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エ
幸せな会話ほど、終わりは静かだ。
『えへへ。』
笑い声。
『大好き。』
抱きしめ合う音。
『ずっとこうしていたい。』
未来を信じる言葉。
そんなものを、私は何度も見てきた。
夕飯の相談をして、
他愛もないことで笑って、
今日は何を食べようかと迷う。
人は、自分が死ぬ日の献立まで考えるらしい。
数十分後。
呼び鈴が鳴る。
二人は疑わず、扉を開けた。
届いたのは温かな食事。
そして、もう一つ。
気付かなかっただけだ。
食卓には笑顔が並び、
部屋には幸せが満ちていた。
だからこそ、壊れる音はよく響く。
『美味しかったね。』
そんな言葉が最後になるとは、誰も思わない。
私は思っていた。
最初から、結末だけを知っていたのだから。
綺麗な死に方だった。




