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40歳子供部屋おじさん、社会復帰のためにダンジョンへ入る  作者: 音有五角


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子供部屋おじさん、初めての戦闘

 中は遺跡のような、ゴツゴツとした岩肌の床と壁、天井が広々と広がる空間であった。

 不思議と山中にいるような空気感で、地下の室内だというのにジメジメした感じはない。

 そしてダンジョン内にはいくつか、先駆者が設置し、そして職員や探索者が維持・管理するウォールライトが辺りを照らしていた。

 このウォールライトのバッテリー交換や、点検をする仕事もある。

 そういった仕事を協会から受注し、お金を稼ぐのも良いだろう。

 だが、ダンジョンの維持管理に携わるには、現場での実績が必要。

 なにはともあれ、ここで強くなり、前へ進むことが大前提だ。

 鈴木がステータスオープン、と念じると鑑定結果と同じステータスが表示された。


「戦える……」


 緊張しながら、携帯のアプリを起動。

 先駆者がマッピングした地図を、協会のアプリによって確認することが出来る。

 これで道に迷うことはない。

 そしてAIを搭載したドローンを飛ばし、配信開始。

 接続数は“0”の数字が表示されている。


「緊張してきたな……」


 心臓が高鳴る。

 5年間、子供部屋おじさんだった社会のゴミだったのだ。

 自信は無くなり、なにをするにしても不安がよぎる。

 そうして歩いていると――進行方向から、ずるずる、と地面を這う青いゼリー状のモンスターが現れた。

 プニプニとしたボディ。

 全長は1メートル。

 第一階層に現れる初心者向けモンスター、スライムだ。

 講座を思い出す。

 スライムは跳ねて攻撃してくるが、それほど危険ではないという。

 きちんと見て動けば回避できるし、当たったとしても、ステータス持ちならば耐えられるという。

 とはいえ、油断はするなとも、言われている。

 実際、今まで生きていて敵から攻撃される、なんてシチュエーションになったことがない。

 例え弱くても、目の前の生き物が敵対しているというだけで、恐怖心が湧く。


「うわっ、きた」


 スライムが跳ねて、体当たりをしてくる。

 ボールが突然バウンドしたかのような、中々の勢いだ。

 両者の距離はまだ開いていたが、一気に詰めてくる速度。


(子供の頃のドッチボールを思い出すな)


 想定よりもずっと遅く見えて、冷静になってきた。

 しっかりと動きを見て、左へ飛んで回避。

 べちゃ、とスライムが地面へ着地した。

 その隙をついて、鈴木が前へ出て棍棒を振り下ろす。

 どすん、と重たい一撃がスライムへ命中した。

 しかし見た目とは裏腹に、水面を感じさせる硬い感触。

 スライムはくじけず、もう一度飛んできた。


「っ、高ステータスでそこそこの武器でも、さすがに一発は無理か」


 楽な狩りを望んでいたが、そう簡単な話ではないらしい。

 もう一発棍棒を振り下ろすと、今度こそスライムが倒され、ぐて~~~とゼリー状の体が地面に伸びる。

 そしてその体が消えていくと、紫色の魔石が残った。

 これが人類の新エネルギーとなり、人類を豊にした。

 お金になる魔石を拾い上げて、リュックの中へと入れる。


「ふぅ……倒せたか」


 一安心した鈴木は、ゆっくりと息を吐いた。

 5年ぶりの労働による達成感は、彼の体に深く染みた。

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