子供部屋おじさん、アクティブ・フェーズに巻き込まれる
4日目も、何事もなく終えることが出来た。
カニ相手にどうなるかと思ったが、実力はあるので、若者探索者2人を中心に戦闘を処理し、また、設備にはあまり異常がなかったため、作業員はほとんど点検だけで作業が終わった。
17時に終わり、早めに解散となった。
そして最終日となる、5日目。
場所はシタカエルが出現する、第五階層だ。
平穏に終わる流れだと思っていたが、残念ながらそうならなかった。
端末をもつ職員が、第五階層へ降りるなり険しい表情を浮かべる。
「魔力濃度に変化あり。この先、モンスターが活発化している可能性があります」
「アクティブ・フェーズか……」
佐藤がそう言って、鈴木達の方へ振り返る。
「第五層のレアモンスターは、サンダー・スネークですか。一応、来週の月曜日へ作業を先送りにすることは可能ですが……もしも探索者のみなさんが対応可能でしたら、このまま続行するという選択もありますが。ちなみにサンダー・スネークを討伐した場合、例外として報酬は追加で出ます。サンダー・スネークの魔石は8万円なので、それを4人で分割していただく形になります」
アクティブ・フェーズ。
一部の階層の魔力が活発化し、通常では起こりえない現象が起こる段階のことだ。この状態になると、基本的には階層ごとに、決まったモンスターが出るという現代ダンジョンの法則が崩れる。
第五層では、サンダー・スネークというモンスターが出てくることが確認されていた。シタカエルを食い、第五層の水準を大きく超える戦闘力を保持する。
普通に考えれば、アクティブ・フェーズに突入した階層は避けるべきだ。
しかしアクティブ・フェーズ時にレアな現象が起きることもたしかで、サンダー・スネークはこの時にしか戦うことが出来ない。
一応、こういった時に探索をするメリットはあるのだ。
しかし鈴木は、とあることが気になった。
「アクティブ・フェーズが起きているというデータは、上がっていませんが」
ダンジョン内にある観測機によって、魔力の機微は常に自動で計測されている。ダンジョンへ入る前に、どこでアクティブ・フェーズが起きているかもわかる。職員や協会がアナウンスするはずだ。
しかし今回は、作業員がここへきてようやくわかったという形。
「第五層の計測器が故障か、なんらかの原因で正確な測定が出来ていないと考えられます」
計測器を持った若い作業員が答える。
インターネットを通じて、こちらの状況はアナウンスされるので、これでアクティブ・フェーズは通知されることになるが……こういった事態を遭遇すると、点検・修理の大事さがわかる。このように不足の事態が起きるのだから。
第五層は少し問題を抱えている可能性があった。
「いきましょう! 俺達ならやれますよ」
若き探索者が案の定、そんなことを言う。
しかし鈴木は首を横に振った。
「待つんだ。いけるというのなら、まずはいける根拠を共有しようじゃないか」
「俺達は強いからいけますよ」
「いや、そういうことじゃなくてだな……」
鈴木は頭が痛くなる。
「映像や、データがあるだろう。過去の討伐記録も。そういったものを見て、俺達でやれるかどうかを判断するんだ」
「うーん……まあ、わかりました。リョータさんが、そう言うなら」
あまり納得のいってなさそうな声だが、反論は見つからなかったようで、そんな返事がくる。
(一応、サンダー・スネークについては少し調べたことはあるが……さて、この4人で無事に乗り切れるか、というところだ)




