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11/97

オ

噂というものは面白い。


真実を語っているようで、誰も核心には触れない。


『聞いた?』


『あの人、ちょっと怖いわよね。』


笑いながら話す。


けれど、その笑顔は私が姿を見せた途端に固まる。


『こんにちは。私が何か?』


たった一言。


それだけで声は震え、目は泳ぐ。


『い、いえ……いつもありがたいなぁと。』


人は恐怖を隠すために笑う。


私はその笑顔を見るのが好きだった。


夕方五時。


街にチャイムが響く。


挿絵(By みてみん)


『帰らなきゃ。息子が帰ってくるわ。』


誰もが"いつも通り"の一日を終えようとしていた。


それが、最後まで続くと信じながら。


噂は、所詮噂だ。


彼女たちは最後まで知らなかった。


自分たちが噂していた相手が、

その噂の続きを誰よりも近くで聞いていたことを。

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