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40歳子供部屋おじさん、社会復帰のためにダンジョンへ入る  作者: 音有五角


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子供部屋おじさん、ギラギラした若者と会う

「あの、アカウントを教えてくれませんか。救助のお礼をしたいので」


 アカウントをフォローすると、スムーズに救助の報酬金を渡すことが出来る。

 お金目当てで助けたみたいになるのが少し気になるが、救助は基本報酬を払うものだし、それを受け取るのもまた礼儀だ。

 こういったトラブル予防のためにも、ダンジョン配信はある。

 鈴木はアカウントを若者と交換した。


「2人で活動しているんですか」


 画面を操作する若者へ、鈴木は質問する。

 若者は頷いた。


「はい。俺とこいつで、絶対にトップをとるつもりなので」


「と、トップ?」


 しれっとすごい言葉が出てきた。


「今回は……えっと、リョータさん? に助けられましたし、遠く実力が及ばないみたいですけど、負けるつもりはないです。探索者、全員超えるつもりなんで」


(お、おお……なんというか、若いな。眩しいぞ)


 よく見ると、2人の目つきというか、顔つきはなにかに駆られる若者特有の、ギラギラとしたものになっている。

 しかし今は、悔しいという感情が渦巻いていることだろう。


(仕事覚えたての頃、俺もそんな時期があったなぁ)


 仕事が上手くいきはじめだったので、同期の誰よりも出世してやる! 成長してやる! と、意気込んでいたものであった。

 もうその会社はないわけだが。

 今ではそんな熱量は、どこからも湧いてこないし、どこへも向いていない。

 ほどほどに。幸せになれれば、それで十分だ。


(しかしいつから、そういった若さを失ったのだろうか。うーむ。覚えていないなぁ)


「後ほど、お礼を振り込みます。俺達は念のため、地上へ戻ります」


「うん、それがいいと思いますよ」


 頭を下げた後、若者2人が去っていく。

 ギラギラしているが、礼儀正しさはあるようだ。


『しっかりしてるね』


『わけわからん宣言してたけどね』


『こんなところで苦戦するやつがトップとれるわけ……』


『どの業界もそうなんだけど、なんでああいう大したことない駆け出しに限って、トップを獲るとかいうんだろ』


『トップの人間に失礼である』


『まあまあ、ええやん』


『ギラつくのは良いと思う』


『若者の特権だよね』


『たまに良い年してそれをやる人が……』


「あの調子ですと、また無茶をしそうですね。心配だ」


『せやな』


『お父さんみたいになってますよ』


「ははは。子どもなんていないので、父性が出てしまいました」


 なんて、自虐をする。

 しかし脳裏に、真由美の顔がよぎった。

 年齢的には、子を持つのは不可能じゃないな……と、ついそんなことを考えてしまった。

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