子供部屋おじさん、宝箱を発見する
そろそろ18時になるかという時に、直感スキルが働いた。
コボルトを倒した後――もっと奥の通路に、なにかが“ある”ような気がしたのだ。
「ん……? これは」
行き止まりとなる土壁の前。
そこには、金色の宝箱が置かれていた。
『宝箱!』
『え!? しかも金箱やん!』
『大当たりやぞ』
『第六階層でも金って出るんだ』
『いや、かなり珍しいと思う』
『現役探索者だけど、初めて聞くぞ』
『豪運』
『やったー!』
『いや、待った。おじさん開錠スキルあるの?』
「ないですよ。ただ、こんなこともあろうかと、念のため金の鍵は購入してあります」
宝箱には銅、銀、金の3種類がある。
金は最上位のグレードで、当たりを引けば一攫千金が可能だ。
鈴木はたまたま今週の休日に、金色、銀色、銅色の鍵を1本ずつ購入していたので、手元にあった形である。
ちなみに鍵の値段は金が30万、銀が10万、銅が1万円となる。
そして鍵は、1回使ったら消滅してしまう。消耗品だ。
『さすが』
『なにが出るかな』
『wkwk』
「当たりを引けるといいですが……」
ちなみに金箱のハズレ枠は色々あるが、金色の鍵×1がその代表だ。
そんなものが出た瞬間、赤字確定である。
リュックから金色の鍵を取り出し、宝箱の鍵穴に刺す。
瞬間、鍵は魔力となって消え、金色の箱がパカリと自動で開いた。
宝箱の中央には、虹色に輝く丸い玉があった。水晶玉ぐらいの大きさで、手で持ちやすい。
『スキルストーン!』
『スキルストーンや』
『てことは、再びガチャですね』
『いや、売ったら確実に利益が出るよ』
「……そうですね」
スキルストーンを手に持ちつつ、鈴木は考えた。
この石は使用すると、ランダムでスキルを1つ獲得できるという画期的なマジックアイテムだ。
しかしリスクがあり、なにも取得できないというハズレがある。
基本的には強くなれる良アイテムだが、必ずしもそうとは限らないのだ。
それにスキルを獲得したといっても、役に立たないようなスキルを当てることもある。
なので、スキルストーンはスキルを獲得できるという破格の性能にも関わらず、現在の販売価格は200万となっている。
また、一説によるとスキルストーンで足せるスキルの数は、3個までとも言われていた。しかしその真実は、定かではない。完全に証明するには、スキルストーンの使用例が足りていないのだ。現に4つ獲得した、という探索者も現れている。
こういった諸々の事情があり、探索者にとって生命線となるスキルを増やせる……というわりには、やや安い値段だ。
なので、購入には慎重になった方がいいというアイテムである。
また、鈴木のように手に入れた場合にも、売って確実にお金という利益を得る、という手段もある。
ちょうど第七階層へ行くかどうかで、伸び悩んでいる時期。
なんとも嫌なタイミングで巡り合ってしまった。
(使用するか、売ってしまうか……)
鈴木はしばし、考えた。




