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40歳子供部屋おじさん、社会復帰のためにダンジョンへ入る  作者: 音有五角


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子供部屋おじさん、ミミックモンスターと遭遇する

 今週の探索4日目。

 慣れた様子でスケルトンを狩り、通路を進んでいると、通路の途中で大きな宝箱を発見した。

 周りに探索者の姿はなく、揉める要素もない。


『お、宝箱』


『昨日のドロップアイテムといい、ついてますね』


『銀色や』


『銅じゃないからそこそこ儲かりそう』


『装備かな』


『ワンチャン使えるやつかも』


『さあ、なにが入っているか……』


(うーん……いや、これは違うんじゃないかな……)


 直感スキルが発動し、宝箱からはなんとなく嫌な予感がしていた。

 宝箱に化けるモンスター、ミミックが稀に出現するとは聞いている。

 この宝箱はその類なんじゃないかと、鈴木は考えた。

 しかし直感スキルは対ミミック用のスキルではないので、確証はない。

 しばらく立ち止まり、考えた。

 無防備に近づいて、先手を打たれるのが最悪だろう。

 ミミックは耐久が低いが、攻撃力はそこそこ高いのだという。

 階層によってレベルを合わせるので、鈴木のステータスならある程度大丈夫だろうが、用心するに越したことはない。


(直感スキルを信じよう)


 鈴木はそう考えて、棍棒を持つ。

 そして宝箱へ向けて、思いっきり振り下ろした。

 これで中身が壊れてしまっても、それはそれだ。


『え!?』


『直感スキルか』


『ミミックか?』


 バコン! という音と共に、宝箱は勢いよく飛ばされ、床を転がる。

 瞬間、宝箱がバカッと空き、赤く大きな舌が現れた。


『うわぁ』


『キモい』


『ミミックだ』


『じゃあ危なかったのか』


『ガブリと噛まれるらしいからね』


 ミミックの体は魔力となって消え、ドロップアイテムを落としていった。


『――棍棒術LV1を習得しました』


(ん? 新しいスキルか……定番の武器の扱いが上手くなるスキルだが、そういえば習得が遅かったね。比較的習得しやすいスキルのはずだけど。魔法系も習得しているからかな)


 そんなことを考えつつ、ドロップアイテムへ近づく。

 今度は銀色の剣であった。

 剣は扱っている武器ではないので、これも売却用だろう。

 同じようにリュックサックのピッケルホルダーに引っかけた。


(剣も高く売れると助かる)


『直感スキル有能やな』


『やりますね』


「ええ。スキルに助けられました」


 鈴木はコメントを返しつつ、再び前へと進み出した。



☆



 協会にて銀色の剣を査定に出すと、40万円もの値段がついた。

 性能が中々に高い剣だったようで、この値段になったのだという。

 日給の上昇に加えて、まとまったお金も入ってきている。

 あの依頼で得たお金はほとんど装備に費やしたが、まだ手をつけていない大金もある。

 レスキュー料金などは、手つかずだ。

 税金支払いなどもあるので、使い過ぎは禁物だが、このペースならば奮発しても良い頃合いに思えた。


(ふむ……給料も上がってきているし、そろそろ少しくらいは、大きな買い物をしてもいいだろう)


 そう考えると、週末が楽しみになってきた。

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