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ヲ
人は、自分が理解できないものを笑う。
『ヲタク。』
その一言だけで、人を決めつける。
好きな作品を語れば笑われる。
大切なグッズを持っていれば、気味が悪いと言われる。
それでも、その人は好きでいることをやめなかった。
画面の向こうの物語に救われた夜があった。
たった一人の登場人物の言葉に、生きようと思えた朝があった。
同じ作品を好きな誰かと出会い、
『ここにいていい。』
そう思えた瞬間もあった。
私は、多くの人間を見てきた。
愛する人。
夢を追う人。
約束を信じる人。
そして、何かを本気で好きになれた人。
不思議なことに、
最後まで自分の「好き」を捨てなかった人間ほど、
その人生は輝いて見えた。
誰かの「好き」を笑う者はいる。
けれど、その価値を決めることは誰にもできない。
私は命を奪うことはできても、
誰かが心から愛したものまでは奪えなかった。
だから知っている。
本気で何かを愛せる人間は、
弱いのではない。
最後まで、自分の人生を生き抜いた人間なのだと。
そんな人間も殺してしまった。




