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ウ
『うしろのしょうめんだぁれ』。
子どもの遊び歌ほど、不吉なものはない。
振り返っても誰もいない。
そう思い込んでいた。
二十五歳。仕事もなく、狭い部屋で時間だけを浪費する男。
退屈を紛らわせるために、今日も画面を眺め、眠り、また目を覚ます。
刺激が欲しい。
その一言が、人をどこまで愚かにするのか。
『いつものところに電話してみるか。』
聞き慣れた呼び出し音。
数分後、インターホンが鳴る。
『あっ、来た来た。はーい!』
扉を開けた彼は、何も疑わなかった。
『今日もいい感じだね。』
そう笑った。
最後に見せた笑顔だった。
人は、自分の日常が終わる日ほど、それを日常だと思い込む。
彼も例外ではない。
だから私は、何も言わなかった。
言葉より先に、結末が待っていたから。




