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生きる意志は私の最強のスキルだ  作者: Gambo
死の隣り合う世界
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第49話:鋼の神経

息を吐いた。


口から白い塊が吹き出す。


洞窟の中は、骨の髄まで凍みる寒さだった。


右腕を動かそうとした。


正確には――その残骸を。


乾いた、鋭い音が響いた。


ギチ……ギチ……カチャ。


「動くな」


ゼノの声が轟く。


「ピンは固定した。骨は鋼鉄を受け入れたが、神経が拒絶反応を起こしている。想定内だ」


黒ずんだ鉄の構造物が、革ベルトで俺の肩に固定されていた。


3本の太い銅のワイヤーが、「肩」から背中を通り、左の前腕へと伸びている。


本来なら手首があるはずの場所には、3本のギザギザとした鋼鉄の爪が突き出ていた。


「これは……最悪だな」


俺は掠れた声を出した。


「同感だ。だが、手元にある材料だけで作った」


彼が応じる。


「左肩を後ろに引けば、ワイヤーの張力が伝わって掴む力になる。背筋を緊張させれば、指が閉じる仕組みだ」


俺は鋭く左肩を後ろに引いた。


ワイヤーが皮膚に痛烈に食い込み、鋼鉄の爪がガシャリと音を立てて噛み合わさった。


「重い……最悪だ」


歯を食いしばりながら吐き捨てる。


「関節の摩擦が大きすぎる」


「潤滑油がない」


ゼノが完全に立ち上がった。


「エフレムが集めた海獣の脂を使った」


エフレムは隅に座り込み、水を入れた手桶を必死に抱えていた。


殴りつけてやりたくなるような顔で、俺を見つめている。


「坊主……大丈夫か?」


彼が静かに尋ねた。


「二日間、ずっとうなされていたぞ」


その言葉で、海岸での記憶が脳裏に蘇った。


耳を打つ、激しい波音。


濡れた砂の上に倒れる俺。


『生きる意志』は沈黙したままだった。


「ゼノ」


彼が甲板の鉄くずや銅線を並べている間、俺は掠れた声で言った。


「気絶させてくれ。意識があったら耐えられない」


「頸動脈と迷走神経」


ゼノが淡々と告げる。


「3秒後に意識を遮断する」


衝撃は一瞬だった。


世界はすぐに闇に飲み込まれた。


ゼノが最初の鋼鉄のピンを骨に打ち込み始め――


「あ、ああ、あああ、ガァァッ!」


俺の身体が弓なりに反り、筋肉が激しく痙攣する。


砂の上にどす黒い液体が流れ出た。


エフレムが泣きながら俺の足にしがみつき、必死に抑え込もうとする。


「早くしろ!」


唾液にむせびながら、俺は絶叫した。


「ゼノ、早くしろ!」


ハンマーが金属を叩く。


振動が肩関節へと突き抜ける。


意識が崩壊していく。闇。


次の瞬間、再び光のフラッシュ。


ゼノが皮膚を貫きながら銅のワイヤーを引っ張り、レバーシステムを固定していく。


「固定完了……」


俺自身の咆哮の隙間から、奴の声が聞こえた。


俺はまた落ちた。


次に目覚めた時、赤く焼けた鉄が肉に触れるのを感じた。


再び悲鳴。再び闇。


俺の神経システムが完全に焼き切れるまで、そのサイクルは繰り返された。


最後に覚えているのは、エフレムとゼノが俺の身体を抱え上げ、岸から離れて斜面を登っていく感触だけだった。


(意識を失えば麻酔代わりになるなんて思うのは……ただの馬鹿だ)


そんな思考がよぎった。


「俺は大丈夫だ、エフレム。ここを出る。追っ手は近いか?」


「近い」


ゼノが代わりに答えた。


「山の麓まで、あと40分だ」


「エフレム、火を消せ。ゼノは入り口の影に隠れろ」


俺は洞窟内を見回した。


狭い入り口。内部の広い空間。


完璧な『ノズル』の幾何学。


もし奥の空気を過熱し、この狭い隙間から一気に放出できれば……


下方から叫び声が響いた。


「出てこい! ヴァレリウスと『光』の名において!」


明らかに魔法で増幅された声。


灰色と金のローブをまとった3人組。


そのうちの一人の手のひらの上に、白い炎の球が形成されつつあった。


「ゼノ」


俺は囁いた。


「奴らの真上にある鍾乳石が見えるか? 裂け目がある。あそこに音波パルスを叩き込めば……あるいは適切な加速をかけた運動エネルギー弾でもいい……」


「了解した」


「今だ!」


炎の球が洞窟に向けて放たれた。


俺はリヒターの装甲の破片を掴み、迫り来る炎に対して45度の角度で構えた。


「ベクトル反射!」


炎がプレートに衝突する。


そして、上方へと逸れた。


ドォォォォン!


空気が一瞬で膨張する。


圧力が跳ね上がり、耳鳴りが襲うと同時に鼻から血が吹き出た。


追っ手たちがその衝撃をまともに喰らった。


炎の柱が外へと10メートル近く噴き出し、魔術師たちを崖の小道から吹き飛ばす。


俺は鋼鉄の腕をガシャガシャと鳴らしながら、煙の中から姿を現した。


「悪魔……黒魔術だ……」


俺はそいつに近づいた。


「黒魔術なわけあるか、間抜け」


俺は肩を前に突き出した。


爪が奴の手首を締め上げる。


ベキリ。


ゼノが一歩踏み出し、尋問官の胸を足で踏みつけた。


「ヴァレリウスのエネルギーが……」


男が血を吐く。


「お前たちに罰を……」


グシャリ。


俺は疲弊しきって岩壁に寄りかかった。


「俺たちは……勝ったのか?」


エフレムが激しく咳き込む。


「ああ。だがそんなことはどうでもいい。エフレム、あんた魔術師だろ? 使えるって自分で言ってたのに、なぜ魔法を使わないんだ?」


「ああ、使えるさ……だが、俺の魔法は代わりに俺の寿命を削るんだ……」


「……でも、前は使っていただろ?」


「いや、お前が前に見たのは、魔法を模倣する特別な装置……いわば『アーティファクト』だ。だが、もう使い果たしちまったよ」


エフレムは話を遮るように言った。


「そうか……」


「ここを離れる必要がある。近くに村がある、そこでしばらく身を隠せるはずだ」


ゼノが割り込んできた。


(もっと早く言えよ)


まあいい、行くか。


俺たちは移動を始めた。


太陽が山々の向こうから昇り、海を血のような赤に染めていく。


【ステータス:4%】


【10……9……8……7……6……秒後に休止モードへ移行します】


周囲の世界が、ざらついた灰色の塊へと変わり始める。


ゼノとエフレムの足音が遠ざかっていく。


5……4……


(クソ、なぜ……よりによって今……)


3……2……1……


【致命的なエラー:エネルギーが枯渇しました】


【休止モードに入ります……】

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