子供部屋おじさん、ギラギラした若者と会う
「あの、アカウントを教えてくれませんか。救助のお礼をしたいので」
アカウントをフォローすると、スムーズに救助の報酬金を渡すことが出来る。
お金目当てで助けたみたいになるのが少し気になるが、救助は基本報酬を払うものだし、それを受け取るのもまた礼儀だ。
こういったトラブル予防のためにも、ダンジョン配信はある。
鈴木はアカウントを若者と交換した。
「2人で活動しているんですか」
画面を操作する若者へ、鈴木は質問する。
若者は頷いた。
「はい。俺とこいつで、絶対にトップをとるつもりなので」
「と、トップ?」
しれっとすごい言葉が出てきた。
「今回は……えっと、リョータさん? に助けられましたし、遠く実力が及ばないみたいですけど、負けるつもりはないです。探索者、全員超えるつもりなんで」
(お、おお……なんというか、若いな。眩しいぞ)
よく見ると、2人の目つきというか、顔つきはなにかに駆られる若者特有の、ギラギラとしたものになっている。
しかし今は、悔しいという感情が渦巻いていることだろう。
(仕事覚えたての頃、俺もそんな時期があったなぁ)
仕事が上手くいきはじめだったので、同期の誰よりも出世してやる! 成長してやる! と、意気込んでいたものであった。
もうその会社はないわけだが。
今ではそんな熱量は、どこからも湧いてこないし、どこへも向いていない。
ほどほどに。幸せになれれば、それで十分だ。
(しかしいつから、そういった若さを失ったのだろうか。うーむ。覚えていないなぁ)
「後ほど、お礼を振り込みます。俺達は念のため、地上へ戻ります」
「うん、それがいいと思いますよ」
頭を下げた後、若者2人が去っていく。
ギラギラしているが、礼儀正しさはあるようだ。
『しっかりしてるね』
『わけわからん宣言してたけどね』
『こんなところで苦戦するやつがトップとれるわけ……』
『どの業界もそうなんだけど、なんでああいう大したことない駆け出しに限って、トップを獲るとかいうんだろ』
『トップの人間に失礼である』
『まあまあ、ええやん』
『ギラつくのは良いと思う』
『若者の特権だよね』
『たまに良い年してそれをやる人が……』
「あの調子ですと、また無茶をしそうですね。心配だ」
『せやな』
『お父さんみたいになってますよ』
「ははは。子どもなんていないので、父性が出てしまいました」
なんて、自虐をする。
しかし脳裏に、真由美の顔がよぎった。
年齢的には、子を持つのは不可能じゃないな……と、ついそんなことを考えてしまった。




