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生きる意志は私の最強のスキルだ  作者: Gambo
死の隣り合う世界
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第46話:自己切断

「エフレム! 突っ立ってるな! 鉄棒かパイプをよこせ、早く!」


「いや……いや、いや、いや……できない……俺には……」


エフレムの声は、恐怖に震えていた。


「斬れ!」


カチッ。


カチッ。


「時間がない! 早くしろ! エフレム……このクソ爺め!」


俺は全身を反らせ、残るすべての力をその動きに込めた。


いち。


に。


さん。


耐えがたい激痛。


だが、『スキル』がその大部分を抑え込んでいた。


頼む、このクソ腕め……千切れろ、畜生。


エフレムが何かを呟いている。


ゼノは、この時点ですでに完全に沈黙していた。


カチッ。


何か思いつかなければ。


早く。


考えろ……


狂ったように周囲を見回し、ボルトのような鋭利な部品を見つけた。6つある。


それを掴み、肉に直接突き立てていく。


いち、に、さん……


6つすべてが埋まると、時計回りにねじり始めた。


あまりの激痛に、意識が何度か闇に落ちかけた。


それでも続けた。


「アイロン……」


背後からエフレムの声。


「クソ爺……最初から貸せばいいんだよ……」


そう言って、残る肉を断ち切った。


そして骨を砕き始める。


不揃いで、無造作な一撃。


数回叩きつけた後、本能のままに全身を後ろへ反らせた。


硬い床に頭を打ちつけ、仰向けに倒れ込んだ。


耳の中で鐘が鳴り響いている。


息を吸おうとしたが、横隔膜が痙攣して動かない。


「……おい! アイロン!」


耳鳴りを突き抜けてエフレムの声が届く。


老人が駆け寄ってきた。


その手は震えている。


奴は俺のジャケットを掴み、回転するコアの円柱から引きずり出した。


(スキル……『治癒』プロセス起動)


死んだように白い光を宿した俺の瞳は、天井を虚ろに見つめていた。


『生きる意志』が身体の最後の予備リソースを焼き尽くし、意識を繋ぎ止めていた。


「止血帯を……」


エフレムが掠れた声で言った。


奴はズボンからベルトを引き抜く。


その指は血で滑っている。


「耐えろ……耐えるんだ」


「あ……ぁ……」


肺から空気がシューと漏れ出る。


エフレムが脇の下でベルトを限界まで締め上げた。


ドォン。


床が揺れる。


10メートル先、破壊されたハッチの向こうに、塵を纏ったリヒターが立っていた。


「タ……ゲッ……ト……」


ノイズ混じりのスピーカーが唸る。


「カ……クニン」


「エフレム……サーバー室へ……」


「黙れ」


老人が言い返した。


奴が立ち上がる。


その手には、ハッチをこじ開けたパイプの破片と、錆びたバールが握られていた。


「おい!」


エフレムが叫び、俺からリヒターの注意を逸らすために横へ下がった。


「こっちだ!」


巨体のプロセッサがラグを起こしている――どうやらハッチでの感電が効いているようだ。


リヒターはゆっくりと、視線を老人へと移した。


「ショウガイ……ツ……ジョ……」


振りかぶる。


折れた剣が空を切る。


エフレムはパイプを突き出したが、手のひらの肉ごとパイプを弾き飛ばされた。


エフレムは吹き飛ばされ、サーバーラックに背中を叩きつけられると、そのまま滑り落ちて動かなくなった。


「エフレム!」


叫ぼうとしたが、濡れた血の混じった咳が漏れるだけだった。


カチッ。カチッ。カチッ。


3歩。


4歩。


視界が広間を駆け巡る。


赤い光。


影。


ラック。


背後で唸るコア。


天井を這うパイプ。


パイプ。


目を細める。


広間の中央、その真上を通るラインにマーキングが見えた。


黄色い三角形に、青い縁取り。


【ハロン1301:消火剤】


リヒターはサイボーグだ。


だが、奴にも肺と心臓はある。


すでに距離は5メートル。


剣を振り上げる。


俺はうつ伏せに転がった。


唇を噛み、悲鳴を殺す。


そして這う。


安全管理のコンソールパネルへ。


「待て……」


俺は掠れた声で言い、白い床に赤い線を引く。


リヒターが追ってくる。


壁に辿り着く。


コンソールは破壊されていた。


レバーがない。


俺の頭上にリヒターの影が落ちる。


「シュウ……リョウ……」


左手で、剥き出しの接点を2つ掴む。


「再起動しろ、この野郎」


接点を繋ぐ。


轟音が広間に反響する。


天井の噴出口から、白いガスがシューという音と共に噴射された。


ハロンの奔流が奴を直撃する。


パキィィッ!


胸のプレートが弾け、中身が露わになる。


合成筋肉と脈動するチューブの絡まり。


胸から掠れた、泡立つような音が漏れる。


剣を落とし、喉を押さえる。


膝が折れる。


「エラー……換気……エラー……」


俺は壁に身を寄せ、浅く短い呼吸を繰り返す。


リヒターの足元に、太い電源ケーブルが転がっていた。


切断された端からは、青い火花が散っている。


這い寄り、左手で掴む。


絶縁体は剥き出しだ。


電流が身体を貫く。


顎が締まり、筋肉が強張る。


「おい!」


リヒターが首を垂れる。


俺は剥き出しのケーブルの端を、奴の胸甲の亀裂へ、力の限り突き刺した。


あまりの閃光に、自分自身の腕の骨格が見えたほどだった。


リヒターがのけ反る。


鋼鉄の腕が左右に広がり、青い稲妻が奴の身体を駆け抜け、床へと流れていく。


俺の身体は痙攣し、背骨が砕け散るかと思った。


心臓が喉の奥で狂ったように打ち鳴らされる。


いち。


に。


さん。


セクター全体のrawなエネルギーを奴に注ぎ込む。


リヒターのレンズが弾け飛ぶ。


ヘルメットから黒い煙が立ち上る。


手を離す。


ケーブルが床に落ち、火花を散らす。


隅で、咳き込む音がした。


『見事だ』


ゼノの声が響く。


『目の前の死体を見ろ』


無理やり瞼を開く。


リヒターの死体が転がっている。


ヘルメットからの煙は、次第に消えていった。


『脳は死んでいる』


ゼノが続ける。


『だが、ハードウェアは無事だ。油圧も、骨格も、センサーもすべてな』


「何を狙ってるんだ?」


俺は声に出して尋ねた。


『俺を接続しろ。壁の近くにあるデータ転送ケーブルだ。それを、ヘルメットの後頭部にあるポートに突き刺せ』

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