・・っと、あったあった。これだよね?レヴィン」


〈それで合ってます。 何が、書いてあるんでしょうか?〉

藍色の無地の表紙を捲る。

「んー、基礎の基礎って感じだね。やっぱり魔導書は魔導書かな・・・・あれ?」



あるページに目が止まった。


「これってもしかして?」

〈サロの図面?・・・これは、私と、同じ・・・・?〉

「そういえばレヴィンを造ろうとしたきっかけがこの本だったっけ」

〈良く理解して、尚且つその材料がありましたね・・・〉

1年で造ったんだけど、本当なんでそんな材料がこの家にあったよね・・・。


一度本を閉じ、著者名を探す。表にも横にも無く、裏を探す。


「著者って誰だろ・・・!?」

本の表紙の色よりも濃い藍色で書かれていた名前は、見づらくて、よく見ないと見えなかった。


〈・・・・ルエ=ディブル。レクイレーチェの人物で、スリーデニィ=タンティースの、親戚〉

「昔マジックソルチェを奪う時に、『親戚だったのです、私の先祖と、ルエ=ディブルは』何て言ってたけど、

別人だし前世だよね。何であんな嘘をサラッと言ったんだろう」

〈そういえばそうですね。マスターとは全く関係、無いですね。

それにしても、当時何故皆さん信じたんでしょう?『子供の戯言』で済ませられたりもしますが〉


んん・・そういえばそうだよね。

「まぁ、多分魔力の量が尋常じゃなかったからじゃない?」

〈あの時魔力隠してませんでした?〉

うーん?どうだったっけ・・・


「んー・・まぁ、細かい事を気にしても仕方が無いよ」

〈それもそうですね〉


「後は気になるところは特に無いかな」

本を閉じて元々あった場所に戻す。


〈もう日が暮れてますよ〉

「本当?」


この部屋には窓が一つも無い。

有っても壁で結局何も分からないんだけど。


扉の上に掛けられた時計を見る。

もう19時30分か・・・どうしようかなぁ

とりあえずテレビか何かでも見てようかなー。


入ってきた扉を開け、部屋の電気を消して出る。


廊下を歩いていくと、明かりが見えた。


「・・・あれ?」


まだ電気は付けてなかったハズだから・・・


もしかして、スピリーツ?

明かりに近づくにつれて、何か美味しそうな匂いが漂ってくる。


リビングに入ると、テーブルに一つの鍋。中から湯気が上がっている。

「あ、マスター。夕飯出来てるわよーっ。今日は軽目の物にしたわ。お雑炊よ」

「スピリーツ」


そこにはやはり、スピリーツの姿。


〈あの、大丈夫・・・なんですか?〉

「何のことかしら? それより早く食べましょ!熱いのがまた良いんだから!!」


ふふ、と惚けている。これなら大丈夫そうだね。



「じゃあ食べようかな、折角スピリーツも用意してくれたんだし」

・・・雑炊くらいなら大丈夫。それに食べ物が勿体無い。


「マスターもそろそろ食事に慣れた?」

「う・・まぁまぁ、かな・・・」

顔を見られながら言われると、つい目を逸らしてしまう。


「まだなのね。・・・まぁ、ゆっくり慣れていきましょう」

スピリーツは2人分の茶碗に雑炊を注いでいく。

目の前には、満杯の雑炊入り茶碗。 湯気がモクモクと出ていて、熱そうだ。


「そういえば何か分かったかしらぁ?・・・・あっつ!!流石に熱いっ!」

パクリとスピリーツは一口食べるが、余りの熱さにオドオドと慌てている。


「お水お水!!」

まだ空だったコップに水を並々注いでスピリーツに渡すと、凄い勢いで一気飲みをした。



「ぷふぅ・・・。ちょっと気をつけましょ・・・」

「・・・それより、レクイレーチェに行くのは1週間後。それと捕縛じゃなくて、殺していいって」


少し強引に話を逸らす。

最後の言葉にスピリーツの目はギラリと怪しく輝いた。


「ふふふ・・分かったわ。この際、ト・コ・ト・ンやっちゃいましょう、マスター!!」

「う、うん」


テーブルを思いっきり叩きそうな勢いで言われた為、頷くしかなかった。


「あ、それとマスターもサラッと『殺す』何て言っちゃ駄目よ。見た目は子供なんだから。

それに少しくらいは戸惑いなさいよ」


ふーっと息を吹きかけて冷ました雑炊を口に入れる。・・・うん、美味しい。

飲み込んでから、スピリーツの言葉を返す。


「そう言われても・・・僕だって好きで子供の姿で居るわけじゃないよ」

口を尖らせて言う。本当に全然伸びない。成長期もあるかもしれないけど、これは流石に・・・。


〈まぁ、小さい方が敵も油断しますし、小回りも利きますでしょう?〉

「それもそうだけどね~」


的も小さいから相手も当てるの苦労するだろうし、メリットは結構有る。

あるんだけど・・・子供扱いと・・・・あの、女の子扱いはちょっと・・・・・。


「あー・・・マスター、殺気立ってるわよ。お雑炊が不味くなっちゃうわ」

スピリーツに言われてハッとする。確かに少し殺気を出していたかもしれない。

それに美味しい雑炊が不味くなるのも嫌だ。


「それよりも、この量、二人で食べきれるの?」


少し大きめの鍋一杯の雑炊。

二人前とは余り思えない。



「大丈夫よ。マスターがお腹一杯になっても、全部私が食べるから」



全部食べるならいいんだけどね・・・。

『太るよ』とも言おうと思ったけど、ややこしくなりそうなのでそっと心の中で呟いた。






あの後スピリーツは有言実行、半分以上あった雑炊を一人で平らげてしまった。

最後の方で、鍋から直接お玉で食べていた姿にはちょっと引いた。







「一週間後、ねぇ」

僕はそう呟いて目の前のテレビを意味も無く点ける。

スピリーツは台所で後片付けをしていて、時折鼻歌が小さく聞こえてくる。




「僕も特に準備なんて無いけど、最後にレヴィンの調整と・・・久々に笛でも、吹いてみようかな」

ぼけーっとしながら、たまたま掛かっていたバラエティ番組を見ていた。



久々の投稿です。

またネタが切れてしまいまして、この前よりも更に不定期更新となります。

これからも宜しくお願いいたします。


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