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ン
……ん?
私は、その音を聞いた。
深夜二時。
誰もいない部屋。
聞き間違いだと思った。
今まで何度も、そうだったから。
眠ろうと目を閉じる。
数分後。
今度は耳元。
布団をかぶる。
息を殺す。
静寂。
ようやく終わった。
そう思って顔を上げた、その瞬間。
『ん。』
短い返事。
誰のものでもない。
部屋には誰もいない。
光っているのは、スマートフォンだけ。
通知が一件。
その音が鳴った。
私は笑おうとした。
いつものように。
音が鳴るたび、人を殺してきた。
チャイム。
足音。
秒針。
風鈴。
鈴。
通知音。
どの音も、私に獲物を運んできた。
……そのはずだった。
次の瞬間。
胸の奥が、焼けるように痛む。
息ができない。
『なんで。』
『なんで。』
『なんで。』
苦しい。
苦しい。
助けて。
助けて。
助けて。
誰も来ない。
私は初めて知った。
狩る側にも、終わりは来るのだと。
床へ落ちたスマートフォンには、新しい通知が表示されていた。
『これで最後です。』
その文字を読んだのが、
私だったのか。
それとも、もう私ではなかったのか。
……その答えを知る者は、誰もいない。




