子供部屋おじさん、炎魔法を試してみる
帰宅すると夕食が出来上がっていた。
味噌汁、白米、焼き魚、納豆、サラダとオーソドックスなメニュー。
食事をとりながら、母親に探索者を始めたことを告げると、驚いた顔をされた。
「探索者って、あんた大丈夫なの?」
「うん。結構、ステータスが良いって、褒められた」
「そう……そのくらいの年でも始められるものなの?」
「意外と多いみたいだよ」
専業じゃなくて副業だけど――というのは、言わなかった。
不安な要素をわざわざ伝える必要はないと判断したからだ。
「無理しないようにね。元気に帰ってきてくれればいいのよ」
そう言われて、鈴木はこくりと頷いた。
早く心配されない、落ち着いた社会人になりたいと思った。
☆
“超睡眠”の影響なのか、朝の目覚めが良かった。
昨日の疲れがスッキリととれて、筋肉痛がない。
そしてスキルが発動したのか、ステータスに若干の変化が起きていた。
鈴木 亮太 LV1
HP 12(+3)
MP 10
攻撃 8(+1)
防御 8
魔力 8
精神 9
俊敏 7
スキル 炎魔法LV1 回復魔法LV1 超睡眠
どうやら超睡眠は、基礎ステータス上昇の効果もあるようだ。
(おお……悪くない)
コツコツと長く続ければ、本当に良いステータスを持つ探索者になれるのかもしれない。
☆
この日も鈴木はダンジョンへと向かった。
今日は朝の10時から、がっつり潜る予定だ。
受付にライセンスを見せ、中へと入る。
配信の接続数は“0”。
鈴木はアプリで現在地を確認しつつ、通路を進んだ。
やがて目の前に、昨日と同じスライムが現れる。
鈴木は頭の中で“炎魔法”の発動を念じる。
自然と、左腕が前へと伸びた。
手の先が赤く光り、赤い魔法陣が展開。
そこからスライムを覆いつくすほどの大きさの炎の玉が飛び出し、スライムを直撃した。
MP 7/10
青いゼリーは炎に包まれ、やがて焼け死ぬ。
自分がこんな恐ろしい炎を出したのか、と驚きを隠せなかった。
魔法なので高威力なのは当たり前だが、いざ目の当たりにすると、自分が人間離れしたみたいで少し怖くなる。
「これが炎魔法か」
今回はすんなり当たったが、思ったよりも自分で考えないといけないものだと思った。
照準を合わせないといけないし、速度も思ったよりは早くない。
中距離で放つのがちょうどいいくらいの攻撃だろうと、鈴木は考えた。
そして消費MPは3。
MPは5秒経過して1しか回復しないので、乱発は出来なそうだ。
(しかしこれだけの威力があるのは、心強い)
棍棒が通じなかった時など、いざという時の切り札にもなるだろう。
MPに余裕がある時は積極的に使い、練習しようと考えた。




