子供部屋おじさん、炎魔法のレベルが上がる
次に遭遇したのは、またも3体のゴブリンであった。
安定して撃破――といきたいところであったが、右腕に棍棒を一発くらった。
さすがに毎回完封、とまではいかないようだ。
ゴブリンもタダ者ではない。
初心者探索者が命を落とすのは、ゴブリンであることが多い。
駆け出し最初の難関、と言われているほどだ。
「うぐっ……」
戦闘終了後に、ヒリヒリと痛む右腕に息を漏らす。
右腕からは血が流れていた。
ステータス補正による防御、HPによる加護があるとはいえ、攻撃を受ければ血は出るしケガはする。
そしてケガをすれば、動きに支障が出る。
しかも今回は利き腕だ。しっかりと治療はしていきたいところ。
だが、ここでポーションを使う必要はない。
鈴木は壁に棍棒をかけて、回復魔法を使用した。
体が緑色にうっすらと光ると、傷口が徐々に塞がっていく。
1分後には綺麗に完治し、痛みは消えていった。
『回復も使えるのか』
『なんでもできるな』
『まさに魔法戦士』
『羨ましい』
『才能ありそうなタイプ』
『パーティーでも好かれるなぁ、これ』
『オールラウンダーは助かるよね』
『40歳なんだっけ……俺も探索者にワンチャンかけようかな……』
『夢膨らむよね』
(夢……ああ、上級の探索者になると、高所得になるからかな。お金持ちになれたら、もっと安心させられるだろうなぁ)
そんなことを考えつつ、軽くなった右腕振る。
そして棍棒を手にし、ステータスを確認。
実は先ほどの戦闘で、システム音が良いことを告げたのだ。
『――炎魔法のLVが2へ上がりました』
「炎魔法LV2か……どんな変化があるか」
楽しみになりながら、通路を進む。
すると今度は、ゴブリンが4体現れた。
さっそく、炎魔法を放っていく。
すると――魔法陣から、炎の玉が2つ放たれた。
初手でゴブリン2体が焼かれ、残り2体だけとなる。
『炎魔法が進化してる!』
『メイジもできて、回復もできて、近距離も直感で強い……隙なくね?』
『当てる感覚も良いね』
『直感スキル便利すぎぃ』
『トラップとかもある程度感知できるらしいしねぇ』
『良いスキルを引きましたね』
接続数14になったコメント欄がやや湧くのを聞きながら、棍棒で残りの2体も倒していく。
さすがにホーンマウスのようにポンポン倒す、とまではいかないが、4体相手でも撃破に成功した。
ゴブリンがただ闇雲に突っ込むだけの戦い方じゃないので、多少手間取る場面もあるが、処理できないレベルの問題ではない。
むしろソロにしては、かなりやれている方だ。
「よし。それじゃあ、先へ行きます」
魔石をリュックサックへと入れた後、鈴木はそう宣言して、ゴブリン狩りを続けていった。




