子供部屋おじさん、初のスパチャを貰う
炎魔法の進化、直感スキル。
この2つの強化によって、関門と言われるゴブリンもしっかり安定して撃破することに成功した。
駆け出しがソロでガンガンゴブリンを狩っていくのは中々珍しいようで、接続数は“50”と伸びて、コメント欄が加速した。
『久々に良いのが出て来たな』
『おじさん強い!』
『この間見た、くたびれた副業おじさんとはダンチだな』
『ゴブリン相手でも大丈夫ですね』
『しかもソロだからなぁ』
そうして、この日はゴブリンを102体撃破した。
17時過ぎ。さすがに疲労はすごく、額に流れる汗を手で拭った。
「今日はここで切り上げます」
『おつ!』
『フォローしておきました!』
「ありがとうございます。ははは、こんなおっさんの配信でいいのかな。なんか、ダンジョン配信って、若くてキラキラな子のイメージがあるけど」
『まあ、間違いじゃない』
『おじさんの配信にも良さがあるのよ』
『萌え豚多いよね』
『俺は応援してるで。受け取ってください 500円』
「え!? い、良いんですか? ありがとうございます。スパチャなんて、人生で初です。すごく助かります」
『応援してますよ!』
『おじさんなんか好感もてるからなぁ』
初のスパチャも貰えた。少ない接続数ながらも、配信は好評のようだ。
そして受付へ行き、ゴブリンの魔石を査定。
1個190円で、合計20200円。手取り18180円となった。
月収30万ペースだ。
ここで安定させられれば、かつてのサラリーマン時代の年収に近づく。
(だけど、大抵の探索者はここより上をドンドン目指していくのか……)
協会を出ながら、鈴木は考えた。
正直、月収30万ぐらいで充分だ。
しかしそれは今だけの話。
真の自立とは、将来の安定もさせてこそ。
そう考えると、まだまだ足りないというのが現状だろう。
しかも探索者は、いつまで出来るかわからない。
最長96歳のおじいちゃん探索者、というので1回ニュースとなっていたが、みんながみんなああなれるわけではない。
50後半ぐらいで引退した――という探索者も、珍しい話ではなかった。
そう考えると、月収30万はまだまだ安定とはほど遠い。
社会と人生の厳しさに、ふう、と鈴木は重いため息をついた。
(だが、しばらくはゴブリン狩りで十分だろう。レベルを上げていきたい)
超睡眠によるパワーアップもあるし、月日を重ね、しっかりと強くなってから次のステージへ行きたい。
鈴木は慎重に、そう考えたのであった。
(でも、楽しくなってきたな)
初のスパチャは嬉しかった。
誰かからお金を貰って応援されるなんて、すごく申し訳ないのと同時に、喜びが込み上げてくる。
なによりも、感動した。
自分がやってきたことが、間違いじゃないと。
このまま進んでもいいんだと、思えたのだ。
応援に見合う、努力をしていきたいと考えられた。
(がんばろう。この仕事、きっとやれる気がしてきた)




