↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
18/97

キ

優しい人間ほど、壊れる音は小さい。


誰にも聞こえない。


『昨日の敵は今日の友。』


そんな都合のいい話を信じられたなら、彼女はもっと楽だっただろう。


競い合い、励まし合い、傷つけ合う。


それが人間だ。


二年前。


『君は優しすぎる。』


その一言は褒め言葉ではなかった。


優しさは、ときに人を守る盾ではなく、自分を削る刃になる。


彼女は知っていた。


人に優しくすればするほど、自分が苦しくなることを。


それでも、やめられなかった。


『どれだけ絶望すればいいの。』


『どれだけ無駄に生きればいいの。』


答えを探し続ける声は、誰にも届かない。


『生きていて無駄なんてない。』


そんな慰めも、彼女には軽すぎた。


会いたい。


ただ、その一言だけを抱えて。


今日もまた、〇〇を鳴らす。


挿絵(By みてみん)


返事が来ると信じて。


私は、その音を聞いていた。


返事をする者が、もういないことを知りながら。


だから私は静かに笑った。


人は希望を鳴らし続ける。


届かないと決まっている音に向かって。


綺麗な死に様だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。