子供部屋おじさん、サンダー・スネークと対決する
鈴木は炎魔法を発動した。炎の玉はサンダー・スネークの首に命中し、苦悶の声と共に口を放し仰け反った。
「誰か救出を!」
鈴木の言葉に、立ち上がった剣持ちの若き探索者が救出に向かう。
「お、俺がいきます」
なんとか肩を貸す形で戦場の離脱を計る。
しかしサンダー・スネークは順当に弱っている方から仕留めようと、その体を若き2人の探索者へと向けた。
そこへすかさず、槍を持った海野がサンダー・スネークの背後から突きを入れる。
ガキン、と硬い鱗は槍の穂を弾く。
あまりダメージが入っている手応えがない。
だが、気を引くことには見事成功した。
サンダー・スネークはくるりと振り返り、海野目がけて首を伸ばし、噛みついた。
海野はそれを横跳びで回避しつつ、隙をついては突きを放つ。
ギリギリの攻防だ。長くはもたないだろう。
「くっ、すまない……!」
鈴木はそう言いながら、もう一度炎魔法を放つ。
2つの炎の玉が命中し、サンダー・スネークは悶えるも、まだ撃破には至らない。
前に出たいところだが、サンダー・スネークは物理防御が高い。
剛力のある鈴木でも、決定的なダメージが与えられる自信はなかった。
「っ」
海野は額に汗を滲ませながら、サンダー・スネークの攻撃を回避。
カウンターも入れつつ、巧妙にヒット&アウェイを繰り返す。
3人であれば分散出来て、十分に安定して囮をすることが出来た。
しかし1人の今、海野はギリギリの戦いをしいられている。
互いのステータス差はあまりない。
海野はタイミングよく、攻撃と回避をしているからなんとかなっているだけで、いつあの牙に捕まってもおかしくない。
ズンっ! と、サンダー・スネークの横顔が、体のスレスレに横切った。
「これで、倒れてくれ!」
鈴木は3回目の炎魔法を放つ。
炎の玉はサンダー・スネークの顔に当たり、両目を焼いた。
ジュアアア!!! と、延焼の音が生々しく辺りへ響く。
「シャァアアアアアアアアアアアアア!!!」
サンダー・スネークは雄叫びを、ドスン! とその大きな体を倒した。
顔が焼かれながら、びくん、びくん、と何回か痙攣した後、動きが止まる。
そしてその体が、徐々に魔力となって消えていった。
「や、やった……」
海野はその場で崩れ落ち、息を吐いた。
ポーションによる手当ては終わったようだが、若手探索者2人は失意に満ちた表情を浮かべている。
しかし鈴木としては、この場を乗り切れたことに、心底ホッとした。
(海野さんがいなかったら、一体どうなっていたんだ……)
今度からこういう依頼を受ける時は、もっと人選などで文句をちゃんと言おうと思った。
そもそも即興のチームで、適正レベルに対してそんなに余裕のない状態で挑むのが間違いだ。
協会の段取りも適当すぎる。
(いや。むしろ、もうこういうのはやらなくていいかもしれない……)
段取りから全て自分で完結する、ソロ活動が肌に合うと、身に染みた瞬間であった。




