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遠回りをする人間は嫌いじゃない。


急ぐ理由より、隣にいたい理由を選ぶからだ。


放課後。


夕日に染まる帰り道。


二人は今日も、わざと少しだけ長い道を歩く。


約束なんてない。


それでも、その時間は何より大切だった。


信号待ち。


彼女はそっと制服の袖をつまむ。


『ねえ、この道、来年も一緒に歩けるかな。』


彼は照れ隠しに笑う。


『どうだろうね。』


本当は、答えなんて決まっていた。


彼女は頬を少しだけ膨らませる。


『私は、そのつもりなんだけど。』


その一言で、彼の世界は色づいた。


青信号。


彼女は小さく手を差し出す。


挿絵(By みてみん)


重なった手。


交わった未来。


二人は、これから何年も同じ道を歩くのだと信じていた。


私は、その姿を見送った。


人は「来年」を口にする。


「これから」を語る。


「ずっと」を夢見る。


その未来が、本当に来るかも知らずに。


だから私は、その一瞬を静かに覚えている。


幸せとは、終わりを知らない者だけが心から笑える時間なのだから。

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