第14話 実技試験2
「今回の実技試験は『氷山溶かし』! どんな魔法でも構いません!
魔法を使い5分以内に氷を溶かしてください。
溶かした量をそのまま皆様の点数とします!」
トムソン先生の説明は至極単純だった。
要するにどんな手を使ってでもこの巨大な氷を溶かせばいいということらしい。
「といってもどのくらい溶かせるのか、わからないと思いますので、実際にやってみようと思います。マルギットさん、お願いします」
「わかりました」
マギーはそう頷くと、氷山の端に立った。
「では始めてください」
「豪火球!!」
早速マギーの杖から燃え盛る巨大な炎の球が出現した。
その炎球が氷山に当たると、シューという音と共に氷が溶けだす。
「炎嵐!」
更にマギーは杖をクルクルと回し、呪文を唱える。
すると氷山を覆い隠すほどの火柱が上がった。
「火の鳥! 円舞!」
火の鳥が複数現れて、火柱に沿うように上がり、氷山を貫く。
なんとも大迫力の炎魔法だ。
マギーの魔法は美しく洗練され、見ていて気持ちがいい。
「……これが去年の次席か……」
僕は試験中にもかかわらず、思わずその演舞に見とれてしまっていた。
「——そこまで!」
トムソン先生が宣言すると、マギーはすぐに膝をついた。
汗だくで、息も絶え絶え。
かなり限界まで魔力を絞り出したらしい。
もう今日一日は魔法を使えないだろう。
氷山もかなり溶けているように見える。
おおよそ3分の1くらいだろうか? いやそれ以上かも。
「マルギットさんの点数は768点!」
「おおぉぉ……」
トムソン先生の叫びに受験生がどよめいた。
さすが去年の次席だ。
魔力量も申し分ないし火魔法だけで氷を5分で溶かすと考えると、マギーは最高の働きをしたんじゃないだろうか。
「マルギットさん、ありがとう。お疲れ様」
「はぁ……はぁ……さ、さすがに結構疲れるね……」
マギーはやっとの思いで立ち上がると、すぐに会場を後にした。
それを見届けた後、僕はふと違和感を覚えて、氷山に目を移す。
「あれ? 氷山がもう元に戻ってる……?」
見ていない間に、氷山は元通りの高さになっていた。
「この魔法陣は一度起動すれば、時間が経つにつれてひとりでに同じ大きさまで氷を作り出します。皆様には全員、同じ条件で挑んでもらいます」
なるほど。公平性も保たれていそうだ。
「それでは受験番号1805番の人から順に10人ずつ下まで降りてきてください。では先生方、お願いします」
トムソン先生がそう言うと、9人の教員が会場に入ってきた。
教員達は残りの魔法陣を全て起動させると、氷山の側に立つ。
「受験番号1805番はこっちに!」
「受験番号1855番、ここへ!」
なるほど。トムソン先生が全員を見るわけじゃないのか。
まぁ確かに10人を同時に見るなんて、難しいもんな。
ひとり5分。だいたい僕に回ってくるのはお昼過ぎくらいか。
それまではじっくり対策を考えるとしよう。




