子供部屋おじさん、ミミックモンスターと遭遇する
今週の探索4日目。
慣れた様子でスケルトンを狩り、通路を進んでいると、通路の途中で大きな宝箱を発見した。
周りに探索者の姿はなく、揉める要素もない。
『お、宝箱』
『昨日のドロップアイテムといい、ついてますね』
『銀色や』
『銅じゃないからそこそこ儲かりそう』
『装備かな』
『ワンチャン使えるやつかも』
『さあ、なにが入っているか……』
(うーん……いや、これは違うんじゃないかな……)
直感スキルが発動し、宝箱からはなんとなく嫌な予感がしていた。
宝箱に化けるモンスター、ミミックが稀に出現するとは聞いている。
この宝箱はその類なんじゃないかと、鈴木は考えた。
しかし直感スキルは対ミミック用のスキルではないので、確証はない。
しばらく立ち止まり、考えた。
無防備に近づいて、先手を打たれるのが最悪だろう。
ミミックは耐久が低いが、攻撃力はそこそこ高いのだという。
階層によってレベルを合わせるので、鈴木のステータスならある程度大丈夫だろうが、用心するに越したことはない。
(直感スキルを信じよう)
鈴木はそう考えて、棍棒を持つ。
そして宝箱へ向けて、思いっきり振り下ろした。
これで中身が壊れてしまっても、それはそれだ。
『え!?』
『直感スキルか』
『ミミックか?』
バコン! という音と共に、宝箱は勢いよく飛ばされ、床を転がる。
瞬間、宝箱がバカッと空き、赤く大きな舌が現れた。
『うわぁ』
『キモい』
『ミミックだ』
『じゃあ危なかったのか』
『ガブリと噛まれるらしいからね』
ミミックの体は魔力となって消え、ドロップアイテムを落としていった。
『――棍棒術LV1を習得しました』
(ん? 新しいスキルか……定番の武器の扱いが上手くなるスキルだが、そういえば習得が遅かったね。比較的習得しやすいスキルのはずだけど。魔法系も習得しているからかな)
そんなことを考えつつ、ドロップアイテムへ近づく。
今度は銀色の剣であった。
剣は扱っている武器ではないので、これも売却用だろう。
同じようにリュックサックのピッケルホルダーに引っかけた。
(剣も高く売れると助かる)
『直感スキル有能やな』
『やりますね』
「ええ。スキルに助けられました」
鈴木はコメントを返しつつ、再び前へと進み出した。
☆
協会にて銀色の剣を査定に出すと、40万円もの値段がついた。
性能が中々に高い剣だったようで、この値段になったのだという。
日給の上昇に加えて、まとまったお金も入ってきている。
あの依頼で得たお金はほとんど装備に費やしたが、まだ手をつけていない大金もある。
レスキュー料金などは、手つかずだ。
税金支払いなどもあるので、使い過ぎは禁物だが、このペースならば奮発しても良い頃合いに思えた。
(ふむ……給料も上がってきているし、そろそろ少しくらいは、大きな買い物をしてもいいだろう)
そう考えると、週末が楽しみになってきた。




