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メ
夢は、忘れるためにある。
そう思っている人間は多い。
だが、中には目覚めても終わらない夢がある。
真っ暗な部屋。
一人の子ども。
左は青。
右は赤。
それだけが、妙にはっきりと残る。
朝になれば忘れる。
人はそういう生き物だ。
彼も、その夢を忘れた。
忘れたつもりだった。
夜。
窓の向こうに、二つの光。
街灯ではない。
青。
赤。
じっとこちらを見ている。
窓が一度だけ鳴る。
それは招く音ではない。
確認する音だった。
「まだ、そこにいるか。」
カーテンを閉めても、光は消えない。
布団に潜り、目を閉じる。
静寂。
そして耳元で、幼い声が囁く。
『目、返して。』
その声には怒りも悲しみもなかった。
返してもらうのが当然だという、静かな確信だけがあった。
恐る恐る目を開く。
部屋は暗い。
何もいない。
安心しかけた彼は、鏡を見た。
そこに映っていたのは自分だった。
……けれど、その瞳だけは違う。
私は、その瞬間を見届けた。
人は夢から目覚めることはできる。
だが、一度「見られた者」は、
二度と夢の外へは戻れないのだから。




