子供部屋おじさん、再び救難信号を受信
第五階層で狩りを、金曜日まで続けた。
日給は7万円をキープし、今日も17時まで良いペースのため、目論見通り35万円を稼げそうな状況である。
さらにレベルも上昇し、戦力が向上した。
『――鈴木 亮太のレベルが13へ上昇しました。HP+12 MP+8 攻撃+8 防御+8 魔力+8 精神+9 俊敏+7』
(うむ……良いな)
『ソロだし、7万ぐらい毎日入っている?』
『良いなぁ』
『もうサラリーマン戻らなくて大丈夫やん』
『なんなら、年収換算で1000万超えるのですが……』
『週五なら1800万ぐらいか? エグいな』
しれっと収入が暴かれようとしていた。
この辺りはダンジョン配信のデメリットだろう。
もっとも、インターネットにどっぷり浸かった仕事なのだ。
プライベートなんてものは、ある程度は暴かれても仕方ないものだろう。
「ははは、まあ、これを維持出来ればの話ですが」
『いけるベ』
『ソロでこんだけ安定すれば、そりゃね』
『これは無事に社会復帰』
『ワンチャン結婚出来るかもよ』
『女は金あれば寄るしな』
『唐突な女卑はやめなー』
(うむ。配信というのは、賑やかだなぁ)
鈴木がそんなことを思った後――通路の奥から、悲鳴が聞こえてきた。
「ぐわああああああ!?」
穏やかじゃない。
若い男の悲鳴だろうか。
切迫とした大声である。
(以前にもあったな。やはりダンジョンは危険だ……)
瞬間、飛んでいるドローンが警報音を鳴らした。
『――警告。救難信号をキャッチしました。警告、救難信号をキャッチしました』
AIが状況を“危険”と判断し、ドローンが救難信号を放ったようだ。
探索者の救護は、強制ではない。あくまでも任意だ。
しかしここは、ダンジョン配信。
見殺しにした探索者は、賛否わかれるが、基本的にあまり良くは思われないことが多い。
救護関連で炎上した探索者は、非常に多いものだ。
緊迫とした雰囲気に、コメントの勢いが増していく。
『やばそう』
『事故ったか』
『イェーイ、グロ映像の時間だー!』
『↑こういう奴嫌い』
『てか、事故映像はシャットアウトされるやろ』
『倫理観ない視聴者はたまに湧くよ。人より違う自分かっこいい、って思っているから。とりあえず通報しよう』
『どうするの?』
『助けにいこう。おじさん強いんだから』
『それは探索者の自由なんやで』
『目の前で救える命があるなら、助けるべきだろ。見殺しとか、それでも人か?』
『↑綺麗事でダンジョンは生き残れんぞ』
『救難信号を送るということは、危険な状況の可能性もあるしね』
「……一旦、様子を見にいってみます」
棍棒を持った鈴木は、悲鳴が聞こえた方向へ走り出した。




