子供部屋おじさん、一週間で10万円稼ぐ
探索者救出というイレギュラーが発生したものの、2日目の討伐数は101体にまで伸びた。
査定金額は23230円。手取り20807円となった。
時々カニの攻撃に当たる場面はあったものの、負ったのは打撲程度。
多少のケガで済んだ。
そして3日目。この時の13時にレベルが9へ上昇し、さらに狩りのスピードが上昇した。カニからの攻撃を受けることはほとんどなく、動きにカニがついていけないほどである。
さらに炎魔法のレベルが“3”へ上昇し、火の玉の速度がさらに上昇。より命中させやすい魔法となった。
そんな調子で討伐ペースが上がり、記録は110体。
どんどん上達していく鈴木に、職員は驚いていたほどだ。
査定金額は25300円。手取りは22770円。
こんなぺ―スで4日、5日と狩りを進めたので、この1週間で10万円以上もの金を稼ぐことが出来た。
5日目の、ダンジョンから協会への帰り道。
鈴木は視聴者へ向けて、少し自分語りをした。
「――まあ、こんな感じで。俺ってダメ人間なんですよ。なので、せめて両親へ恩返しして、自立したいなぁと」
ネットは冷たいというイメージがあったので、無反応か、バカにされるかと思ったが、意外とそうはならなかった。
『色々あったんやな』
『わかるぞ……俺も勤めてたところ潰れて、今までの努力はなんだったんだって思ったことがある』
『一回空白期間作ると、働けなくなるんだよなぁ』
『行動へ移せて偉い!』
「ははは。それはどうも」
しかし冷静に考えると、ダンジョン配信は基本、若者が中心に盛り上がっているコンテンツだ。
年下に偉い偉いとよいしょされているのは、普通に考えて喜んでいいことではない。
(ま、プライド云々なんて言える立場じゃあないが)
プライドを持てるほど、もう立派な経歴ではない。
鈴木はすっかり丸くなり、大人しい男へとなっていた。
『てか、むしろ高所得者になりそうな勢いなんだよなぁ』
『羨ましい』
『自立以外にも目標ないんか?』
「うーん……そうですね……」
慢心は禁物だが、たしかにこれ以上のレベルを狙うことも、不可能じゃない。
というか、現状維持でも1週間10万ペースなのだ。
年収500万レベルで、諸々引かれればおそらく手取り370~390程度と予測される。
豊かではないが、貧しくはないだろう。
ベタだが、車を買ったりするのも良いかもしれない。
社員時代に乗っていた車は売ってしまって、今はなにも乗っていない。
それに両親へのプレゼントもある。5年間も迷惑をかけたことに対して、少しでも恩を返したい。
「考えておきます」
高い買い物を目標にするのは、今後のモチベーションにもなる。
鈴木は久しぶりに、未来へ思いを馳せて、胸を高鳴らせた。
☆
後日。探索者の協会を通じて、救助した女性からレスキュー料金が振り込まれていた。
DMにはなにやら長い文章で、お礼が書かれている。
振り込まれた料金は、30万円であった。




