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28/97

シ

人の心ほど、静かな戦場はない。


口には出さなくても、胸の奥では幾度となく言葉がぶつかり合う。


誰かを憎む声。


自分を責める声。


そして、それらを押し返そうとする、かすかな願い。


そのすべてが混ざり合い、形を失っていく。


私はそんな姿を何度も見てきた。


外から見れば、いつも通りの日常。


笑って、歩いて、返事をして。


けれど、その内側では、誰にも聞こえない叫びが続いていた。


人は矛盾した生き物だ。


終わりを望むような言葉を口にしながら、同時に明日を願うこともある。


その揺れ動く心こそが、人間らしさなのだろう。


私は、その葛藤を止めることはしなかった。


ただ、黙って見届けていた。


誰にも聞こえなかった叫びも、


誰にも届かなかった願いも、


最後には、静寂の中へ沈んでいくのだから。


挿絵(By みてみん)

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