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第12話 筆記試験の結果

「ふわぁ……」


 翌朝。ベッドから起き上がると、僕は大きく伸びをした。

 昨夜の収穫祭は楽しかった。

 通りにある出店も相変わらず賑やかで、中央のステージでは夜遅くまで音楽が鳴り響いていた。

 そのステージ上で父さんと母さんがダンスして、僕も見よう見まねで足を動かした。


 試験から解放されたのも相まって、つい羽目を外してしまった。

 記念受験とはいえ、僕も知らないうちに緊張していたらしい。


 師匠へのお土産もちゃんと買えた。王都特製の焼き菓子だ。

 とはいえ今日が収穫祭最終日だから、村に帰るのは明日の朝。

 そこから村に着くのは3日後になる。

 だからあとで保存の魔法陣を描いておこうかな。


「あ、ポール。やっと起きた? おはよう」


 そう考えていると、僕が起きたのを察して母さんが様子を見に来た。


「おはよう。母さん。父さんは?」


「お父さんならまだ寝てるわよ。昨日も飲んだんだもの。たぶん昼まで起きないわね」


 母さんは呆れたように笑った。


「そっか……なら今日は僕もゆっくりしようかな」


「え? なに言ってんのよ?」


 母さんは心底驚いたように目を丸くして僕を見た。


「昨日の試験。もう結果出てるんでしょ? 見に行きなさいよ」


「えぇ……? でもどうせ落ちてるよ……」


「それでも、よ」


 母さんは僕の寝ぐせをそっと撫でつける。


「せっかく受けたんだから。最後までちゃんと見届けてこなきゃ」


「落ちてるのに?」


「落ちてるのに。ハーゼン先生もそう言うに決まってるわ」


 師匠の名前を出されたら弱い。

 確かに師匠も母さんと似たようなことを言うに違いない。


「はぁい……」


 僕はそう返事をすると、さっそく試験結果を見に支度を始めた。


★★★


 試験結果は、学園の中に設置される掲示板に張り出されるらしい。

 王立魔法学園まで来ると、多くの受験生と、たぶんその親達でひとだかりが出来ていた。


「あぁ……落ちてる……」


「やった! 受かったぁ!!」


 その周りでは、既に結果を見た人の悲喜こもごもの声が聞こえてきている。

 おそらくあそこに試験の結果があるのだろう。


 僕も思ったよりドキドキしている。

 結果発表ってなんだかちょっと緊張するよね。


 人を掻い潜って前に行くと、掲示板が見えてきた。

 掲示板には、筆記試験を受けた人の受験番号とその得点が全員分、書かれていた。

 合格者は赤文字になっているようだ。


 筆記の得点って何点満点だったっけ?

 受験番号が若い方の得点を見てみると、赤文字の人は皆だいたい600点や750点。

 900点を取っている人もいくらかいた。

 だったら1000点満点なのかな?

 それで合格のボーダーは600点くらいかな……?


 さて僕の番号は確か3581。

 だったら後ろの方から見に行ったほうが早いかな。


 人に押されながら横に移動して、後ろの番号が並ぶあたりまでたどり着いた。


「えっと、3581……3581……」


 なんとなく3000番から順に見ている自分がいる。

 ふと掲示板の端に見覚えのあるローブ姿が目に入った。

 昨日、冊子が燃えてしまったあの少年だ。

 ファンタジアの先生っぽい男の人にめちゃめちゃ怒鳴られていた。


 ——あ、あの子、やっぱり落ちちゃったんだ……。


 こんな日に怒らなくてもいいものを。

 僕もあと少し遅ければ、冊子が燃えていたかもしれない。

 今回は運が悪かっただけだ。来年こそは報われてほしい。


 少年から目を逸らして、僕は掲示板に視線を戻した。


「えっと3572……3577……」


 あった。やっぱり一番最後の行だったか。

 僕の結果は——。




「………………赤文字だ……」




 赤文字。つまり合格だ。


「まさか……え? 本当に……?」


 目を瞑り、ゴシゴシと目を拭い、もう一度、自分の番号を見た。

 でもやっぱり赤文字だ。


「や、やった……!!」


 正直、嬉しい。

 まさか合格するとは思ってなかったから、余計に。

 マジか。本当に師匠の言う通り、基礎だけで第1次試験を通過しちゃった。


 ——点数はいくつなんだろ。


 僕は自分の受験番号の横にある点数を探した。


「………………んん?」


 しかしその文字は何度見ても数字ではなかった。


『3581 ????』


「どういうことだ?」


 採点不可——結局、僕は自分が何点だったのか、わからないままだった。

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