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63/97

み

見えないはずのものが映る鏡がある。


そう聞いて、廃旅館の洗面所に残された古い鏡をのぞき込んだ。


映っているのは私だけ。


そう思った瞬間、


「ピシッ」


鏡に一本のひびが入る。


続いて、


「ピシ……ピシッ……」


ひびは私の顔をなぞるように広がっていく。


慌てて鏡から離れる。


それでも鏡の中の私は動かない。


数秒後、


鏡の私だけがゆっくり笑った。


「みつけた」


その声と同時に、現実の鏡は粉々に割れた。


床には破片しか残っていない。


なのに、私の姿だけがどこにも映らなくなっていた。

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