第51話:黒色火薬の造粒
左手で右腕を支えながら、上体を起こした。
脊椎が、ボキリと乾いた鋭い音を立てる。
【ステータス:19%】
【警告:軸荷重の変位を検知】
【予測:骨格の変形――週に4%】
「わかってる、わかってるよ」
システム通知に向かって呟く。
「身体が歪んでるくらい、自分でも分かる」
よろめきながら立ち上がった。
重心が右にズレている。
歩く時に倒れないよう、左に身体を傾けなければならなかった。
そのせいで、まるで酔っ払ったカニのような歩き方になる。
ゼノは主軸の近くの隅に立っていた。
「エネルギーは?」
俺は尋ねた。
「背景プロセスとセンサーの維持で、一晩に1パーセントを消費した」
ゼノが答える。
「左膝の支持部に3ミリのガタがある。関節に塵が侵入した。洗浄しなければ、次の負荷でサーボモーターがロックする可能性がある」
「動くな」
袖で額の汗を拭う。
「充電を節約しろ。今日は汚れる仕事になる」
エフレムはすでに庭に出ていた。
老人の様子は……最悪だった。
目は血走り、両腕は肘まで謎の黄色い液体に染まっている。
(頼むから、小便じゃありませんように)
心の中で祈った。
水車小屋の入り口には、3つの大樽が置かれていた。
朝の寒気を突き破るほどの悪臭。
アンモニア、腐敗臭、長年蓄積された強烈な刺激臭だ。
「坊主」
エフレムは、かつてはむしろだったもので手を拭いた。
「村の連中がお前の頼んだ物を持ってきたぞ。だがハンスたちは、お前が井戸に毒を入れるつもりじゃないかって疑ってる。小屋の近くを通るたびに、子供を家の中へ隠してるくらいだ」
「好きに言わせておけ」
魔法の世界で火薬を作るなんて、ろくなもんじゃない。
俺たちは地下室の壁から硝石の膜を削り落とした。
それを家畜の糞尿と混ぜ合わせ、藁の層と交互に重ねて、化学反応が起きるのを待った。
俺はエフレムに、その泥水を木灰の層に通してろ過するよう命じた。
俺の仕事はそれ以上に最悪だった。
結晶を取り出すために、その溶液を煮詰めなければならない。
片手でそれを行うのは、まさに地獄だった。
火の上に鍋を保持するために義手を使おうとしたが、爪が滑るか、あるいは強く握りすぎて銅の縁を押し潰してしまう。
「クソッ!」
また柄杓を落とした。
泥の中に落ち、俺のズボンに汚水が跳ね返る。
「慣性を使うべきだ」
入り口からゼノの声が響く。
「質量を利用しろ」
もう一度試した。
身体全体を回転させ、義手を弧を描くように鍋の取っ手へと向かわせる。
カチャリ。
爪が噛み合った。
肩を後ろに引き、固定する。
今度はしっかりと保持できた。
引き換えに、脊椎が激しい痙攣を起こす。
昼頃には、最初の灰色の結晶をひと掴みほど得ることができた。
次は硫黄の番だ。
山の民が、斜面の上にある温泉の近くで見つけてきてくれた。
それは石と一体化した塊だった。
石臼でそれをすり潰さなければならない。
すぐに左腕の感覚がなくなった。
右の義手は、俺が全体重をかけた時に乳棒を押しつけることしかできなかった。
夕方までに、成分を調合した。
硝石、硫黄、長年蓄積されたアルダー(ハンノキ)の木炭。
幸いなことに、元の世界で読んだ化学の教科書のおかげで比率は知っていた。
だが、理論は理論だ。
打ち捨てられた水車小屋で作った、この灰色のみすぼらしい粉末は、それとは全くの別物だった。
「試してみるか?」
エフレムが、平らな石の上に薄く撒かれた火薬の線をおそるおそる見つめた。
俺は火打ち金を取り出した。
火打ち石が鋼鉄を叩く。
火花の束が混合物の上に降り注いだ。
何も起きない。
もう一度。
さらに、もう一度。
一粒の火花が、正確に的を射た。
火薬がシューッと音を立て、刺激臭のある煙を細く吐き出し……そして消えた。
汚いシミと、腐った卵の臭いだけが残る。
「これだけか?」
エフレムが落胆したように鼻を鳴らした。
「これだけのために、あんな苦労をしたのか?」
「湿気っているんだ」
俺は言った。
「混ぜ方も足りない。炭が粗すぎる。粉末状になるまですり潰さなきゃダメだ」
「お前の火薬は吸湿性が高すぎる」
残渣をスキャンしながらゼノが付け加えた。
「この室内の湿度は78パーセントだ。硝石は、お前が点火するよりも早く水分を吸収している。この燃焼速度では、ガスの膨張速度は毎秒100メートルを超えない」
「頼むから黙ってくれ、専門用語が多すぎる」
俺は壁を背に、泥の中にそのまま座り込んだ。
煤が手の皮膚にこびりついている。
義手が肩を重く引きずり下ろす。
「造粒が必要だ」
虚空に向けて呟く。
「アルコールで湿らせて、ふるいに通して乾燥させる。そうすれば、一粒一粒が一瞬で爆発する」
「時間がないぞ」
エフレムが窓を指さした。
遥か下の谷、暗いモミの木の合間で、青白い光が明滅していた。
「近いな」
ゼノが動きを止めた。
彼のセンサーがアクティブモードに切り替わる。
「12体。速度は時速3キロメートル」
「最悪のタイミングだ」
俺は言った。
「エフレム、作ったものを全部ここに持ってこい。炸裂弾を作るぞ」
「何を作るって?」
「爆弾だ。大きくて、重い爆弾をな」
夜が更けるまで、俺たちは空の銅管やリヒターの鎧の破片に混合物を詰め続けた。
俺は鋼鉄の爪をプレス機のように使い、それを固く詰め込んだ。
金属同士の摩擦で火花が一つでも散れば、その瞬間に俺は消し飛ぶ。
「ゼノ」
俺は呼んだ。
「小道に沿って溝を掘ってくれ。狭くて、深い溝だ」
「指向性爆発を利用するつもりか? これほど爆速が低くては、効果は限定的だ」
「足をへし折るだけで十分なんだよ」
俺は答えた。
俺は縁側に出た。
ハンスともう二人の男が少し離れた場所に立ち、手に斧を握りしめていた。
「おい、坊主!」
ハンスが叫んだ。
「俺たちを守ると約束したはずだぞ。もしあの魔術師どもが俺たちの家を焼き払ったら、神に誓ってこの手でお前を締め殺してやるからな!」
「中に入ってろ、ハンス。窓に板を打ち付けろ。雷の音が聞こえても、絶対に外に出るな」
彼は唾を吐き、何かをブツブツと呟きながら立ち去った。
俺はポケットから、火薬を詰めた最後の管を取り出し、油の染み込んだ布で栓をした。




