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ふ
ふるい団地の一室は、誰も住んでいないはずなのに、毎晩決まった時間になると異臭が漂うと言われていた。
興味本位で前を通ると、鼻をつくような腐った臭いが廊下に広がる。
その瞬間、
「ぐちゃ……」
「べちゃ……」
と、何かを引きずるような湿った音が部屋の奥から聞こえた。
ドアの郵便受けがゆっくり持ち上がる。
暗闇の向こうは見えない。
ただ、腐臭だけが少しずつ濃くなっていく。
逃げようとした時、足元で
「ぽた……ぽた……」
と何かが落ちる音がした。
見下ろすと、床は何も濡れていない。
それでも臭いだけは、いつの間にか私の服から漂っていた。




