子供部屋おじさん、若者を助ける
通路を進むと見えてきたのは、4体のコボルトの背中であった。
1体が弓、3体が剣だ。
そしてその先には、背中や足を斬られ、血まみれになって倒れる男と、それを庇うように立ち、斧を構える男がいた。
だが、その男も右足に弓が刺さっている。
どちらも20代前半くらいの、若き探索者といったところだ。
『コボルト4体か』
『いける』
『死んでる?』
『お、死んでるか?』
『いや、普通に意識ありそうだし、手当すれば大丈夫そうだけど』
「いきます」
鈴木は前へ勢いよく踏み出し、弓を持ったコボルトの頭から叩いた。
「がうっ!?!?!?」
「「「グルルルルっ!!!」」」
鈴木に気がついた剣持ちのコボルトが、3方向から襲いかかってくる。
一旦囲まれている状態を抜け出そうと、直感スキルを駆使して剣筋を回避しつつ、後ろへ下がっていく。
「た、助けてくれるのか!? ぐっ……ちくしょう、こんなはずじゃ」
足が痛むのか、立っている男は苦悶の声を上げる。
防御のステータスもそう高くはないのだろう。
2人という少数だが、もしかするとレベルが足りていないのか、ギリギリで駆けこんでしまったのかもしれない。
「君達は手当をしていてくれ! ここは1人でやる」
鈴木がそう声を上げながら、下がりつつ、魔力を込める。
そして左手を振り、炎魔法を放った。
勢いよく飛び出す2つの炎の玉。
2体のコボルトが目ざとく察知し、左右それぞれに飛んで回避したが、1体は出遅れて火だるまとなった。
「よし。あと2体だ」
ここまで来れば、あとは楽になる。
連携してコボルトが接近し、剣を振るってくるが、“剛力”を発動し棍棒で受け止めて、1体1体壁まで吹き飛ばす。
特にヒヤリとする場面もなく、堅実に倒していく。
そうして4体を魔石と変えていった。
『ナイス!』
『あの2人はおじさんに感謝やな』
「大丈夫ですか」
魔石は一旦放置し、2人の元へ行って生存を確認する。
ポーションを使ったようで、2人共意識はあり応急処置は出来ているが、血を多く流した方がまだ立ち上がれない状態であった。
鈴木は回復魔法を使った。
緑色の光が若者の傷に触れ、じんわりと癒していく。
「っ、回復魔法か……!?」
背中と足の傷が徐々に塞がっていく。
緊迫とした時間が続いたが、数分が経過すると、男の顔色は良くなっていった。
「すいません、ありがとうございます!」
「助かりました……」
2人共お礼を言ってくる。
鈴木はこくりと頷いた。
「いえ……ご無事で良かったです」




